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悩める江北町 新幹線長崎ルート暫定開業は“プラス”しかし将来への不安【佐賀県】

2021/02/03 (水) 18:48

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九州新幹線長崎ルートについてシリーズでお伝えする新幹線光と影の現場。今回はは鉄道の要衝の一つ肥前山口駅がある佐賀県江北町です。来年秋に控える暫定開業に向け、まちづくりが進められる一方、そのさらに先の将来には懸念があります。

【在来特急は1日70本停車】
佐賀県のほぼ中央に位置する江北町。町内唯一の駅、肥前山口駅です。長崎本線と佐世保線が分岐し特急は上下線あわせて1日に70本近く停車します。県内を走る鉄道の要衝ともいえる駅を抱える町は九州新幹線長崎ルートの開業についてどう考えているのか。

【江北町・山田恭輔町長】
「実は令和4年は江北町にとっても大きな節目の年になります。というのがちょうど町制施行70周年の年にもあたるもんですから、今回奇しくもといいましょうか、暫定開業と同じ年なもんですから、ぜひここをまちづくりの、飛躍の一つの大きなきっかけにしたいなと」

【来年の暫定開業への期待】
来年秋に予定されている長崎ルートの暫定開業。武雄温泉駅で在来線から新幹線に乗り換えるというリレー方式によるものです。来年は江北町が誕生して70年の節目の年でもあり、新幹線はまだ通らないものの、特急が多く停まる肥前山口駅を中心に活性化を図りたい考えです。

【江北町・山田恭輔町長】
「おそらく単純に暫定開業があるから即プラスになるというよりは、プラスにできる要素がたくさんあるんだという風に思いますし」

線路を南北にまたぐ通路のリニューアルをはじめ、駅の北側にある駐車場の一部約700平方メートルを、広場に変えてコンテナショップを設置する計画で、その費用を今年度から来年度にかけ計上する方針です。また、町の認知度を高めるため暫定開業と同時に「肥前山口駅」を「江北駅」に改める予定です。

【駅活性化事業推進PT会議】
「もう残すところあと1年と10カ月程度。これから少しギアをアップして進めていきたいという風に思っています」

【中溝記者リポート】
「来年秋の暫定開業については町はプラスに捉え、この肥前山口駅を中心にまちづくりを進めています。ただ、この駅はいまだ整備方式が決まらない新鳥栖ー武雄温泉の間にあり、長崎ルート全線の開業を考えるとマイナスの懸念もあります」

【江北町・山田恭輔町長】
「江北町に住んでいながら、いろんなところに通勤・通学できるというのが実は一つの売りなんですよね。そうしたことを考えたときに、新幹線もさることながら、おそらくその在来線を使っていただいている方がたくさんいらっしゃるもんですから、これがどうなるのかと」暫定開業では在来線特急の利用者が増えると見込まれ、町にとってメリットも考えられます。

【フル規格なら停まらない?】
一方、仮に新鳥栖ー武雄温泉間が国が最も効果が高いと主張する「フル規格」で整備された場合、肥前山口駅には新幹線が停まらない、あるいはそもそもルートに含まれない可能性も。去年10月、国が県に提示した新鳥栖ー武雄温泉間の5つの整備方式を比較した資料です。駅の設定という欄を見るとほかの4方式には「肥前山口」の記載があるもののフル規格の欄にはありません。

【町民男性(70代)】
「反対だね。新幹線・フル規格は。あと子、孫にずっと伝えていくこの町の風土はやっぱり新幹線が(肥前)山口駅に停まった方が一番利用度合いは良いと思うですけど」

【どうなる在来線】
また、肥前山口から博多までは特急で45分ほどとその利便性の高さから江北町はいわゆる“ベッドタウン”として定住人口の確保に力を入れてきました。その効果もあってか、県内各地で人口の減少が問題となるなか、江北町の人口は9千5百人前後でこの50年間ほとんど横ばいで推移しています。ただフル規格で全線開業すれば、町内の長崎本線・佐世保線は並行在来線となり、町の利便性を決める重要な要素である特急が激減してしまうおそれもあるのです。

【町民女性(60代)】
「その通勤通学の足というのを考えたら…私は実は大学は肥前山口駅から急行に乗って福岡の大学に通っていたんですよね。通えたので…そういう方も今後出てくると思うんです」

【町づくりどうすれば‥】
現状、新鳥栖ー武雄温泉間は開業日程や整備方式、ルートなどほとんど何も決まっていません。江北町にとっては新幹線を前提にした将来のまちのあり方について検討しようにもできないのが実状です。

【江北町・山田恭輔町長】
「もちろん活用できるものは活用していきたいというふうに思いますけれども、まだ不確定のものはやっぱり前提にはできない。まあ言ってみれば短距離走と長距離走ということなんだと思います。現在私たちの町は少なくとも短距離走にはエントリーして、この1年半をどう迎えるかということでいま全力で取り組もうとしているところであります」

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