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2025.12.12

見えない・見えにくい人も一緒に楽しめる「フロアバレーボール」 佐賀県立盲学校の挑戦

「見えない・見えにくい人も健常者も一緒に楽しめるスポーツがある」——そんな魅力的な競技が、佐賀県立盲学校で盛んに行われています。その名も「フロアバレーボール」。「最初は怖かったんですけど、練習していくと音が色々聞き分けられますので、それで奥深さを感じて楽しくなります」「人生で初めて点取りたいと思いました」——視覚の違いを超えて心を通わせる、このスポーツの特別な力をご紹介します。

佐賀県内唯一の盲学校の豊かな学校生活

佐賀県立盲学校は、「県内唯一の見えない・見えにくい人が通う学校」です。幼小学部、中学部、高等部普通科・理療科があり、現在3歳から69歳までの幅広い年代の幼児・児童・生徒が学んでいます。

特に注目すべきは理療科で、「あん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの国家資格を取得するための学科で、3年生の2月に国家試験を受験します」と生徒会の皆さんが説明してくれました。

学校生活も充実しており、「体育祭や文化祭は全校生徒が一丸となって学校を盛り上げる一大イベント」として開催されています。さらに、「毎年龍谷高校サッカー部とブラインドサッカーを通じてスポーツ交流会なども企画」するなど、見える・見えないに関係なくお互いの理解を深める取り組みも積極的に行われています。

フロアバレーボールとは何か?

フロアバレーボールについて、前衛エースアタッカーの草場さんが詳しく教えてくれました。

「視覚障害者と健常者が一緒に楽しむことができるバレーボール」だと説明する草場さん。「ルールとかコートの広さ、通常のバレーボールと全部一緒なんですけど、違うのがネットの下30cmでボールを転がしてプレイするところ」が最大の特徴です。

そしてもう一つの大きな違いが、「前衛3人がアイシェードをつけて全く見えない状態でプレイするところ」です。アイシェードとは「ゴーグルみたいなやつ」で、これにより前衛の選手は完全に視界を遮られた状態でプレイします。

チームワークが生む感動のプレー

なぜフロアバレーボールを始めたのか、部員に聞いてみました。小澄さんは「盲学校に入学する前まではサッカーをしていましたが、フロアバレーボールと出会い、見えにくくてもこんなに激しいスポーツがあることを知りました」と語ります。

「またチーム一丸となって行うスポーツであることやアタックを打った時の爽快感がすごく入部しました」という言葉からは、このスポーツの魅力が伝わってきます。

山田さんは「ブロックアウトを決めたり、年上の先輩とスポーツが出来て楽しいです」と、世代を超えた交流の楽しさを教えてくれました。

声かけとチームワークの重要性

フロアバレーボールで最も重要なのは、見えない前衛と見える後衛の連携です。「見えない前衛と見えている後衛が協力するため、声かけとかチームワークが大切」だと草場さんは強調します。

実際の練習では、「まず名前を呼んで届く前にカウントダウンします」という場面が見られました。「3,2,1」という声とともにボールが渡され、選手たちは音と仲間の声だけを頼りにプレイしています。

恐怖を乗り越える練習の積み重ね

全く見えない状態でプレイすることについて、草場さんは正直な気持ちを語ってくれました。

「最初は怖かったんですけど、練習していくと音が色々聞き分けられますので、それで奥深さを感じて楽しくなります」

この言葉からは、練習を重ねることで恐怖が楽しさに変わる過程が伝わってきます。「上手くなるとボールの音だけでもパスは取れるようになる」という技術の向上も、このスポーツの奥深さを物語っています。

リポーターの貴重な体験

実際にフロアバレーボールを体験したリポーターの感想は印象的でした。

「全くやっぱ前が見えないので、皆さんの声を頼りにするしかないので、チームワークがとても大事」「321の掛け声がとても大きいですね」と、実際に体験することでこのスポーツの本質を理解できたようです。

また、意外な発見もありました。「見えない以外にもっと大変なことがあります。しゃがんでるんで、下半身がとても辛い」という身体的な負担についても語っています。

しかし、「とても楽しいっすね」「決まったら気持ちいいです」という感想からは、このスポーツの魅力が十分に伝わってきます。

「人生で初めて点取りたいと思いました」という言葉は、フロアバレーボールの持つ特別な魅力を端的に表現しています。

強豪チームとしての実績

佐賀県立盲学校フロアバレーボール部は、ただ楽しむだけでなく、競技としても高いレベルを誇っています。「歴史も古く、去年は九州大会で準優勝を収めています」という実績が物語るように、強豪チームとしての地位を確立しています。

練習では「後衛が前衛にパスをして、相手のブロックが来る前に即効でアタックをしたり、相手前衛からブロックアウトを狙うなどする練習」が行われており、戦術面でも高度な内容に取り組んでいます。

全国大会への熱い思い

部長の平松さんが語る今後の目標には、チーム一丸となった強い意志が感じられます。

「来年の6月に長崎で九州盲学校体育大会が開催されます。それまでみんなで練習を積み重ねて絶対優勝し、沖縄県で開催される全国大会へ出場し、絶対優勝していきます」

この力強い宣言に、チーム全体の「えいえいおー!」という掛け声が響き、一体感の強さを物語っていました。

まとめ:誰もが楽しめるスポーツの価値

フロアバレーボールは単なるスポーツを超えて、人と人とのつながりを深める特別な意味を持っています。見える人も見えない人も、年齢や経験に関係なく一緒に楽しめる環境は、まさに共生社会の理想的な姿と言えるでしょう。

声をかけ合い、音を頼りにし、仲間を信頼してプレイする姿は、私たちに大切なことを教えてくれます。それは、お互いを思いやり、支え合うことの素晴らしさです。

佐賀県立盲学校フロアバレーボール部の挑戦は、スポーツを通じて心と心をつなげる感動的な物語として、これからも続いていくことでしょう。

【2025年12月9日 放送 かちかちLIVE 青春!アクティ部 より】

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