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2025.11.30

"世界最高強度"の有田焼が実用化!割れない食器で佐賀がSDGsに貢献

佐賀県が誇る伝統産業である有田焼に、新たな技術革新が起きています。有田町の企業「匠」が、世界最高強度を誇る有田焼の実用化に成功し、学校給食や飲食店で注目を集めています。従来の有田焼の約3倍以上の強度を持つこの革新的な磁器は、「落としたけど、硬すぎて割れませんでした!」と子どもたちが驚く耐久性を実現。環境問題の解決にも貢献する可能性を秘めた、佐賀発の技術をご紹介します。

40年の歴史を持つ強化磁器のパイオニア

有田町の国道沿いに構える企業「匠」は、40年前の創業以来、強化磁器の開発を続けてきました。同社の店内には、全国各地の飲食店の屋号が書かれた白い小皿がずらりと並んでいます。これらは通常の強化磁器で、強さは約200メガパスカル。一般的な有田焼が90メガパスカル程度であることを考えると、すでに2倍以上の強度を実現しています。

西山専務は「今、飲食店さんの方で割れないということで評判で使っていただいております」と語ります。東京、大阪、福岡、沖縄と、全国の飲食店で採用され、「強すぎて補充が来ないっていうのはちょっとネックなんですけど」と笑いながら話すほど、その耐久性は実証されています。

学校給食から始まった強化磁器の普及

匠の強化磁器は、実は多くの人にとって馴染み深いものかもしれません。同社は長年にわたって学校給食用の食器を製造しており、福岡県春日市や鹿島市、さらには東京都の学校給食でも数多く採用されています。「Q-shock陶土」と名付けられたこの中間グレードの強化磁器は、230メガパスカルの強度を持ちます。

西山社長は創業以来の思いを次のように語ります。「破損がないと売れないじゃないって僕よく言われるんですけど、そういう人たちが口コミで周りの人に情報を流してくれるんです。そしたら新しい取引先がどんどんどんどん増えましてね。経費削減のためには僕は強化磁器が貢献していると思います。お客さんが喜んでくれるって、これはやっぱり私は商売の原点だと思ってます」

300メガパスカル超!世界最高強度の実現

そして、ついに世界最高強度の有田焼が実用化されました。300メガパスカルを超える強度を持つこの磁器は、見た目や手触りは通常の磁器と変わらないながら、驚異的な耐久性を実現しています。

現在、この世界最高強度の有田焼は、白石町の小学校給食で使用されています。実際に使用している子どもたちに話を聞くと、その効果は明らかです。

  • 「落としたけど、硬すぎて割れませんでした!」
  • 「僕も落としたことあるけど、割れなかった」
  • 「白くてきれいで持ちやすいので、食器を落とさず、おいしく給食を食べられています」

子どもたちの中には、「汁とかご飯とか下の底が見えないけど、食べ終わったら『みのりちゃん』が見えてくるところが、僕は好きです」と食器のデザインまで楽しんでいる様子も見られます。

科学的実証!圧倒的な強度の秘密

佐賀県窯業技術センターで行われた衝撃試験では、その強度の違いが科学的に実証されました。蒲地伸明副所長の説明によると、「この鉄のハンマーで、この品物の縁を叩いて、割れなければずっと角度を増やしていって、割れるまで試験をして、衝撃強さというのを調べてます」とのこと。

普通の有田焼は0.2ジュールで割れるのに対し、世界最高強度の磁器は0.65ジュールまで耐え、90度近い角度まで到達しても割れませんでした。「これくらい強いと普通の学校で子供の机から落としたぐらいだと割れないと」と蒲地さんは説明します。

強度の秘密は、磁器の内部構造にありました。蒲地さんによると、「磁器って非常に硬くて強いように見えるんですけど、実は中に小さな傷がいっぱいあるんですよね。でその傷をなくしていくことで、中に欠陥がほとんどない状態にすることで強度を上げる」のだそうです。

佐賀県発の技術で全国展開

この世界最高強度の技術は、2016年に佐賀県窯業技術センターが開発に成功し、匠が2020年に商品化技術を確立しました。現在、佐賀県が特許を取得しており、「基本的に県内の業者さんが、使いたいところは、佐賀県の方から、許可というかですね、どうぞ使ってくださいということで、基本的に県内業者さんが優先して利用されてます」と蒲地さんは説明します。

商品化において最も困難だったのは、品質の安定化でした。西山社長は「強度が同じような強度で作っていくっていうのがやっぱり一番難しい。それともう一つは、成形、作っていくときの成形性がですね、まん丸く取れないんです。みんな歪んだりとこなんとかするんです。それが安定して取れるっていうのがやっぱり商品化になるきっかけなんです」と振り返ります。
割れ目の断面を見比べると、世界最高強度の磁器は「中に欠点がなくて、緻密になっておりますので、非常に滑らかな破面になっています」。

SDGsと食文化への貢献

この技術革新の背景には、環境問題と食文化への深い配慮があります。西山社長は「やっぱりこれだけ豊かになった国で、プラスチックとかアルマイトとか、そういうものを使ってる先進国は日本だけだった。食文化、食育っていうのをね、考えた時にこれでいいのかなと思って」と語ります。

「アメリカ、ヨーロッパでは樹脂製の食器っていうのは、あんまり使わないんです。どうしても石油製品になってくると、CO2の排出量とか、そういったものでですね、敬遠されていると」と環境面での優位性を強調し、「もうSDGsを考えるのだったら私は焼き物だと思います」と断言します。

豊かな暮らしへの思い

学校、病院、飲食店と様々な場所で普及が進む強化磁器事業の根底にあるのは、「きれいな磁器の食器で豊かに暮らしてほしい」という思いです。

西山社長は病院での体験談を紹介します。「入院して家庭と同じような食器だったっていうことで、ホッとしたっていう話を私も随分聞きました」。また、「やっぱり子供たちが小さい時に食器、何使ってましたかって言った時に焼き物ですって言える。そういうことをね、考えて」と、次世代への思いも込められています。

まとめ:伝統と革新が切り開く持続可能な未来

佐賀県が生み出したこの革新的な技術は、伝統産業の新たな可能性を示すとともに、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。

物を大切に扱う心を育みながら、実用性も兼ね備えた世界最高強度の有田焼。「お客さんが喜んでくれるって、これはやっぱり私は商売の原点だと思ってます」という西山社長の言葉に込められた思いとともに、今後さらなる普及が期待されます。

【2025年11月25日放送 かちかちLIVE サガSagace  より】

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