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「佐賀が魅力度最下位だから来た」——湘南から佐賀へ移住、SNSで佐賀の魅力を発信するインフルエンサー・nadiさんの物語
「47都道府県の魅力度ランキングで最下位? 絶対何かあるはず——」
そんな逆転の発想で、神奈川県・湘南から縁もゆかりもなかった佐賀県へと移住したインフルエンサーがいます。
nadiさんは移住後わずか9か月足らずでフォロワー4,000人超え、最高再生回数は約20万回を記録。
観光スポットだけでなく、日々の暮らしのリアルを自分の目線で発信し続ける彼女の言葉には、多くの人が共感しています。
今回は、そのストーリーを深掘りしました。
番組宛てのお便りがきっかけ
取材のきっかけは、番組に届いた一通のメッセージでした。
佐賀県生まれ・育ちの40代女性視聴者から、こんな声が寄せられたのです。
「SNSをよく見ていますが、佐賀をとても楽しみ、大切にしてくださっているのが伝わり、見ていて幸せな気持ちになります。移住された方々の発信は、地元を見直すきっかけにもなり、誇りにもなっています」
この温かなメッセージを受け、リポーターは実際にnadiさんのもとへ向かいました。
nadiさんとの出会い
待ち合わせ場所は「道の駅鹿島」。
取材前の調べでは、アカウント開設から1年足らずにもかかわらず、フォロワーはすでに4,000人を超えています。
さらに、動画の最高再生回数は約20万回にのぼるなど、注目を集めています。
nadiさんは、両親ともに海外出身で、活動名「nadi」も本名に由来しています。
日本語・英語・タガログ語の3か国語を操り、昨年6月に佐賀へ移住。
現在はSNSの発信に加え、企業や自治体の映像制作にも携わっています。
移住のきっかけは逆転の発想
そもそも、なぜ縁もゆかりもなかった佐賀に移住したのか─。
nadiさんの答えは、驚くほど率直なものでした。
「ある番組を見て、佐賀って魅力度最下位って言われていて。47都道府県の中で最下位って、逆に“絶対何かあるじゃん”と思った」
その直感をきっかけに、まずは5日間の一人旅へ。
佐賀の東西南北を巡りました。
旅の途中、ある滝を訪れた際、そこにかかる美しい虹を目にし、「縁を感じた」といいます。
「移住の候補地に入れてもいいな」
そう思った旅から、わずか半年後。
nadiさんは佐賀への移住を決断しました。
移住を後押しした本音
湘南にいたころのnadiさんは、会社の役員を務めるほど仕事に打ち込んでいました。
毎朝7時に起きて出勤し、満員電車に揺られる日々。大きな不満があったわけではないものの、ふとこんな思いがよぎるようになったといいます。
「人生を長く見たときに、この仕事をずっと続けるのかなって。満たされてはいなかったんです」
「好きな生活をして、好きな場所に住んで、幸せに暮らしたい。もう一瞬でもいいからって思って」
そうして「やりたいことをやろう」と決意し、佐賀への移住に踏み切りました。
自分が見つけたかったのは、「動画を撮ることが好き」という気持ちを生かした生き方。
「景色を撮って発信して、それで喜んでもらえて、実際に足を運んでもらえる。その流れがすごく好きなんです」
nadiさんは、そう語ってくれました。
発信の視点は─暮らしのリアルを届ける
nadiさんの発信の特徴は、いわゆる観光スポットの紹介にとどまらない点にあります。
日々の暮らしの中で「ここいいな」と感じた瞬間に、すぐスマートフォンを取り出して撮影する――そんな等身大の視点が、多くの共感を集めています。
中でも大きな反響を呼んだのが、「バスにUSBポートがついていて充電できる」という投稿。
「湘南より先やん、最先端すぎてびっくりした」
そんな率直な驚きが、多くの人の心に響き、話題となりました。
お気に入りの展望台
nadiさんが案内してくれたお気に入りの場所は、「立岩展望台」。
霧がかった山々と住宅地を一望できるその景色に、「山もすごくきれいに見えて、絵みたいじゃないですか」と、目を輝かせながら話してくれました。
