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佐賀の物流拠点を活用したリサイクル活動 障がい者雇用も支える循環型社会への取り組み
佐賀県内で展開されているリサイクル活動が注目を集めています。食品トレーメーカー「エフピコ」の選別工場や、生協の物流網を活用したリサイクルセンターなど、県内の現場では私たちが普段出しているリサイクル原料がどのように再生されているのでしょうか。その現場を取材しました。
九州全域の食品トレーが神埼の工場に集結
佐賀県神埼市にある「エフピコ」の選別工場では、九州全域のスーパーから回収された食品トレーの選別作業が行われています。この工場には1日約3トンという膨大な量の食品トレーが集められ、人の手によって丁寧に選別されています。
工場内では、ベルトコンベアで流れてくる大量の食品トレーを作業員が素早くチェック。色のついたトレーを見つけて中央に投げ入れ、白色のトレーと色付きトレーを分ける作業が手作業で行われています。熟練した作業員たちの手際の良さが印象的です。
特筆すべきは、この選別作業に障がいのあるスタッフも活躍していることです。長年この工場で働くベテランスタッフは、「これがきちんと洗えていなかったりするので困ります」と、語ります。
正しい分別が循環型リサイクルを支える
工場では、汚れているトレーや、豆腐容器のような硬い容器など、エフピコではリサイクルできないものを取り除く作業も同時に行われています。「ちょっと面倒であっても、食品トレーはきちんと洗って、指定どおりのものを出すということが大事」
選別された食品トレーは、その後広島県福山市に運ばれ、細かく粉砕されてペレット状に加工されます。
白色のトレーからできた白いペレットは、エコマークの付いたエコトレーとして新たな食品トレーに生まれ変わります。一方、色付きトレーからできた黒いペレットは、別のプラスチック製品として再利用される循環型リサイクルシステムが確立されています。
佐賀の物流拠点を活かしたSDGs活動
鳥栖市にある「コープ九州鳥栖エコセンター」では、佐賀県が持つ物流の利便性をフルに活かしたリサイクル活動が展開されています。この施設は物流センター内にリサイクルセンターを併設しており、効率的な資源回収システムを構築しています。
カタログ販売で毎週商品を配達する際に、前週のカタログや卵パック、飲料パック、商品を包装していたビニール袋を利用者から回収しています。年間約7000トンにも及ぶ大量の回収を可能にしているのが、この巧妙な物流システムです。
「商品をお届けと同時に回収するというシステムができている」と担当者。配達トラックが商品を届ける際に、前回のリサイクル原料を同時に回収。回収された資源は一旦配達支所に集められ、支所へ商品を搬入しに来た物流トラックが戻る際に、空いた荷台に積んで物流センター内の工場へ持ち帰ります。
回収の手軽さが利用者の意識向上に
このシステムの最大の特徴は、「回収のためにわざわざ新しくトラックを準備したりとか新しくルートを作ったりということをしていない」点です。既存の配送網を活用することで、効率的かつ環境負荷の少ないリサイクル活動を実現しています。
利用者からも好評の声が聞かれます。「コープのカタログをリサイクルに出すのは面倒ではないですし、正しくリサイクルできるように汚れないようになど、気を付けて出しています」という声が示すように、回収品を出す側にとっても手軽であることが、利用者の意識向上につながっています。
雇用創出にも貢献する循環型社会
これらのリサイクル施設では、障がい者雇用の創出にも積極的に取り組んでいます。エフピコの選別工場だけでなく、コープのリサイクル工場でも障がいのある人たちが活躍しており、リサイクル活動が社会包摂の役割も果たしています。
佐賀県が持つ交通の良さや物流拠点としての利便性を活かし、リサイクルの輪が少しずつ広がっている現状があります。私たち消費者も、正しい分別や清掃を心がけることで、この循環型社会の一端を担うことができます。
「協力できる範囲からリサイクル活動に参加していきましょう」という呼びかけのもと、一人ひとりの小さな行動が、大きな環境保護と社会貢献につながっていくのです。