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丸ぼうろをさらにおいしくするものとは!?古文書から生まれた新しい「鶴屋」の丸ぼうろ 387年続く老舗菓子司
砂糖の日に訪れたい、シュガーロードの老舗
3月10日は「砂糖の日」。この日にふさわしい取材先として選ばれたのが佐賀市を通る長崎街道、通称「シュガーロード」沿いに位置する「御菓子司 鶴屋」です。
江戸時代、貴重な砂糖は長崎から佐賀を経て北九州へと続く長崎街道を通って全国に広がりました。2020年にはシュガーロードが文化庁の日本遺産に認定され、その歴史的価値がさらに注目を集めています。
鶴屋は1639年の創業で今年で387年という長い歴史を持ちます。「元々は佐賀藩・鍋島家の御用菓子司として創業しました」というその出発点は砂糖を固めたらくがんのような菓子を藩に納めることだったといいます。
長崎で学んだポルトガル菓子が原点
鶴屋の看板商品・丸ぼうろが誕生したのは江戸時代の2代目の頃でした。「長崎の出島に丸ぼうろを習いに行って、鎖国の時代にポルトガルのお菓子をオランダ人や中国人から学びました。佐賀に持ち帰って今も作り続けています」という歴史がお菓子には刻まれています。
創業当時、鶴屋は長崎街道沿いの白山に店を構えていました。シュガーロード沿いという砂糖が手に入りやすい立地は、まさに丸ぼうろ誕生に欠かせない恵まれた環境だったのです。
シンプルな材料に宿る、職人の技
丸ぼうろの材料は卵・小麦・砂糖・はちみつというシンプルなものですが、「簡単なようで職人の手がしっかり入った難しいお菓子」です。材料を混ぜ合わせた生地はなめらかな一方で非常に扱いにくく「素人が触るとベタベタと手にひっついてしまう」ほど。型で抜く工程にも熟練の技術が求められます。
約4分間焼き上げると外はカリカリ・中はふわふわの丸ぼうろが完成します。リポーターも「外はカリカリで中はふわふわ。サクサクとした食感で甘みがあっていくつでも食べられます」と絶賛していました。
毎日変わる、1個たりとも同じものはない丸ぼうろ
鶴屋の丸ぼうろには、もう一つの特徴があります。材料の配合がその日の気温や湿度に合わせて微妙に調整されるのです。冬は生地が硬くなりやすいため卵の量を増やしてなめらかにし、味わいも少し濃厚に仕上げます。
「1個たりとも同じ丸ぼうろはない——毎日変わります」という職人のこだわりに、リポーターも「夏と冬では違うなと感じていました」とその繊細な変化を実感していました。
270年前の古文書から蘇ったマーマレード
今回の取材で最も注目すべきが、江戸時代の古文書から現代に蘇った「マーマレード」です。鶴屋には270年ほど前の「菓子仕方控覚」という、いわばレシピ本が代々受け継がれています。
長年その全容は解明されていませんでしたが2009年に専門家による解読が行われ、ついに詳細が明らかになりました。そこに記されていたのが「みかん漬け」のレシピ。「熟した傷のないみかんを選び、荒皮を薄く削り取り1日ほど陰干しをする」という丁寧な製法が記され、時間の表現には「線香が1本燃えるくらいの間煮る」と江戸時代らしい記述も。何分ではなく、線香1本がタイマー代わりという表現に、時代の温もりが感じられます。
太良町産クレメンティで作る「丸ぼうろのためのマーマレード」
古文書のレシピに着想を得て現代版にアレンジしたのが「丸ぼうろのためのマーマレード」です。使用する柑橘は太良町・田島柑橘園のクレメンティできれいな皮のみを手作業で選定して作られています。
実際に味わったリポーターは「マーマレードの味が最初にきて、噛んでいくと丸ぼうろのほのかな甘みが広がる。皮のほろ苦さと酸味が優しい丸ぼうろと一体感を生み出している絶妙な組み合わせです」と絶賛。まさに「専用」と呼ぶにふさわしい完成度です。
古文書を「保存」するだけでなく「現代に生かす」
「古文書は鶴屋にしかない財産。マーマレードのように現代風に復刻してお客様に喜んでいただく取り組みを今後も続けていきたい」という鶴屋の姿勢は、単に歴史を守るだけでなく、それを現代に活かす革新的なアプローチです。
スタジオでも「387年間守り続けてきた古文書をただ読んで理解するだけでなく、実際に作ってみることで古文書がさらに現代に生きてくる。古いだけでなく、それを現代に生かす使い方を見事に伝えてらっしゃる」と高く評価されていました。
まとめ
店舗情報
- 店舗名 : 御菓子司
- 住所 : 佐賀市西魚町1

