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鳥栖両親殺人 あす15日判決 裁判の争点は“母親への殺意” 注目される司法の判断【佐賀県】

2023/09/14 (木) 18:09

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今年3月、鳥栖市の住宅で両親を殺害したとして殺人の罪に問われている19歳の長男。検察は懲役28年を求刑し、弁護人は少年院送致などを求めている注目の裁判員裁判は15日判決が言い渡されます。

「幼いころから受けていた暴力や人格否定など父の仕打ちへの報復だった」

今年3月、鳥栖市の住宅で51歳の父親と46歳の母親が19歳の長男に殺害された事件。
県内有数の進学校を卒業し、九州大学に進んだ長男が裁判で口にしたのは父親から受けた虐待の数々でした。
「成績が悪いと、暴言を言われたり暴力をふるわれたりしていた。建築士になりたいと言ったら、なれるわけがないと言われた」

事件当日も正座して大学の成績について説教を受け、その後の犯行だったことが明らかになっています。
こうした背景のなか、裁判の争点になっているのが“母親への殺意”。
検察側は「殺意はあり、犯行は計画的」などと主張し、懲役28年を求刑、一方、弁護側は「母親への殺意はなく傷害致死罪に留まる」と主張し、少年院送致など保護処分を求めています。

また、この事件の大きな特徴が19歳という、いわゆる“特定少年”による犯行ということ。
裁判は被告本人や被害者遺族の特定につながらないよう被告の姿はついたてで隠され、名前も伏せたまま進められています。
9月7日、結審の日、「最後に述べておくことはありますか?」裁判長からそう問われた長男は次のように話しました。
「父を殺害してしまったことは僕には他の道は見つけられなかったのですが、やはり後悔しています」
「母についても殺意がなかったとはいえ、死に至らしめ、痛みや苦痛を与えたことは申し訳なさで息が詰まるようです」

【キャスター】
裁判を担当した原竹さんです。

【原竹凌太朗記者】
よろしくお願いします。
まず今回の裁判で最も注目されたのがVTRにもありましたように“父親との関係性”についてでした。被告は幼少期から虐待を受け「いつか仕返ししてやる」という思いが高校生のときに殺意に変わったとしています。
裁判では「10年以内に殺すと決めていた」「実行したら残りの人生は消化試合だと思っていた」と話すなど“父親を殺害する”という並々ならぬ感情がうかがえました。投げやりな感じで幼稚さもある一方、証言の中で「一挙手一投足」や「戦々恐々」というような言葉を使うなど知能の高さも垣間見え、虐待はあったにせよ別の方法を取れなかったのか疑問が残りました。

【キャスター】
そうした一方で母親に対しても殺意があったかということが争点になっているわけですね?

【原竹凌太朗記者】
その通りです。
母親への殺意に関しては検察、弁護人それぞれ真逆の主張をしています。
検察側は「人体の急所がある胸や腹などを強い力で複数回刺した」つまり「人を殺す行為だと分かっていながら刺した」として殺意が認められると主張しました。
一方、弁護人は「母親が止めようとした際のもみ合いで致命傷が生じた」「被告は過剰に集中した状態で、刺したこと自体に気付いていない」
つまり「人を殺す行為だと認識していなかった」として過失致死、傷害致死を主張しています。

【キャスター】
父親との関係、そして母親への殺意の有無、いずれも量刑に大きく関わってきますよね?

【原竹凌太朗記者】
その通りですね。量刑についても両者で言い分が全く違います。
検察側は懲役28年を求刑していますが、その理由として“被告の計画性”に言及しています。殺傷能力が高いナイフを事前に用意したり血が目立たない黒い服を着たりといったものです。その上で「殺害以外の方法を選択できたにも関わらず復讐を選んだ。犯行動機は身勝手」と指摘しています。
ただ、2人を殺害した事件では無期懲役となるケースが多いものの、懲役28年としたのは遺族が減刑を望んでいるなど、「最大限酌むべき事情を考慮した」としています。

【キャスター】
一方の弁護人は被告の年齢も踏まえて保護処分を求めていますよね?

【原竹凌太朗記者】
そうです。弁護側は被告の“更生”を促すために少年院送致などを求めています。仮に懲役刑になったとしても、懲役5年が相当だとしています。
ただ、18歳・19歳の特定少年は殺人事件など重大な犯罪を犯した場合、原則は20歳以上の大人と同じ扱いを受けることになっています。その量刑についても去年4月の少年法改正以前では19歳以下の少年に科される有期刑の上限は15年でしたが、改正後から18歳、19歳の「特定少年」に科される有期刑の上限は30年となりました。
検察の「懲役28年」もそれを踏まえての求刑ということです。

父親の虐待、被告の育った環境をどう考えるか、母親への殺意はあったのかなかったのか、そして被告が特定少年であるということ、裁判員は難しい判断を迫られます。

【キャスター】
注目の判決は15日午後3時から言い渡されます。
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