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ピックアップ

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2023.05.27

薩摩本柘印材を未来へ!国内トップメーカー 吉野ヶ里町「株式会社アイテク」

株式会社アイテク

吉野ヶ里町の「株式会社アイテク」

こちらでは印鑑の素材(名前を彫る段階の前)を作っており、木材は薩摩本柘(さつまほんつげ)という木を使っています。
薩摩本柘(さつまほんつげ)

鹿児島県産の木で昔から印鑑の材料に使われる
薩摩本柘は、高密度・油に強いということで印鑑が欠けたり、朱肉に負けないようにということで適しているそうです。

薩摩本柘は100%植林育ち

江戸時代から植林を続けており、植えては伐採を繰り返し、使った分を植林しています。

そうすることで木による二酸化炭素の吸収量が変わらず環境への負荷が低いんです。

植林業者、製材業者、メーカーが連携し植林から製造まで管理することで安定供給が実現します。

植林されている方も、いつどのくらい売れるか分からなければ植えようがないので、定期的に決まった量を購入することで安定した植林→木材の供給につながっています。

製造数は年間約40万本!

アイテクは薩摩本柘印材の国内トップメーカーです。

福山さんの祖父、末次さんが鹿児島の柘(つげ)印材工場に働きに出て印材を売り歩いたことが始まりで、1939年に福山印材工場を立ち上げました。

2代目、和彦さんがアイテクへと社名を変更。印材の量産体制を整えたそうです。

その歴史を繋いでいるのが3代目の福山徹さん。

親子3代、80年以上に渡り、薩摩本柘印材をつくり続けてきたんです!

つくっているのは「社印」用
「代表者印」用

「実印」用など様々です。

そんなアイテクの印材づくりを見ていきます!

仕入れた材料を乾燥

こちらは鹿児島から仕入れたばかりの材料です。
乾燥の作業は印材づくりでとても重要なのですが、伐採してから印材になるまで、合わせて最長1年半!

伐採後に半年~1年乾燥させて、画像の小ささになって佐賀県に届きます。

ここから加工期間も含めて3カ月以上乾燥させ1本に仕上がるため、合計約1年半かかります。

木は乾燥しているように見えますが、水分をよく含んでいます。水分を含んだまま印鑑を作ってしまうと変形して文字のバランスが崩れてしまったり欠けてしまったりします。

印鑑として不適合になることもあるので、しっかりと乾燥させます。

材料を印材の形に削る
先程の機械により、自動でこのような形に削られていきます。

機械に材料をセッティングするのはロボットアーム。
材料の中心に軸がくるようにセットされます。

ロボットが精密に材料をセッティングするため、無駄なく材料を削り出すことができます。

印材の頭(上の部分)を磨く

先ほど削った材料の頭の部分を丸くする作業。

こちらでもロボットアームが大活躍!
下の段は粗削りをし、上の段で滑らかに磨いていきます。

なんとこのロボットアームは、職人の手仕事をプログラミングして再現しています!


別の場所では手作業で作業がされていました。

先ほどの工程とは違う種類の印鑑(個人で使われる実印)の完成に近い印材の磨き手作業で行っています。

仕上げに近づくにつれて職人の手作業に!

こちらでは同時に検品の作業も行っており、検品ではじかれた印材がありました。

一見木目のように見えますが「小さな黒いシミ」があったため、はじかれてしまいました。

印鑑は、結婚や会社の設立など人生の節目に使うもので、彫刻師の方も想いにこたえて1本1本大切に彫られています。

品質のため、小さなシミ・汚れも見逃さないようにしているそうです。

パールカラー柘

はじいたものも無駄にはしません。
少し黒くなっているといっても優れた材質であることに変わりはありません。

そこで開発したのが「パールカラー柘(つげ)」。

検品ではじかれた印材の上に独自の塗装技術でカラーコーティングを施し、製品として生まれ変わらせているんです!

キャップづくり

機械にセットしてキャップを削っていきます。

穴が空いた後、削られた入り口を少し磨くことで印鑑がハマりやすくなるように調整しています。

この作業はとても難しい作業です。
木なのでサイズを合わせるのが難しく、スムーズに入ってスムーズに取れるのは職人技です。

ミクロの精度で合わせているそうです。

コツは湿度に合わせて調整
  • 湿度が高い→緩くなる
  • 湿度が低い→固くなる

 ハンドルを使って調整しますが、大きく動かし過ぎてもいけない、小さく動かしてもいけない、細かく作業するとても繊細な作業なんです。

朝と夕方ではキャップを開ける音に違いが出ます。
これは乾燥が進み蓋がキツくなったため。
最終的な仕上がりを見越して削り加減を調整しているんです!

アイテクでは効率化に関わる部分は機械にお任せして、品質に関わる部分は手作業という体制をとっているそうです。

福山さん「80年以上続く、生産者やお客様との長い信頼関係、そして高品質な商品を作って安定的に供給し続けてきてこれを守り続けてきたからこそ、全国のお客さまに印鑑をお届けできているというのが僕らの強みだと思います」

他の商品もご紹介!

スーパーウッド

こちらはゴム印の台で、細かい木のチップを固めた「MDF」というものを使っているのですが、注目すべきはその素材!

実はこちらも植林された木を使っているんです。
エコなだけでなく木質がほとんど反らないことがゴム印の台にぴったりなんだそうです。

OK COFFEE Saga Roastery

アイテクは印材製造だけでなく、カフェも手掛けています!
2019年に「OK COFFEE Saga Roastery」をオープン。
自家焙煎した鮮度の高いコーヒーなどを提供しています。
どうして印材メーカーがカフェを?と思い、福山さんに尋ねたところ「町に恩返しがしたいと思ったから」とおっしゃっていました。
 

住所:吉野ヶ里町吉田273-11
営業時間:11:00~18:00 定休日:火・水

【2023年5月25日放送 かちかちPress 工場walkerより】

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