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悲願の駅開業まで2カ月 西九州新幹線 “新たな客”見据えあの手この手【佐賀県嬉野市】

2022/07/20 (水) 19:18

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シリーズでお伝えしている西九州新幹線の光と影。今回は嬉野市です。9月の開業が近づくにつれ、市内では歓迎ムードが高まってきています。旅館や商店街などそれぞれが“新たな客”を迎える準備を進めていました。

【中溝記者リポート】
「嬉野市嬉野町の商店街です。いたるところに“新幹線開業”をPRするポスターが貼ってあります。まちの大きな期待感がうかがえます」

県内有数の観光地、嬉野。一方、10ある市の中で唯一、現在は鉄道が通っていません。新幹線への期待は、9月23日の開業が近づくにつれ大きくなっているようです。

【小学生】
「とてもかっこ良くて、嬉野にこんなことが起こると知ってとてもうれしかった」

5月、試験のため、初めて県内を走った西九州新幹線「かもめ」。嬉野温泉駅の中には約300人、また、外にも500人ほどが詰めかけました。

【嬉野市民】
「美しい車体で良かった。年も93歳になるがうれしかった」

【嬉野温泉観光協会・山口剛会長】
「前、九州自動車道が、嬉野ICができたときも本当大盛況で、各地からお客様に来ていただきました。またこの新幹線を機に、ご遠方からお越しいただいて」

嬉野温泉の観光協会、旅館組合のいずれも代表を務める、山口剛さんです。これまで嬉野を訪れる観光客は8割が車。それゆえに北部九州からの客がほとんどでしたが、新幹線の開業で中国・関西圏を新たなターゲットにできると考えています。

【嬉野温泉観光協会・山口剛会長】
「新幹線という大きな目玉商品ができますので、やっぱり行ってみようかという気持ちには皆さまなられると思いますので、それを期待しております」

Qそこからリピーターに?
「はい、そうですね。各旅館は新幹線開業プラン、宿泊プランをいまどこでも思案中でございます」

現在31ある嬉野温泉の旅館やホテルにとって、いまはいわば“準備期間”。
山口さんが副社長を務める1925年創業の老舗旅館「大正屋」は、新たな客を見据え、施設の改修も進めています。

Q.具体的にはどんな風に?
【大正屋・山口剛副社長】
「外壁の色塗りですね、全体の。それとあとここの電気のところの改修ですね」

Q.何年ぶりくらい?
「これも20年ぶりぐらいにいたしましたですね。なかなか外壁はできないからですね」

また、宿泊客専用の大浴場も全面的にリニューアルする予定です。

【大正屋・山口剛副社長】
「やっぱり何て言ったって新幹線、新幹線のお客様が来て、”あ、ここきれいだな”って思っていただけるのが一番ありがたいです」

「一方商店街もー」

【橋爪菓子舗・橋爪久美子さん】
「商店街は商店街で頑張っていますよというにぎわいを演出していきたいし、来て楽しんでいただけるようなまちにしていきたいと思いますので」

こちらの菓子店は佐賀と長崎をつなぐ新しい商品を作りました。

【橋爪菓子舗・橋爪久美子さん】
「長崎がカステラの発祥なので、で佐賀が丸ぼうろということで“まんまるカステラ”という、なんかカステラと丸ぼうろの融合したようなお菓子なんですね」

また、洋品店も…

【Asahiya・赤澤侑子さん】
「お茶っティーっていうんですけどね、こんな。娘たちがいろんなキャラクターを作っていて」

Q.開業を見据えてというほどではないかもしれないが?
「はい、なんかにぎわいの一環になれたらと思って」

多くの店舗が新幹線を機に、再びまちを元気にしようと奮闘しています。

【Asahiya・赤澤侑子さん】
「コロナで一度ちょっと落ち込みはしたんですけど、新幹線が来るということで本当またたくさんの方が嬉野温泉に来ていただけたらなとすごく期待しています」

【中溝リポート】
「新幹線を機にまちを活性化させる、その上で重要な役割を担うのが、駅周辺整備です。中でも目玉となるのがこちらの道の駅。道の駅とはいっても、ここに人を集めるのではなく、ここから市内各所に分散させる狙いです」

【嬉野市・村上大祐市長】
「新幹線乗って降りて、じゃあ嬉野ってどんなところなんだろうと知る、情報発信機能を駅前に整備している」

温泉だけでなく、嬉野市には、うれしの茶や肥前吉田焼、また、塩田町の伝統的建造物など多くの観光資源があります。道の駅にはそういった観光情報を集約し、“旅館やホテルに直行”ではなく市全体に人の流れを作りたい考えです。

現在急ピッチで工事が進む駅周辺。約2カ月後の開業日には、イメージ動画の通りに整備される予定です。

【嬉野市・村上大祐市長】
「“やっぱり新幹線を機にまちが大きく飛躍したね”と、後の世にも語り継がれるように。そういった嬉野の観光を市民が自分事として考えて、基本的には自分たちの商売とか、好きなことの延長でやっていただくんだけれども、地域全体の活性化につながっていくという意識もですね」

JR九州の高級旅館やアメリカ大手のホテルといった民間の投資も進むなど、新幹線をきっかけに盛り上がりを見せる嬉野市。ただ、それを一過性のものにせず長期的な視点でまちづくりにつなげるには、行政だけでなく、民間や市民とどれだけ連携できるかが鍵となりそうです。

【キャスター】
悲願の駅開業ということで、嬉野市には、約30年前、高速道路のインターチェンジが開通したときのような盛り上がりを期待する声もあるようですね。

【中溝記者】
長崎自動車道の嬉野インターができたのは1990年。いわゆるバブル期で、新たに交通網が整備されれば観光客が押し寄せる時代でした。今回、新幹線が通ることになりますが、地域間の競争も激化する中で新たな客を呼び込むのはそう簡単なことではありません。
市の魅力を高め、発信することに加え、近隣の市町と連携し、「嬉野温泉駅で降りる価値」をいかに高められるか、通過駅にしないための、“仕掛け”を考える必要がありそうです。
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