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佐賀県唯一の吟詠剣詩舞部 両国国技館の大舞台で輝く「致遠館高校 吟詠剣詩舞部」
吟詠剣詩部とは?
日本の伝統芸能の一つであり、次の3つの要素から構成されています。
- 吟詠(ぎんえい)
漢詩や和歌などの詞に節(メロディ)をつけて声に出して吟じる芸術です。 - 詩舞(しぶ)
吟詠に合わせて、扇子などを使いながら優雅に舞う演舞です。 - 剣舞(けんぶ)
吟詠に合わせて、模擬刀を使い力強く舞う演舞です。
この芸道は、詩の世界観を「声」と「体」で表現する総合芸術であり、日本文化の象徴ともいえます。また、精神修養や礼節を重んじる心を育む、日本ならではの伝統文化です。
厳格な練習で技術と精神を磨く
吟詠の練習では、基本となる発声練習から始まります。岩本部長によると「先生が出される音に合わせながら自分たちの音を調整することが大事」とのことです。お腹から声を出す発声法は、短時間でも腹筋に負荷がかかるほど本格的です。
大坪さんは発声のコツについて「口を開ける時に、ここの骨から大きく開けるようにイメージすることで、声がよく通って上手に歌えるようになります」と、耳の下の骨から大きく口を開けることの重要性を説明します。
剣舞の練習では、単に剣を振るだけではありません。「視線を一つに定めることが大事」と岩本部長が説明するように、精神統一と表現の格調を高めることが重視されています。
両国国技館での貴重な経験
設立からわずか数年で両国国技館という大舞台に立った経験は、部員たちにとって忘れられない思い出となっています。この経験は、佐賀県唯一の部活動として活動する彼らの自信と誇りにつながっています。
部員の1人は「大きな舞台に立つので一つ一つの動きを大きく丁寧にすることが大切です」と、舞台での表現について語ります。普段の練習から意識している丁寧さが、大舞台でも活かされているのです。
佐賀の武士道精神を現代に
部員たちが披露した「葉隠れ四誓願(はがくれしせいがん)」は、佐賀の武士道精神を表現した演目です。袴姿の部員たちが剣を手に力強く舞う姿は、まさに日本の美しさをそのまま引き継いでいるかのようでした。
岩本部長は今後の目標について「私たちは7月末に開催される全国総文祭に出場するので、3年生で最後の舞台として頑張っていきます」と意気込みを語ります。
まとめ
わずか6人の部員で始まった致遠館高校吟詠剣詩舞部の挑戦は、日本の伝統芸能が決して過去の遺物ではないことを証明しています。厳格な練習を通じて技術と精神を磨き、両国国技館という大舞台で堂々と演技する彼らの姿は、伝統文化の新たな可能性を示しています。
7月末の全国総文祭に向けて練習に励む部員たちの真摯な姿勢は、単なる部活動の枠を超えて、佐賀の文化的アイデンティティを次世代に引き継ぐ重要な役割を果たしています。県内で唯一この伝統芸能に取り組む彼らの活動は、地域の文化継承における貴重な灯火となっているのです。
新たな部員を募集している同部の今後の活動に、多くの注目が集まることでしょう。