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300年前に佐賀に落ちた「小城隕石」の謎に迫る 視聴者からの疑問をサガテレビが徹底調査
視聴者からの疑問が調査のきっかけに
江戸時代の記録に残る「雷のような音」
小城隕石の真相を探るため、まず向かったのは小城市立歴史資料館でした。そこで明かされたのは、江戸時代の貴重な記録でした。
「大きい隕石が落ちたっていう記録はですね、江戸時代に書かれた『小城日記』という日記の中に出てきます。雷のような音をしながら石が落ちてきたということですね」と資料館の職員が説明しました。
その落下時期は1741年、今から約300年前のこと。「その落ちたということ自体、もう事実は間違いない」と断言されるほど、確かな記録として残されています。
江戸時代の人々が目撃し、記録に残した「雷のような音」とともに降ってきた石。その衝撃と驚きは、300年の時を超えて今も私たちに伝わってきます。
4つに分かれた隕石の行方
小城隕石は銀町の畑田というところを中心に、4箇所に分かれて落下しました。その重量は約6kg、約4.3kg、約2kg、約2kgの4つ。しかし、現在その行方は謎に包まれています。
「確実に分かっているのは、大英博物館の方に寄贈されたという記録はある」と職員は説明しました。なんと、小城隕石の一部は海を越えて、イギリスの大英博物館に収蔵されているのです。
残りの3つについては「小さい2kgの方はちょっと所在が分からない」とのこと。つまり、まだ発見されていない隕石が存在する可能性があるのです。もしかすると今でも、佐賀県のどこかに宇宙からの贈り物が眠っているかもしれません。
現地調査で見えた地域の記憶
落下地点とされる小城町畑田周辺で現地調査を行いました。しかし、ピンポイントでの場所は特定できていません。
地元の住民に話を聞くと、「江戸時代に落ちてきたっていうのはちょっと聞いたことあります」という声も。300年という歳月を経ても、地域の記憶として語り継がれていることが分かりました。
代々受け継がれてきた「あの時、空から石が落ちてきた」という話。それは単なる伝説ではなく、確かな歴史的事実だったのです。
日本で4番目に古い記録を持つ貴重な隕石
さらに詳しい情報を求めて佐賀県立博物館を訪れました。学芸員によると、「日本で大体50個ぐらい隕石が落ちているんですけども、小城隕石はその中で4番目に早い時期に落ちた隕石として記録されています」とのことです。
小城隕石は「コンドライト」という種類に分類されます。これは「太陽系が生まれた頃の物質がそのまま残った最も原始的な隕石」として、宇宙の成り立ちを知る上で極めて貴重な資料なのです。
約46億年前、太陽系が誕生した時の物質がそのまま残っている。それが300年前に佐賀の空から降ってきた。この事実の壮大さに、思わず息を呑んでしまいます。
佐賀は隕石の特等席?
調査の中で驚くべき事実が明らかになりました。佐賀県には小城隕石以外にも、福住(現在の白石町)と神崎にも隕石が落ちた記録があるのです。合計3回も隕石が落下している佐賀県は、まさに「隕石スポット」と言えるでしょう。
学芸員は「隕石は宇宙からの贈り物とか言われるように、我々が住んでいる地球のでき方であったり、太陽系のでき方とか、そういったものにものすごい活用できるとても重要な資料になっています」と説明しました。
なぜ佐賀県に3回も隕石が落ちたのか。それは偶然なのか、それとも何か理由があるのか。新たな謎が浮かび上がってきます。
調査で明らかになった小城隕石の全貌
今回の調査で明らかになったのは以下の点です:
- 落下時期: 江戸時代1741年(約300年前)
- 落下場所: 小城市畑田周辺(銀町の畑田を中心に4箇所)
- 隕石の数: 4つに分かれて落下(約6kg、約4.3kg、約2kg、約2kg)
- 現在の所在: 一部は大英博物館に寄贈、残りは所在不明
- 記録の重要性: 日本に落ちた記録が残っている隕石で4番目に古い
- 隕石の種類: コンドライト(太陽系誕生時の原始的な物質)
- 佐賀県の特徴: これまで計3回の隕石が落下(小城、福住、神崎)
まとめ:300年の時を超えたロマン
「宇宙からの贈り物がこの私たちの住む佐賀県に届いたということで、すごく胸が熱くなります」とリポーターが語ったように、300年前の出来事が現代に蘇り、新たな発見への扉を開いています。
神崎のはちみつ屋さんからの疑問をきっかけに、佐賀県が持つ壮大な宇宙ロマンの一端が明らかになりました。もしかすると、あなたの足元にも宇宙からの贈り物が眠っているかもしれません。
300年前の空を見上げた江戸時代の人々と、今の私たちは、同じ宇宙とつながっている。小城隕石が教えてくれるのは、そんな時空を超えたロマンなのです。

