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台風シーズン到来!家庭でできる停電対策を徹底解説
今月10日から11日にかけて九州北部を襲った大雨は、線状降水帯の発生により熊本県で大雨特別警報が発令され、福岡県や佐賀県でも記録的な雨量を観測しました。台風シーズンはまだまだ続き、昨年(2024年)11月のバルーンフェスタ時期にも台風による大雨被害があったように、時期的にも全く油断できない状況が続いています。
九州電力送配電佐賀支社の岡本さんにお話を伺いました。
停電の主な原因とは?気象災害時に知っておきたい基礎知識
九州電力送配電佐賀支社の専門家によると、気象災害時の停電には主に4つの原因があります。
- 1. 倒木による停電
強風や大雨の影響で倒れた木が電力設備に接触することで断線し、停電が発生します。 - 2. 飛来物による停電
強風で飛んできた物が電線に接触・衝突することでも断線が起こり、停電します。 - 3. 落雷による停電
雷が鉄塔や電柱などの電力設備に直撃すると、変圧器などが故障し、停電の原因となります。 - 4. 土砂崩れや道路決壊による停電
鉄塔や電柱が倒れることでも停電が発生します。
2022年台風14号の被害実態
最近の大きな被害事例として、2022年9月の台風14号襲来時を振り返ると、その深刻さがよく分かります。
この台風では佐賀県内で約1万1000戸が停電しました。これは県内のみやき町の全世帯数と同じくらいの規模です。佐賀県内の電力設備の被害も532箇所に及びました。
早朝に最接近した台風でしたが、九州電力送配電やグループ会社、協力会社が一体となって復旧作業にあたり、翌日の夜には全ての高圧配電線の復旧が完了したということです。
日頃から備えておくべき5つのアイテム
災害による停電は、台風などある程度予測できる場合と地震などの予測できない場合があります。どちらにも対応するため、家庭では以下の5つのアイテムを日頃から準備しておくことが重要です。
- 1. 懐中電灯
夜間の停電時に視界が悪くなった際、懐中電灯で明かりを灯すことで転倒や怪我を防ぐことができます。また、家庭の分電盤を確認する際にも役立ちます。 - 2. ポータブルラジオ
停電するとテレビやパソコンが使えなくなることがあります。携帯型のラジオを準備しておけば、最新の気象情報や緊急情報等を入手できるため非常に便利です。 - 3. 電池の定期点検
懐中電灯やラジオに使用する電池は、使用していなくても消耗していきます。定期的に電池の点検を行いましょう。 - 4. 携帯電話のバッテリー対策
停電時は固定電話が使用できません。また、状況次第では災害などにより停電が長時間に及ぶ場合があります。モバイルバッテリーの充電や乾電池式のモバイルバッテリーを用意するなどして備えておきましょう。 - 5. カセットコンロ
停電時はIHクッキングヒーターだけでなく、電気で着火するガスコンロも使用できない場合があるため、カセットコンロを備えておくことが大切です。
便利な「九州停電情報提供アプリ」の活用法
九州電力送配電では、停電情報を効率的に提供する専用アプリを提供しています。このアプリには以下の便利な機能があります。
- エリア設定機能:あらかじめ設定したエリアが停電すると、停電発生を速やかにスマートフォンに通知
- 地図表示:九州エリアのどこで停電が起きているかをアプリ内の地図で確認可能
- 詳細情報:詳しい停電エリアや復旧見込みの確認
- 24時間チャット受付:停電に関するお問い合わせがいつでも可能
- 防災情報アクセス:気象情報やハザードマップなどの防災関連情報への簡単アクセス
「九州停電情報提供アプリ」と検索すればダウンロードできるため、この機会にぜひ活用してみてください。
実際に停電が起きた時の対処法
もし家庭で停電が発生した場合、慌てずに以下の手順で対処しましょう。
まずは周辺状況の確認
部屋の電気が突然消えた場合、まず外を確認してください。外も消えているなら配電線などが損傷している可能性があります。速やかな復旧作業が行われるため、しばらく待ちましょう。
電気の使い過ぎが原因の場合
もし外が点いているなら電気の使い過ぎかもしれません。この場合は以下の手順を行います。
- 電化製品のプラグを抜く
- リミッターやブレーカーのつまみを「入り」にする
漏電遮断機が切れている場合の対応
- ブレーカーを全て「切り」にする
- 漏電遮断機を「入り」にする
- ブレーカーのつまみを一つずつ「入り」にする
- 悪い箇所を「入り」にしたところで漏電遮断機が切れる
- 再度ブレーカーをすべて切り、漏電遮断機を入れる
- 悪い箇所以外のブレーカーを「入り」にする
漏電は火災にもつながるため、問題が解決しない場合はお近くの電気工事店に相談してください。
避難時に注意すべき重要なポイント
停電が発生し、避難が必要となった場合には以下の点に注意が必要です。
ブレーカーを必ず切る
避難する際は、ブレーカーを切ることを心がけてください。一度停電が発生しても、設備に異常がなければ災害時も電気は送られてきます。電気の消し忘れによる火災などを防ぐためにも、分電盤のブレーカーは必ず切ってから避難しましょう。
地震発生時の対応
地震が発生した場合は、電気器具のスイッチを切り、プラグを抜きましょう。特にアイロンなどの熱器具は火災の原因になるため、必ずコンセントから抜いておいてください。
切れた電線には絶対に近づかない
災害時は電線が切れて地上に垂れ下がっていることがあります。このような台風や地震によって切れた電線や垂れ下がった電線は感電の恐れがあり、大変危険です。絶対に近づいたり触れたりせず、最寄りの配電事業所まで連絡してください。
まとめ:平常時からの備えが何より大切
停電は水と違って目に見えず、ガスとも違って匂いもないため、なかなか正体を掴みづらく、自分の情報で予測もできません。そのため、確かな情報に基づいた対策が重要です。
また、電気で動くものもあれば、家庭によってはガスで動くものもあるでしょう。どのエネルギーを使っているか、それがどの家電なのかを把握しておくことも災害への備えにつながります。
停電が起きると心理的にも非常に不安になり、平常時のような行動ができない可能性も高くなります。そのためにも日頃から慣れておく、備えておくことが非常に大切です。
台風シーズンはこれからまだ続いていきます。大雨にも注意警戒が必要な時期です。今回紹介した停電対策も含めて、防災への備えをしっかりと準備していきましょう。