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「海を守る!」佐賀にヒーロー誕生!"サカナマン"が海洋汚染問題に立ち向かう環境プロジェクト
虹の松原で始まった環境活動
唐津市の虹の松原で活動するのは、白と青のスーツに身を包んだサカナマン。手にしているのは確かな活動の証である「ヒーロー賞」の表彰状でした。
「海のゴミの問題を浄化する活動をしてるんですよ」とサカナマン。一見綺麗に見える海岸も、よく見るとペットボトルのキャップなど様々なゴミが散乱していることが確認できます。「海に来てゴミを見ると悲しい気持ちになりますね」という声に、「逆にそういうところに気づくことが大事」とサカナマンは応えました。
プロのスーツアクターが手がける本格プロジェクト
サカナマンの正体は、チームナットの中村さん。実は15年間にわたってプロのスーツアクターとして活動してきた経験豊富な人物です。中学校を不登校気味で卒業後、高校には行かずに声優の専門学校へ入校。そこで紹介されたアルバイトがスーツアクターでした。本格的なキャリアを持つプロです。
「実際きついことでも乗り越えられるし、続けようって思える楽しいものではあるのかなと思ってます」と、子どもたちとの触れ合いがもたらす喜びについて語る中村さん。この経験が、現在の環境プロジェクトの原動力となっています。
コロナ禍がきっかけで環境問題に注目
サカナマン誕生のきっかけは、中村さんの釣り好きとコロナ禍での社会変化にありました。「コロナ禍に釣りがめちゃくちゃ実は流行ったんです」と中村さんが説明するように、外出制限の中で釣りブームが到来しました。
しかし、「ゴミを捨てる問題がめちゃくちゃ問題になって」「ゴミの影響で閉鎖しちゃったところもある」という深刻な状況も生まれました。「これは釣り人にとっては重大な問題なのかなと思います」「自分の先の経験と今のこの問題を組み合わせたら面白いんじゃないのかなと」。こうしてスーツアクターとしての技術と環境問題への関心が結びつき、サカナマンプロジェクトが始動しました。
200万円のスーツに込められた本気度
オリジナルキャラクターの制作は「めちゃくちゃ大変でした」と中村さんは振り返ります。特に大変だったのがスーツの制作費用で、「1着200万円するんです」と、高額な投資を行いました。
「遊びじゃないよっていう、ちゃんと真面目に伝えてるんだよみたいなところを伝えるために見ためって大事だと思うんですよね。特にお子様に対して訴えかけようと思ったら、まず入り口はかっこよくないと」。子どもたちに本当に伝えたいメッセージがあるからこその、真剣な取り組みです。
2050年問題を分かりやすく伝える物語設定
サカナマンの物語設定も環境問題への理解を深める工夫が凝らされています。敵役として登場するのは「ダストラッシュ」という「2050年の未来からやってきた悪者」です。この設定には深い意味があります。
実はサカナマンが訴える環境問題に「2050問題」というものがあります。これは海のプラスチックゴミが2050年には魚の量を上回ると予測されている深刻な問題です。敵キャラクターの設定年度をこの問題と連動させることで、子どもたちに分かりやすく環境危機の切迫性を伝えています。
「ゴミとか汚水なんかをテーマにしてます」という具体的な設定により、海洋汚染の問題だけでなく、「唐津は綺麗じゃないですか?海に触れてもらうきっかけだったり、更に(唐津に)観光の人に来てもらいたい」という地域振興の側面も含んでいます。
地域に根ざした多彩な活動
佐賀県全体への展開を目指すクラウドファンディング
中村さんには明確な目標があります。「来年、クラウドファンディングを初めてやろうかなと」「佐賀県の子供たちにもっと知ってもらおうっていうところでホールショーをやりたいなと思っていて」。
現在の活動を唐津から佐賀県全体に広げ、より多くの子どもたちに環境問題について考えてもらう機会を作ろうとしています。ホールショーの実現により、サカナマンのメッセージはより多くの人々に届くことになるでしょう。
まとめ:自分のためじゃなく誰かのために戦うヒーロー
サカナマンは単なるエンターテイメントではなく、「誰でも親しみやすいように『シンプル』『ちょいダサ』を意識して、あえて『サカナマン』と名付けた」という親しみやすさの中に、環境問題という重要なメッセージを込めた真剣な取り組みです。
「本当はサカナマンが活躍しなくてもいい世の中になる」ことを目指すこのプロジェクトは、佐賀から発信される新しい形の環境教育として、今後さらなる注目を集めそうです。美しい唐津の海を舞台に、プロのスーツアクターが本気で取り組む環境プロジェクト「サカナマン」の今後の活動に期待が高まります。