さらに、展望台へ向かう途中に広がる茶畑の道も「すごく好き」といい、佐賀の自然をまるごと楽しんでいる様子が伝わってきます。
温泉も大好きだというnadiさんにとって、この場所は、移住してきた実感をあらためて感じられる特別なスポットのようです。
「ありのままでいいんだ」という気づき
キャリアをゼロにし、知り合いもいない土地に一人で飛び込んだnadiさん。
不安がまったくなかったわけではありません。しかしSNSを続ける中で、こんな気づきがあったと言います。
「全員がほめてくれるかっていったら、いわゆる批判的なコメントもあるわけで。でも1割がそうで9割がほめてくれるのであれば、もうありのままでいいんだって思う」
その言葉通り、移住生活のありのままをさらけ出す投稿スタイルが多くの人の共感を呼び、再生数の伸びにもつながっているようです。
移住者が集う塩田町のカフェ
取材の後半、nadiさんが案内してくれたのは、「佐賀で出会った大切な人がいる場所」だという、塩田町のカフェ「D-COFFEE」。
大正時代の建物を改装し、ご夫婦で営まれているこのカフェに、nadiさんは「ただいまー」と声をかけながら入っていきます。
その姿からも、この場所への深い親しみが伝わってきました。
出会いのきっかけは、オーナーご夫婦から届いた一通のDM。
「コーヒー屋です。おせっかい夫婦ですけど…」
そんなメッセージに惹かれて初めて訪れた際には、気づけば4時間も語り合っていたといいます。
「私の佐賀でのお父さん、お母さんみたいな存在ですね」とnadiさんは笑顔で話します。
実はオーナーご夫婦も移住者で、移住者と空き家をつなぐNPO法人を運営するなど、佐賀に来た人たちを積極的にサポートしています。
悩みを聞いたり、移住者同士をつないだり――
「ここに来れば誰かに会える」そんな温かな場所になっているそうです。
オーナーご夫婦は、nadiさんの活動についてこう語ります。
「nadiの言葉がすてきなんですよ。僕たちも刺激をもらっていて、応援したいと思っています」
同じ移住者として、同じ目線で支え合う関係。
この場所には、そんなあたたかなつながりが自然と生まれていました。
佐賀の人の温かさ
移住前の湘南では、仕事中心で人との関わりも限られていたというnadiさん。
しかし佐賀に来てからは、「人との関わり方がガラッと180度変わりましたね」と言います。
「1人だからもう飛び込むしかないなと思って。もうガチャッとドア開けて、開けてくれる方がいっぱいいて、その周りの方々に支えられて今の生活が成り立ってると思います」
知らない土地に一人で飛び込んだからこそ、出会いに積極的になれた。
そして、ドアを開けてくれる人が佐賀にはたくさんいた─その経験が、今のnadiさんの笑顔の源になっているようです。
次なる夢は「佐賀のものを使った化粧品をつくること」
現在は動画制作を軸に活動しているnadiさんですが、佐賀に来てから新たな夢も見つかったといいます。
「佐賀のものを使った化粧品を作りたい、というのが一番の目標です」
SNSでの発信や映像制作を続けながら、いずれは佐賀の素材を生かした化粧品づくりへ——。
移住してまだ1年も経っていないにもかかわらず、その夢は着実に広がっています。
まだ訪れていない地域もあるといい、「そっち方面も攻めていきたいなと思っています」と、前向きな言葉も印象的でした。
まとめ
みんながいいと言うものをそのまま受け入れるのではなく、自分の目で見て、本当にいいと感じたものを、まっすぐに「いい」と伝える。
その姿勢が、言葉に説得力を生み、心に残る表現へとつながっています。
“魅力度最下位”というレッテルを逆手に取り、自分自身の感覚で佐賀を見つめ直す──。
その飾らない視点こそが、多くの人を引きつけている理由なのかもしれません。
佐賀の日常の中にある“宝物”を見つけ続けるnadiさんのSNS。
これからの発信にも、ますます注目が集まりそうです。

