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2025.05.27

清掃工場の二酸化炭素が資源に?佐賀市の「SMART GARDEN」が実現する持続可能な植物栽培

佐賀市の清掃工場から排出される二酸化炭素(CO2)を有効活用する画期的な取り組みが、注目を集めています。そのCO2を使って植物を栽培する最先端の施設が清掃工場の横にある「SMART GARDEN」で行われていて、循環型社会への大きな一歩として話題になっています。

どのように植物にCO2を活かしている?

佐賀市の清掃工場で回収されたCO2を活用し、植物の光合成による栽培を行っている施設です。植物は水とCO2を原料に、光の力で成長します。この取り組みにより、CO2を吸収してカーボンニュートラルの実現に貢献しています。

世界初の「サステナブルCO2」で育てる植物

このSMART GARDENでは、ゴミ焼却により発生する排ガスから分離・回収されたCO2を活用しています。驚くべきことに、このCO2は食品にも使えるほどの高純度で、“ピュアな二酸化炭素”として清掃工場由来CO2では世界初「サステナブルCO2」として認定されました。

このピュアなCO2は、イチゴやキュウリなどの農作物の栽培に活用されており、安全性と環境性能の両立が高く評価されています。

CO2供給と水の循環で無駄を削減

施設内では、チューブを通じてCO2が供給され、チューブの小さな穴からCO2が漏れ出て植物が吸収する仕組みとなっています。担当者は「植物にとっての“ご飯”のようなもの」と説明。まさに“美味しいCO2”を提供しているというわけです。

大気中のより多くのCO2を供給することで、植物が早く大きく成長します。

また、水は一度ポンプで上部に送り、傾斜を利用して自然に下方へ流れる仕組みで循環。限られた水資源を有効に使う省エネ設計がなされています。

さらにエアコンなどに使われる電気も再生可能エネルギーを使用していて、まさにスマートな施設です!

まとめると、「電力」は再生可能エネルギーを使用し、「水」は循環させて使用量を減らし、「CO2」はごみ処理場から出る物を使用し、植物栽培に有効活用することでサステナブルな仕組みになっています。

この3つの循環が環境への負荷を低減させています。

日用品メーカー・花王が手がける未来型植物工場

SMART GARDENは、大手日用品メーカー・花王が運営する植物工場で、ここで栽培された植物から得られる高品質なエキスは、同社の化粧品やスキンケア製品などに活用されています。最新の栽培技術や環境配慮型システムが導入されており、工場内のあらゆる設備が再生可能エネルギーで稼働しています。

高品質な植物エキスを化粧品へ応用

SMART GARDENでは、植物の収穫タイミングを人の目で見極め、最も成分が豊富な状態で収穫。

その後、必要な成分を抽出し、余分なものを除く高度な加工技術も研究しており、透明度が高く防腐性にも優れたエキスを作られています。

このエキスは、肌荒れや老化を防ぐ成分として花王の化粧品に採用されており、美容と環境を両立する新しいライフスタイルの実現に貢献しています。

今後の展望と可能性

施設の責任者は「今後は育てる植物の種類をさらに増やし、佐賀から世界に向けて多様な植物エキスを発信していきたい」と意気込みを語っています。

また、CO2の利用は植物栽培にとどまらず、人工炭酸泉や炭酸溶液など市民生活への応用も視野に入れ、より身近な形での活用が模索されています。

まとめ

佐賀市発のSMART GARDENは、清掃工場由来のCO2を活用した持続可能な植物工場として、環境と産業の両立を可能にする先進モデルです。廃棄物から価値ある資源を生み出し、クリーンなエネルギーで高品質な製品を生み出すこの仕組みは、これからの循環型社会の象徴的な存在となることでしょう。
【2025年5月21日放送 かちかちLIVE 知ってる?カーボンニュートラルより】

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