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2025.12.30

伊万里市の大川内山で「イマリ・キャンドル・クリスマス」が開催 - 冬の新たな風物詩が誕生

鍋島焼の里として知られる伊万里市「秘窯の里 大川内山」で、冬の新イベント「イマリ・キャンドル・クリスマス」がありました。歴史ある窯元の煙突が巨大なキャンドルに変身し、幻想的な光景を演出。昨年の初開催で約1万5000人が訪れた人気イベントは、伝統の地に新しい風を吹き込み、若い世代や家族連れを魅了しています。江戸時代から350年続く鍋島焼の伝統を守りながら、新たなチャレンジに挑む窯元の想いをお届けします。

煙突が巨大キャンドルに変身する驚きの演出

11月下旬、窯元の店舗前に置かれた真っ白な巨大オブジェ。まるで「巨大な歯」のような形をしたそのオブジェが、クレーンで吊り上げられ、歴史ある窯元の煙突に取り付けられます。この「煙突キャンドル」は4本灯され、炎の部分も取り付けて完成します。

設置作業を行った作業員は「お客さんが見る角度を考えて、一番見栄えがいい方向という感じですね。歴史がある煙突なので、結構上のレンガが取れやすかったりとかして。崩れる可能性もあったので、その辺はちょっと慎重に作業させてもらいました」と話し、伝統ある建造物への配慮を語りました。

冬のイベントがなかった大川内山に新たな賑わい

大川内山では従来、春には窯元市、夏には風鈴祭り、秋には秋祭りと季節ごとのイベントがありましたが、冬にはこれまでお祭りがありませんでした。そこで昨年から「イマリ・キャンドル・クリスマス」が新しく開催されて、大きな反響を呼んでいます。

来場者数を見ると、昨年のイマリ・キャンドル・クリスマスでは約1万5000人が訪れ、メインイベント期間中(12月21日〜22日)だけでも6515人、1日当たり3258人という驚異的な集客数を記録しています。これは他のイベントと比較しても突出した数字で、冬の新たな風物詩として定着していることがわかります。

幻想的な夜の演出とイベント内容

イベント当日の午後4時頃から会場は賑わい始め、最寄りの駐車場はほぼ満車になるほどの大盛況となります。メイン会場にはずらっとキッチンカーが並び、美味しそうな匂いが漂います。キャンドルが作れるワークショップや、子供たちが一生懸命作る大きな綿あめ、そしてメインステージでは様々なイベントが催されています。

午後6時の点灯式では、司会者が「焼き物の町・伊万里大川内山にやさしく照らす最後の灯りが、今灯りました」と告げると、道の脇にずらっと並んだキャンドル(今年はLEDライト)が一斉に光り、巨大なサンタクロースと煙突キャンドルが幻想的な雰囲気を演出します。

訪れる人々の声と窯元の想い

嬉野から訪れた夫婦は「サンタクロース見に」来たと話し、「期間限定ですよね、二日間っていう。行かないと思って、連れてぜひ来たかったので来ました」と期間限定のイベントへの特別感を語りました。

佐世保から来たカップルは「今日はクリスマスキャンドルを見に来たのですが、色々回ってるうちに皿を、お皿を購入しました」と話し、男性は「なかなか来ることがないので、興味深かったですね。」と窯元巡りの魅力を実感していました。

窯元の取り組みと地域一体の協力

畑萬陶苑の畑石専務は「普段よりですね、日頃いらっしゃらないような、お子様連れのお客様とかも結構いらっしゃってですね、大変賑わいを感じてます。近場に住んでいる方でも、初めて来ましたという方が結構いらっしゃるので、来てもらうきっかけにはすごくなっているのかなと思います」と新しい客層の開拓について語りました。

青山窯の川副さんは「自分たちは結構宣伝したつもりだったんですけど、初めて来たとか、ぜひまた来たいとかって言っていただけて、大変うれしいです。焼き物を売るんじゃなくて、実際楽しんでもらおうということで、ろくろ体験とか、実際このスペースもですね、昔のろくろ場の古い建物、一般公開して、カフェのイートインという形で使っています」と、体験重視の取り組みを紹介しました。

虎仙窯の川副さんは「灯りの、ぼんぼりとかの準備とか、片付けとか、あとは交通の面とか、地域の人たちのコミュニケーション関係を僕らでやっているっていう形になってます。外部のお客さんもそうですけど、中の人たちがコミュニケーションを取って交流ができるということはすごくいいことだなとは思います」と、地域一体での取り組みを語りました。

伝統を守りながら新しいチャレンジへ

実行委員会・県文化課の石橋さんは「焼き物を幅広い世代の人に知っていただきたいという思いから始めております。若い女性の方々だったり、ご家族、お子さん連れの方だったり、いろんな方が遊びに来るような感覚で焼き物に触れられる機会を作りたいと思いました」とイベントの趣旨を語りました。「昨年は佐賀県のみで開催させていただいたんですけれども、地元の方に大変好評いただきましたので、地元も一体となって開催をすることができるようにご理解いただけて、ご協力いただいて、この形でさせていただくことができました」と、地域との連携についても触れています。

虎仙窯の川副さんは鍋島焼350年の歴史について「350年江戸時代から、結構閉鎖的なその産地のような背景があるので、いろんな人たちに広げ、開けていって、伝統を守りながら、新しいことが爆発的に生まれていく環境ができていけばいいなと思ってます」と展望を語りました。

畑萬陶苑の畑石さんは「この節目の350周年というのが、これで終わりではなくてですね、今後、この後50年、100年と続いていくようにということで、我々だけじゃなくてですね、皆さんと一緒に作っていけたらなという思いですね」と、未来への想いを込めました。

青山窯の川副さんは「先人たちは新たなことをチャレンジして、やはり素晴らしいものを手に入れたってことなので、私たちも常に時代に挑戦して、いいものを残していかなきゃいけないっていうのを強く感じてます」と、伝統継承への決意を語りました。

まとめ

リポーターは「イベントやイルミネーションを目的に訪れた若い方、親子連れ、カップルがふらっと窯元に立ち寄り、興味深そうに焼き物を見ている姿がすごくいいなと思いました。伝統産業を守っていくには若い方の力が必要。キャンドルのように、この灯火が続いていってほしい」と感想を述べています。イマリ・キャンドル・クリスマスの煙突キャンドルや巨大サンタ、イルミネーション。伝統ある鍋島焼の里に生まれた新たな風物詩を続けていきたいですね。
【2025年12月23日放送 かちかちLIVE サガsagace より】

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