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県内唯一の測量部×建築技術を学ぶ建築部の青春!鳥栖工業高校の「ものづくり」への取り組み
県内唯一!最新技術も取り入れる測量部の活動
鳥栖工業高校測量部は、県内で唯一の測量部として活動しています。5人で構成される部は、昨年伊万里市で開催された測量大会で社会人も参加する中、優勝を果たした実力を持っています。
明確な将来への目標
測量技術の基本から最新技術まで
部長の卜部さんは測量の重要性について「測量とは、距離・高さ・角度などを正確に測って記録する作業のことです。これをしないと、土地の境界が分からなくなったり、建物が正しく建てられなかったり、災害時の対応が遅れたりと、さまざまな問題が起こります。なので、測量をしていないと何もうまくいきません」と説明しています。
従来の測量機器に加え、現在は最新技術としてドローンを活用した測量も行っています。
部長は「空から地形や建物を撮影し、位置や高さなどを測る方法で、GPSを使って、正確な位置情報を取得しながら上空から連続して撮影します。そして、撮った写真を専用ソフトで処理し、3Dデータや地図を作成します」と、ドローン測量の仕組みを詳しく説明してくれました。
ドローンを使うことで「高精度な3Dデータが作れますし、広い範囲を短時間で測れ、人が入れない場所でも安全に測れます」というメリットがあり、技術の進歩に対応しながら測量技術を学んでいる様子が伺えます。
地域との関わりを大切にする建築部の活動
鳥栖工業高校建築部は17人で活動し、技術向上だけでなく地域貢献にも取り組んでいます。
部長は「私たちは建築技術を磨きながら、制作依頼やボランティア活動にも力を入れています。地域のイベントではものづくり体験コーナーやダンボール迷路を制作し、地域とのつながりも大切にしている部活です。さらに、毎年6月には佐賀県ものづくりコンテストにも出場し、部員2名が代表として優勝目指して頑張っています」と部の特徴を語ります。
先輩から後輩へ受け継がれる技術
建築部では先輩から後輩への技術継承が重要な文化となっています。部員の一人は建築部に入った理由を「体験入部の時に椅子を作りました。先輩たちが輝いていました」と話し、先輩たちの姿に影響を受けて入部したことを明かしています。
建築部の魅力について、部員は「建築部はみんなでアイデアを出し合ってそれによって、より良い作品ができるところや、イベントによって幅広い年代の人たちと関わり合えることが楽しいところです」と説明し、技術習得だけでなく、多世代との交流も魅力の一つだと語っています。
実践的な作品制作と地域貢献
現在、建築部では文化祭で販売する椅子を制作しています。木材のカットからカンナがけ、組み立てまで一連の作業を分担して行い、完成度の高い椅子を製作しています。
過去の実績として、肥前旭駅のベンチの修復作業も手がけました。「解体・撤去・制作・設置を3か月の期間で行いました」と部長が説明するように、本格的な建築作業を経験しています。
このような実践的な活動を通じて「先輩が後輩に作業方法や道具の使い方などを教えていきながら、『技』を伝授してきました」という技術継承の文化が根付いています。
技術向上への意欲
高校生ものづくりコンテストでも実績を誇る鳥栖工業高校
鳥栖工業高校は「ものづくり」の分野で県内有数の実績を持つ学校です。生徒会長は学校の特徴について「高校生ものづくりコンテスト佐賀県大会出場部門数1位であることです。佐賀県で実施される高校生ものづくりコンテスト6部門に対して5部門に出場しています。さらに毎年九州大会にも出場しています」と語ります。
溶接部門で九州大会に出場した生徒は「楽しいからです」と溶接を始めた理由を話し、「集中できて楽しい」と技術への思いを表現しています。
電気工事部門の代表生徒は「ケーブル同士を接続させて電球をつくように工事をしています」と、技術の具体的な内容を説明してくれました。
今年度からは「Tracing the Culture」という新しい行事も始まりました。これは「学校や各学科に関する問題を校内に掲示して、約10人のグループで協力し、問題を解いていく行事です。この行事の企画、運営については、生徒会総務役員が中心となり、学年や学科を超えての交流を目的とした行事です」と、生徒会が主体となって学校全体での取り組みを行っています。
工業高校ならではの専門技術への取り組み
鳥栖工業高校の測量部と建築部は、それぞれ県内唯一の部活動と地域貢献を重視する部活動として、専門的な技術習得に取り組んでいます。測量部では最新のドローン技術を取り入れながら精度の高い測量技術を学び、建築部では地域との関わりを大切にしながら実践的な建築技術を身につけています。
どちらの部活動も、高校生という時期から専門的な技術を学び、将来のプロフェッショナルを目指す生徒たちの姿勢と、仲間とのチームワークを大切にする活動が展開されています。技術を身につけることで社会に貢献したいという彼らの思いは、工業高校ならではの「ものづくり」への取り組みとして表れています。