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"世界最高強度"の有田焼が実用化!割れない食器で佐賀がSDGsに貢献
40年の歴史を持つ強化磁器のパイオニア
有田町の国道沿いに構える企業「匠」は、40年前の創業以来、強化磁器の開発を続けてきました。同社の店内には、全国各地の飲食店の屋号が書かれた白い小皿がずらりと並んでいます。これらは通常の強化磁器で、強さは約200メガパスカル。一般的な有田焼が90メガパスカル程度であることを考えると、すでに2倍以上の強度を実現しています。
学校給食から始まった強化磁器の普及
匠の強化磁器は、実は多くの人にとって馴染み深いものかもしれません。同社は長年にわたって学校給食用の食器を製造しており、福岡県春日市や鹿島市、さらには東京都の学校給食でも数多く採用されています。「Q-shock陶土」と名付けられたこの中間グレードの強化磁器は、230メガパスカルの強度を持ちます。
300メガパスカル超!世界最高強度の実現
そして、ついに世界最高強度の有田焼が実用化されました。300メガパスカルを超える強度を持つこの磁器は、見た目や手触りは通常の磁器と変わらないながら、驚異的な耐久性を実現しています。
現在、この世界最高強度の有田焼は、白石町の小学校給食で使用されています。実際に使用している子どもたちに話を聞くと、その効果は明らかです。
- 「落としたけど、硬すぎて割れませんでした!」
- 「僕も落としたことあるけど、割れなかった」
- 「白くてきれいで持ちやすいので、食器を落とさず、おいしく給食を食べられています」
子どもたちの中には、「汁とかご飯とか下の底が見えないけど、食べ終わったら『みのりちゃん』が見えてくるところが、僕は好きです」と食器のデザインまで楽しんでいる様子も見られます。
科学的実証!圧倒的な強度の秘密
佐賀県窯業技術センターで行われた衝撃試験では、その強度の違いが科学的に実証されました。蒲地伸明副所長の説明によると、「この鉄のハンマーで、この品物の縁を叩いて、割れなければずっと角度を増やしていって、割れるまで試験をして、衝撃強さというのを調べてます」とのこと。
普通の有田焼は0.2ジュールで割れるのに対し、世界最高強度の磁器は0.65ジュールまで耐え、90度近い角度まで到達しても割れませんでした。「これくらい強いと普通の学校で子供の机から落としたぐらいだと割れないと」と蒲地さんは説明します。
強度の秘密は、磁器の内部構造にありました。蒲地さんによると、「磁器って非常に硬くて強いように見えるんですけど、実は中に小さな傷がいっぱいあるんですよね。でその傷をなくしていくことで、中に欠陥がほとんどない状態にすることで強度を上げる」のだそうです。
佐賀県発の技術で全国展開
この世界最高強度の技術は、2016年に佐賀県窯業技術センターが開発に成功し、匠が2020年に商品化技術を確立しました。現在、佐賀県が特許を取得しており、「基本的に県内の業者さんが、使いたいところは、佐賀県の方から、許可というかですね、どうぞ使ってくださいということで、基本的に県内業者さんが優先して利用されてます」と蒲地さんは説明します。
SDGsと食文化への貢献
この技術革新の背景には、環境問題と食文化への深い配慮があります。西山社長は「やっぱりこれだけ豊かになった国で、プラスチックとかアルマイトとか、そういうものを使ってる先進国は日本だけだった。食文化、食育っていうのをね、考えた時にこれでいいのかなと思って」と語ります。
「アメリカ、ヨーロッパでは樹脂製の食器っていうのは、あんまり使わないんです。どうしても石油製品になってくると、CO2の排出量とか、そういったものでですね、敬遠されていると」と環境面での優位性を強調し、「もうSDGsを考えるのだったら私は焼き物だと思います」と断言します。
豊かな暮らしへの思い
学校、病院、飲食店と様々な場所で普及が進む強化磁器事業の根底にあるのは、「きれいな磁器の食器で豊かに暮らしてほしい」という思いです。
西山社長は病院での体験談を紹介します。「入院して家庭と同じような食器だったっていうことで、ホッとしたっていう話を私も随分聞きました」。また、「やっぱり子供たちが小さい時に食器、何使ってましたかって言った時に焼き物ですって言える。そういうことをね、考えて」と、次世代への思いも込められています。
まとめ:伝統と革新が切り開く持続可能な未来
佐賀県が生み出したこの革新的な技術は、伝統産業の新たな可能性を示すとともに、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。
物を大切に扱う心を育みながら、実用性も兼ね備えた世界最高強度の有田焼。「お客さんが喜んでくれるって、これはやっぱり私は商売の原点だと思ってます」という西山社長の言葉に込められた思いとともに、今後さらなる普及が期待されます。

