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2026.01.20

深刻な整備士不足――佐賀県で求人6.18倍 女性整備士育成に注目集まる

自動車社会を支える整備士が全国的に不足している中で、佐賀県では特に深刻な状況です。有効求人倍率は6.18倍と全職種平均を大きく上回り、車検や定期点検への影響も懸念されています。そんな中、女性整備士の育成と活躍に注目が集まっています。佐賀市で女性起業家が立ち上げた整備工場では、専門学校の女子学生が現場研修を受け、未来の整備士として成長する姿がありました。

数字が物語る深刻な人手不足の実態

全国の自動車整備士の有効求人倍率は昨年5倍を超え、佐賀県に絞ると6.18倍という驚異的な数字に達しています。この数値は、1人の求職者に対して6つ以上の求人があることを意味し、全職種の平均と比較すると非常に高い水準となっています。

「車検とか定期点検とか心配ですね」とリポーターが懸念を示すように、この人手不足は自動車ユーザーにとっても他人事ではありません。安全な車社会を維持するためには、整備士の確保が急務となっています。

女性起業家が切り開く新たな道筋

佐賀市本庄町にある自動車整備工場では、女性整備士が起業した注目すべき取り組みが行われています。9年前にこの整備工場を起業した田中里絵子社長は、「整備工場に行きにくい女性客にも、気軽に来てもらえるような整備工場を作りたい」と起業の動機を語ります。

田中社長は、「就職がなかった女性整備士さんが、活躍できる整備工場があってもいいのではないかと思い立ち上げました」と続け、女性が働きやすい環境づくりへの強い思いを明かしています。

専門学校生が体験する現場の厳しさと魅力

この日は自動車整備士を養成する佐賀工業専門学校から2人の女子学生が現場研修に訪れていました。36名のクラスのうち女子は2名のみという現状の中、彼女たちは積極的に技術習得に取り組んでいます。

現場での接客研修では、お客様から「車のエンジン音がおかしいです。昔と今で違いがあるため、見てほしい」「ドアロックをかけた時にウィンカーが光るようにして欲しい」といった具体的な要望を受け、実際の対応方法を学んでいます。

診断機器を使った車両点検では、「エンジンオイルの温度、水温とか」といった専門用語が画面にずらりと表示されています。覚えることの多さに驚く様子も見られます。リポーターも「専門職っていうこともあって大変ですが、やりがいを感じている」と学生たちの真剣な姿勢を評価しています。

整備士を目指すきっかけと覚悟

2人の女子学生に整備士を目指した理由を聞くと、それぞれに明確な動機がありました。1人目の学生は「自分も人助けをし、お客様を笑顔にさせたい。母が美容師の仕事をしており、人を笑顔にさせていたのを見たのがきっかけ」と、人の役に立つ仕事への憧れを語ります。

2人目の学生は「車の点検整備についていった際に整備士の方がテキパキ作業されていました。私もこんな整備士になりたいなと思って整備士目指しました」と、プロフェッショナルな技術への憧れが動機となったことを明かしています。

体力面での課題と職場環境の改善

現場研修では、軽自動車のタイヤ交換も体験しました。一般的には軽いと思われがちなタイヤでも、女性にとってはかなりの重労働です。「重たい」という声も聞こえる中、学生たちは懸命に作業に取り組んでいます。

田中社長は体力面での課題について、「重労働の作業が女性にとっては、本当に大変な作業です。怪我した女性はかなりいる」と実情を説明します。そして「会社側としても多様な設備とか入れて整備投資をし、女性が働ける環境を作ります。そういうとこでも整備士不足を解消していく必要はある」と、職場環境改善の必要性を強調しています。

専門学校教師が感じる業界の変化

専門学校の先生は現在の状況について、「実際この整備士の成り手不足を実感するところはありますか?」という質問に対し、「成り手は減る一方です。今の子供たちは、携帯を扱っているため、外で遊ぶことが少なくなっています。昔の時代とは大違いです」と時代の変化を指摘しています。

一方で希望的な変化も見えています。「しかし、今は色んなことを変化させる時代でもあります。今、女性の人材を必要とする、ディーラー系の募集が多いです」と、女性整備士への需要が高まっていることを説明しています。

業界全体での人材確保への取り組み

業界全体でも様々な対策が検討されています。日本自動車整備振興会では、子供向けに工具の使い方を学べる体験キットを制作するなど、早期からの興味喚起に取り組んでいます。「体験キットを組み立てるだけでも、実際車の形になっていくと楽しいと思う」と、将来の整備士育成への工夫が見られます。

女性ならではの不安と成長

女性として整備士を目指すことの難しさについて聞かれると、学生たちからは率直な回答が返ってきました。「この学校に入学する前は、力の面で心配でした。実習をしていく中で少しずつ自信が自分についてきました。今はそこまで不安はないですね」という声からは、経験を通じた成長が感じられます。

もう1人の学生も「重たいのは持てないことが多いです。そこで先生たちがサポートしてくれるから今は不安がないです」と、周囲のサポートの重要性を語っています。

男女共存による新しい働き方

田中社長は今後のビジョンについて、「私が目的としてるのが、男性と女性の共存です。お互い得意不得意があって、そこを一緒に協力してお客様に1つの最高のサービスとして提供ができれば」と語ります。

また、業界全体の働き方改革についても言及し、「働き方改革っていうのが業界では、ワンテンポ遅れてる気がする。特に自動車整備工場ってサービス業の中で、土日が一番多いから会社が休めなかったりとか」と現状の課題を指摘しています。

そして「社員の技術があるからこそ、お客様に初めてサービスが提供できると思います。自分ばかり大変とか思う整備じゃなくて、みんなを思って整備をしていくと業界自体が変わっていく」と、業界全体の意識改革の必要性を強調しています。

まとめ

近い将来、佐賀県の自動車整備業界を支える人材として活躍が期待されています。女性も含めてみんなが働きやすい環境を整えていくことが、深刻な人材不足解消への重要な鍵となりそうです。自動車整備士不足という課題に対し、女性の活躍推進と働き方改革を通じて新たな道筋を示す取り組みは、佐賀県だけでなく全国のモデルケースとなる可能性を秘めています。
【2026年1月13日放送 かちかちLIVE サガSagaceより】

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