1. TOP
  2. 記事一覧
  3. ピックアップ
  4. CO₂67%削減!嬉野の老舗茶園が実現した「カーボンニュートラル新茶」の秘密

ピックアップ

pickup

2025.07.01

CO₂67%削減!嬉野の老舗茶園が実現した「カーボンニュートラル新茶」の秘密

新茶が楽しめる季節。今回は、ちょっと意外な「サステナブルなお茶づくり」の現場を訪ねて、嬉野市に行ってきました。「お茶とサステナブルってどう関係あるの?」と思う方もいるかもしれませんが、実は環境に優しい工夫が詰まっていたんです。

甘み豊かな今年の新茶

2025年は昼夜の寒暖差が大きかったため、茶葉の生育は順調。例年以上に甘みのあるお茶に仕上がっています。実際にリポーターも試飲し「まろやかで甘みがあり、おいしい」とコメント。この新茶は、ただ美味しいだけでなく、環境への思いやりも込められているのです。

訪れたのは老舗・徳永製茶

嬉野市嬉野町にある「茶荘 徳永」は、約80年続く老舗のお茶屋さん。製造から販売まで一貫して行っており、今回いただいた「新茶 璃水(りすい)」は100g 2,160円。上品な香りと味わいが楽しめます。

カーボンニュートラルを実現!

3代目・徳永和久さんによると、2021年から本格的にCO₂削減に取り組み始めたそうです。取り組み開始当初(2021年度)のCO₂排出量は29トン。それが2024年にはなんと約9.8トンまで減少。約67%の削減に成功したといいます。さらに、その残りの9.8トンは「カーボンオフセット」によって相殺し、実質的にゼロ(カーボンニュートラル)を実現しています。

カーボンオフセットって?

「カーボンオフセット」とは、どうしても削減できなかったCO₂を、森林整備や干ばつ対策などのプロジェクトへの支援を通して"埋め合わせる"こと。排出量をゼロにするための工夫です。

小さな取り組みが、大きな成果に

「無理なく、コツコツと」をモットーに、徳永さんが行ってきた取り組みは多岐にわたります。

  • 社用車の電気自動車(EV)化
  • ティーバッグ素材を植物由来に変更
  • 製造工程の見直しによるガス使用量の削減

特に注目したいのが、製造工程での"順番の工夫"です。

製造工程の工夫とは?

お茶の加工は大きく分けて3つの工程に分かれています。

  1. 選別(葉と茎などを分ける)
  2. 火入れ(香りを引き出す)
  3. 組み合わせ

この中で特にエネルギーを使うのが「火入れ」工程。80~90℃での予熱が約30分必要で、1日に3種類のお茶を製造する場合、予熱を3回行う必要がありました。

しかし徳永さんは「選別⇒予熱⇒火入れ」を3回繰り返す方法から、「選別×3回⇒予熱⇒火入れ×3回」へと変更。火入れ作業を連続で行うことで、予熱の回数を1回に減らし、大幅なガス削減に成功しました。

璃水に込めた想い

環境への強い意識の背景には、近年の気候変動の影響があります。徳永さんは「2024年は春から11月まで夏日が続きました。暑さで高温障害が起き、お茶が育たなくなった。気候変動の原因がCO₂にあるなら、自分たちで排出量を減らさないと」と語ります。

海外の知恵もヒントに

徳永さんの奥様はスロベニア出身。首都リュブリャナでは「廃棄ゼロ」を目指し、ごみ削減に街ぐるみで取り組んでいるそうです。こうした暮らしの知恵が、徳永製茶のカーボンニュートラルなお茶づくりにも大きな影響を与えているとのこと。

まとめ

"お茶とサステナブル"は一見つながらないようでいて、実は私たちの暮らしのすぐそばにある取り組みでした。無理なく、できることから少しずつ。そんな積み重ねが美味しいお茶と、未来の環境の両方を守ってくれます。
【2025年6月25日放送 かちかちLIVE 知ってる?カーボンニュートラルより】

関連記事

※各記事に掲載している料金やサービスについては、記事を掲載した時点での情報になります。掲載当時から料金やサービスが変更になっている場合がございます。
RECOMMEND