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【2029年開学】佐賀県立大学が八丁畷に誕生 建設費200億円・定員200~300人の新キャンパス計画
山口知事の公約から始まった県立大学構想
これまでの経緯をおさらい
2022年の知事選の際、山口知事が県立大学の新設を公約として掲げ、当選しました。
それ以前にも井本知事や古川知事の時代に県立大学の構想が議論に上がることはあったようですが、この山口知事の方針表明から県立大学の構想が本格的・具体的に進められることになりました。この時は、設置場所も県内のどこかというだけで、決まっていなかったので、唐津市や神埼市など多くの市町が誘致に手を上げましたが、去年7月に、佐賀市の総合庁舎の敷地に設置することを県が発表しました。
この間、佐賀県議会で県立大学構想の議案の賛否を巡って、県議会史上初めて、一度議案が否決されて"再議"により可決されたり、県議会でもかなりの議論を巻き起こしていました。
そして去年以降、設置場所や学長就任予定者などが発表され、現在、県庁や関係機関を中心に計画の詳細が詰められている最中です。
なぜ今、佐賀県に県立大学が必要なのか
山口知事は県立大学設置の理由について「佐賀に価値を多く作って、むしろ世界中から佐賀に集まって来るような環境を作るためにはどうしても県立大学というものが必要不可欠だと私は確信している」と力強く語りました。
深刻な人材流出の現状
現在、佐賀県には佐賀大学と西九州大学の2つの4年制大学しかなく、これは島根県とともに全国で最も少ない数となっています。さらに、地方自治体が運営する公立大学がない県は、栃木、徳島、鹿児島とともに全国で4県だけという状況です。
特に深刻なのは、佐賀県の大学進学者のうち県内大学に進学する割合がわずか15%と、九州内で著しく低いことです。これは人材の県外流出を意味し、地域の持続的発展にとって大きな課題となっています。
一方で、大学進学率は平成元年の20%から去年は43%と倍以上に増加しており、高等教育へのニーズは確実に高まっています。
※県の資料より
佐賀駅から徒歩15分!八丁畷の好立地キャンパス
建設予定地となる佐賀市八丁畷の総合庁舎敷地について、県の担当者は「佐賀駅から徒歩大体15分ぐらいで、佐賀駅からサンライズストリートを通って学生たちが通学することも想定しており、県内全域からの通学利便性も良い」と説明しています。
さらに高校との連携もコンセプトにしており、近くに複数の高校があることも理由の1つです。
国道34号線沿いに位置するこの場所は、東にはゆめタウンや佐賀北警察署、西にはSAGAアリーナがあり、学生にとって利便性の高い環境が整っています。敷地面積は約1.35ヘクタールで、南北に160メートル、東西に85メートルの広さを有しています。
2段階で進むキャンパス整備計画
キャンパス整備は段階的に進められる予定です。
第1段階:既存建物のリノベーション(2029年開学時)
まず、敷地北側にある4階建ての総合庁舎はリノベーションして校舎として活用し、2029年度の開学時に使用開始となります。1学年200人から300人の定員が予定されており、初年度は1学年のみのため、この北側校舎だけで対応可能としています。
第2段階:新校舎建設(2030年利用開始)
一方、南側の1階建て建物は取り壊して更地にし、新しい校舎を建設します。こちらは2030年、開学から1年後の利用開始を予定しており、学年が増えるのに合わせた段階的な整備が計画されています。
佐賀県全体がキャンパス!新しい学習スタイル
学長に就任予定の山口和範教授は、県立大学の特色について「学生が県内各所と連携してプロジェクトをすることで佐賀県が変われる。市町とも連携しながらいろんな課題解決につなげたい」と説明しています。
県の担当者も「県立大学の学びの内容として、地域課題を解決するためのフィールドワークや、県内の高校や他大学との連携というのも重視している。県内の各地に『ベースキャンプ』を置いて佐賀県全体が学びのフィールドということになる」と話し、従来の大学とは異なる学習スタイルを強調しています。
八丁畷のキャンパスは拠点として機能し、学生たちは県内各地でのプロジェクトや課題解決型学習に取り組むことになります。屋上からは西にSAGAアリーナ、北には脊振山系の山々が一望でき、学生たちは街とのつながりを感じながら学習できる環境が整っています。
総事業費は建設費200億円、年間運営費16億円
地域活性化への期待も
県の担当者は「八丁畷のキャンパスに学生をはじめ、様々な人たちが集うことで、よりいっそうこの辺りのエリアが賑わうと良い」と話しており、大学設置による地域活性化への期待も込められています。
県によると、今後もキャンパスの完成イメージ図の発表や、開学前の地域連携の取り組みなどを通じて計画を進めていく予定です。