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2025.11.17

芸術の秋を満喫!佐賀大学美術館で3つの魅力的な展覧会が同時開催中

佐賀市本庄町にある佐賀大学美術館では、異なるテーマの3つの展覧会が同時開催中。「触れる」をテーマにした展覧会から、思わずツッコミを入れたくなるユニークな作品展、佐賀を拠点とするアーティストの個展まで、見る人の心を揺さぶる作品が勢ぞろい。しかも入場料無料で楽しめます。芸術の秋、多彩なアート体験を訪れてみませんか。

1階:「触れる、手繰る手つき」展 - 五感で感じるアートの世界

美術館1階では、文字通り「触れる」ことをテーマにした展覧会「触れる、手繰る手つき」が開催されています。通常の美術館では「見るだけ」の体験が一般的ですが、この展覧会では一部の作品を実際に手で触ることができる貴重な機会となっています。

ブブ・ド・ラ・マドレーヌの新作「人魚の領土-舟と内臓」

展示室に入ると、まず目を引くのは空間全体を使った大型のインスタレーション作品です。ブブ・ド・ラ・マドレーヌによる「人魚の領土-舟と内臓」は、舟を模したオブジェと佐賀県らしい海苔網のリサイクル素材を組み合わせた作品で、訪れる人を作品の一部にしてしまう包容力があります。天井から吊り下げられた舟のオブジェには愛らしいぬいぐるみが配置され、床にはレールが敷かれるなど、まるで港の一角を再現したような空間が広がっています。

三輪途道の触覚作品 - 視覚を失った作家の手の記憶

特に注目すべきは、三輪途道さんの作品群です。「醤油せんべい皿」と「砂糖せんべい皿」は、実際にせんべいそのもののような質感を持つ陶器作品で、「触ってOK」のマークが示す通り、手で触れることができます。

リポーターが実際に触れてみると「あ、この凹凸の感じ、空気が入ってこうなります。これがね、醤油せんべいでしょ?で、こちらがね、砂糖せんべい。あ、ざらついてる」と、その質感の違いを驚きをもって体験していました。「なんか不思議なもんで、触ってるとちょっと唾液出てくる。触って食べた感じのなんか、口がせんべいモードになりますね」という感想からも、触覚がいかに強い記憶や感覚を呼び起こすかがうかがえます。

三輪さんは50代前半で視力を失われた後、現在は手の感覚だけを頼りに作品制作を続けています。粘土で作った原型に麻布で漆を張り重ねて形作る独特の手法で生み出される作品は、見る人に「手の感覚」の重要性を改めて気づかせてくれます。

リポーターが目を閉じて作品に触れると「目を閉じてみると、素材の温かみや凹凸がよりハッキリ伝わってくる。『見る』のとは全く違う、情報が手から直接入ってくる感じ」と表現し、視覚に頼りがちな現代人にとって新鮮な体験となっています。

2階:「第4回 なんでそんなんエキスポ 佐賀」 - ツッコミで楽しむアートの世界

2階に上がると、1階とは全く異なる雰囲気の展覧会が待っています。「第4回 なんでそんなんエキスポ 佐賀」は、思わず「なんでそんなん!?」とツッコミを入れたくなる不思議な事例を集めた博覧会です。

大賞作品「オボットくん」 - 3歳児の創造力が生んだロボット

第1回大賞に輝いた「オボットくん」は、当時3歳の男の子がコロナ禍で外出できない中、空き箱などの紙を素材に作った「新しい友達」です。大の阪神タイガースファンである作者が、阪神を応援するロボットとして制作したこの作品は、さまざまな紙が切って貼られた独特の造形が印象的です。

壁面には同じ作者が制作した実在する野球選手を模した作品が1000体以上並んでおり、実際のご家庭の壁一面に貼り出されている写真も展示されています。リポーターも「なんでそんなんですよ、まさに」と思わずツッコミを入れてしまうほどの圧倒的な情熱が感じられます。

レオの髪型 - 2年かけて辿り着いた究極の寝癖対策

「レオの髪型」は、寝癖がつかない髪型を2年間かけて模索した結果、おかっぱヘアに辿り着いた男性の記録です。身長の高い男性がおかっぱスタイルを続ける姿は確かに印象的で、その髪型を再現したカツラまで展示されています。

美容師と2年の歳月をかけて模索したというプロセスが、周りの人々のツッコミによって肖像画やカツラにまで発展し、どんどん一人歩きしていったストーリーも興味深いものです。

一般参加も可能 - 大賞はお米1俵

この展覧会では、一般の方からの「なんでそんなん」投稿も募集しています。11月15日締切でウェブサイトから応募可能。日常の中にある「なんでそんなん」を写真に撮り、タイトルとストーリーをつけて投稿すると、大賞に選ばれた方にはお米1俵がプレゼントされます。賞品も含めて「なんでそんなん」な要素が満載の企画です。

3階:遠藤夏香「景色を知る/地図をなでる」 - 記憶を指で描く

佐賀を拠点に活動するアーティスト・遠藤夏香さんの個展も同時開催されています。「景色を知る/地図をなでる」というタイトルの通り、佐賀に移り住んでからの作品が中心です。

指で描く独特の手法

遠藤さんの作品の特徴は、筆ではなく指に直接絵具をつけて紙に触れて描き出す手法です。この技法は1階の「触れる」展覧会のテーマとも呼応し、美術館全体で「触れる」という行為の多様性を体験できる構成となっています。

佐賀大学生の言葉から生まれた作品

展覧会に合わせて、遠藤さんは佐賀大学の学生に佐賀の景色についてインタビューを行い、それを元にした新作も展示されています。「みかんが好きでここにいます」という作品は、農学部の学生が「みかんが好きで佐賀大学に来た」と語った言葉から着想を得ており、学生たちが語った景色にまつわる記憶や言葉に遠藤さんが触れ、応答するように形にした作品群が並んでいます。

草原の中に立つ女性の人影を描いた作品には、小さな文字が散りばめられており、それぞれの作品に込められたストーリーや背景を想像しながら鑑賞することができます。

まとめ

学芸員の五十嵐さんは「今回の展覧会本当に3つあって、色んな楽しみ方ができると、触れるし、見ることもできるし、参加することもできるので、是非色んな方と、ご家族とかお友達とかと楽しみに来て頂ければと思います」と来館を呼びかけています。触覚を使った新しいアート体験から、日常に潜むユーモアの発見、記憶を指で描く作品まで——芸術の秋にふさわしい多彩な展覧会が無料で楽しめる佐賀大学美術館で、きっと新しい芸術の楽しみ方を見つけることができるでしょう。
施設情報
  • 施設名:佐賀大学美術館
  • 住所:佐賀市本庄町1
  • 開館時間:10:00~17:00 (最終入館 16:30)
  • 休館日:月曜日(祝日の場合、翌火曜日休館)
【2025年11月7日放送 かちかちLIVE イマここ中継  より】

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