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お値段100万円以上⁉ 300年受け継がれる佐賀の伝統美「鍋島緞通」
佐賀県大和町に300年以上続く伝統工芸品「鍋島緞通(なべしまだんつう)」をご存知でしょうか?「吉島伸一鍋島緞通」を訪れその魅力に迫りました。江戸時代から受け継がれてきた織物技術が、今も一枚一枚手織りで作られています。その緻密な織りと美しさは、まさに「100万円の価値」があるというのも納得。今回は、佐賀の誇る伝統工芸の魅力に迫ります。
鍋島緞通とは?シルクロードから佐賀へ続く歴史
鍋島緞通は、佐賀県の伝統工芸品として300年以上の歴史を持つ高級織物です。「緞通(だんつう)」という言葉は、中国語で絨毯を意味する「タンツー」が由来となっています。
その歴史は江戸時代にさかのぼります。シルクロードを通って中国を経て、長崎の出島に伝わった絨毯の技術を、鍋島藩の職人が習得し、佐賀に持ち帰ったのが始まりです。以来、鍋島藩が技術を継承し、地域の文化として細々と守られてきました。
100年以上使える品質。価格に込められた価値とは
亀甲花菱菜花雨(96万8000円)
西部伝統工芸展入選作品(80cm×160cm×厚さ1.8cm)
4代目が制作した入選作品。明るい黄色の地に亀甲模様と花柄があしらわれた伝統的なデザインです。
献上蟹牡丹文 緑七宝(138万円)
格式最上級 徳川家献上モデル(95cm×191cm×厚さ1.8cm)
徳川家に献上する際に使われた文様で、最も格式の高い図案となっています。
ミッキーマウス緞通(220万円)
ウォルト・ディズニー・ジャパン公認作品(90cm×130cm×厚さ1.5cm)
「伝統を守りながら」と語っていた4代目が手がけた、まさかのディズニーコラボ作品。
構想・制作に約1年をかけ、「一目一目、きちっと拾わないとミッキーであってミッキーでないように見えてしまう」という繊細な作業の末に完成した作品です。
100万円の価値がある理由
実は、バブル期には材料が綿であることから「高価なものではない」という扱いを受けたこともあったそうです。しかし、100年使用しても持つように作られている鍋島緞通の価値は、その耐久性と美しさにあります。
「鍋島緞通の素材は綿です。ペルシャ絨毯や中国緞通の素材は絹や羊毛ですが、私たちは綿にこだわっています」と、「吉島伸一鍋島緞通」の4代目、吉島さんは説明します。
伝統の製作工程
鍋島緞通の製作は、すべて手作業で行われます。まず、縦糸に一色ずつ糸を結び付けて絵柄を表現していきます。この作業だけでも膨大な時間がかかります。
次に、横糸を特殊な金づちで叩き入れていきます。この工程で緞通の絵柄や密度が決まるため、職人の技術が問われる重要な作業です。
「図案」「精度」「風合い」の3つの要素が揃って初めて、美しい鍋島緞通が完成します。小田井さんが実際に織り体験をしてみると、「これは力仕事だ」と驚きの声を上げていました。
未来へつなぐ思い
「私の父、3代目は戦後すごく大変な思いをしてこの技術を守ってきました。根付いているものは鍋島、佐賀に根付いていないといけないと思っています」と吉島さん。「現代に、そして未来にこの技術をどう持っていくか」それが4代目としての使命だと語ります。
佐賀の誇る伝統工芸「鍋島緞通」。その価値は金額だけでは測れない、300年の歴史と職人の技術、そして未来への思いが込められています。伝統を守りながら新しい挑戦を続ける鍋島緞通の魅力を、ぜひ実際に見て感じてみてください。
アクセス情報
- 店舗名 : 吉島伸一鍋島緞通
- 住所 : 佐賀市大和町梅野209-1
- 営業時間 : 9:00~17:00
※土曜・日曜に訪問する場合は、事前に電話連絡が必要