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廃業危機から日本一!嬉野の茶農家 豪雨乗り越え農林水産大臣賞を受賞
創業100年の歴史を持つ「白川製茶園」の3代目・白川稔さんが語る、家族の絆と復興への思いとは。
2年連続の豪雨被害で廃業の危機に
佐賀県嬉野市にある「白川製茶園」は、創業100年の歴史を持つ老舗の茶農家です。
3代目の白川稔さんが守り続けてきた茶畑は、令和2年と3年の2年連続で豪雨災害に見舞われました。
特に令和3年豪雨では、嬉野市に1週間で年間雨量の半年分にあたる1170mmという記録的な大雨が降り注ぎました。
山の斜面が大規模に崩落し、茶畑は土砂で埋まり、農道も寸断される深刻な被害を受けたのです。
令和2年には鹿島市の畑が崩れ、翌年には嬉野の畑にさらに大きな被害が出ました。
「なんでうちばっかり」心が折れた瞬間
畑の再生、道の修繕、土砂が流入した隣接地への補償など、復旧には途方もない時間と費用がかかることが分かりました。
茶の木を植えたとしても、収入を得るほど成長させるには5年以上の歳月が必要です。
さらに近年は茶の販売価格が下がり、燃料代も高騰を続けていました。
「心が折れて(茶農家を)辞めようかなと思ったことも」という白川さん。
茶農家として未来が見出せないとまで思い込んでいたそうです。夫婦の間では、もう廃業するしかないという話も出ていました。
息子の一言で再起を決意
しかし、後を継ぐ4代目の息子・天翔さんの心は折れていませんでした。
「お茶ば売りたか」という息子の言葉に、白川さんは「もうちょっともうひと踏ん張りしようかね」と再び立ち上がる決意をしたのです。
復活の決意が生んだ「日本一」
復活を誓った白川さん一家は、「色々な事にチャレンジしないと」という思いで、令和6年の全国茶品評会に出品しました。
その結果、蒸し製玉緑茶の部で見事、農林水産大臣賞を受賞。まさに日本一のお茶として認められたのです。
「息子さんの一言でもうひと踏ん張りしようと決意したわけですよね」とリポーターが尋ねると、白川さんは「そうです。その前は夫婦間では『茶農家を辞めようかね』と、本当そういう話までしてたんですよ」と答え、廃業寸前からの復活劇であったことを明かしました。
「やはり家族ありき、家族様様って、本当にもう皆さんのおかげですよ。自分たちだけでは絶対無理です」と白川さんは家族への感謝を口にします。
災害への備えの大切さを伝える
豪雨被害を経験した白川さんは、災害への心構えについて
「本当にもういつ起こるか、もう地震でも大雨でも何でもそうかって、いつ起こるかわからんけん、やっぱり災害に対してはもう本当に常日頃から備えといた方が良かったなのかなって思い」と語ります。
側溝や雨どいの掃除、家族で万一のことを話し合っておくことなど、日頃からの備えの大切さを強調しました。
復活の決意が作品を生む
2年連続の豪雨災害で一度は廃業を覚悟した白川製茶園。
しかし、家族の絆と「心折れず『お茶ば売りたか』」という強い思いが、見事な復活劇を生み出しました。
災害から立ち直り、すぐに日本一のお茶を作り上げた白川さん一家の物語は、私たちに希望と勇気を与えてくれます。
同時に、いつ起こるか分からない災害への備えの大切さも教えてくれています。
スタジオでは、白川さんが育てた今年の新茶が振る舞われ、コメンテーターは「感慨深いですね。私、途中で涙出そうになって」と、その復活劇に心を打たれた様子でした。
これからの出水期(6月~10月頃の集中豪雨や台風の多い時期)を前に、改めて防災への意識を高めるとともに、地域の生産者を応援していくことの大切さを感じさせられる取材となりました。