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西九州新幹線開業から1年 並行在来線は今後さらに利便性低下の見通し【佐賀県】

2023/09/22 (金) 18:11

“日本一短い新幹線”西九州新幹線の開業で盛り上がる地域がある反面、並行在来線となった江北・諫早間は今後さらに利便性が低下していく見通しです。一方、長崎ルートの未整備区間、新鳥栖・武雄温泉間は今後どうなっていくんでしょうか。

【鹿島市民】
「電車の時間(本数)が少なくなっているので大変。もっと増やしてほしい」
「1時間くらい待ったり…結構大変ですね」

西九州新幹線の開業に伴い並行在来線となった長崎本線の江北・諫早間。
1年前まで上下約45本あった特急列車は14本まで減っただけでなく、長崎まで行かずに、博多から“肥前鹿島まで”になりました。
これにより利用者は大幅に減少。肥前鹿島駅の昨年度の乗降客は1日あたり872人、コロナ前の2019年度を300人近く下回っていて年間でみると、約11万人減ったことになります。

列車の運行を担うJR九州は並行在来線についてこう振り返ります。

【JR九州 古宮洋二社長】
「江北から鹿島までの間、特急が減ったことによってお客様のご不便を少しでも少なくするよう、普通列車を増発している。1時間に1本、江北~鹿島間を動かして江北駅で特急と接続する可能な限りやってきた」

一方、並行在来線の区間ではさらなる利便性低下の懸念も。
県とJR九州など関係機関の合意では“一定水準の列車運行のサービスレベルが維持されるのは開業から3年間”となっています。

2025年になれば特急はさらに減少し、1日上下10本程度になる見通しです。そんな中、少しでもにぎわいを取り戻すために県と市が取り組んでいるのが肥前鹿島駅周辺の“再開発”です。

Q.知ってました?
【鹿島市民】
「知らなかった。ここまでなるとは…」

9月公表された新駅舎のイメージです。
屋根は伝統工芸・鹿島錦を表現しています。
駅前広場も合わせると広さは約1.5ヘクタールになる予定です。

【鹿島市民】
「結構期待しています。駅前が昔と比べてちょっと人の流れが少なくなって寂しい感じになっているので」

【鹿島市 松尾勝利市長】
「“スローツーリズムの拠点”ゆっくりのんびりまちの風情を感じながら心の赴くままに自分の時間を楽しんでもらう」

市は駅を拠点に祐徳稲荷神社や有明海の干潟、酒蔵通りの日本酒など多くの観光資源を“ゆっくり”めぐる仕掛けを作り、観光客を呼び込みたい考えで、2025年度の着手を目指しています。

【橋爪和泉リポート】
「いま武雄温泉駅に新幹線かもめが到着しました。特段混雑も無く…対面乗り換えが行われています」

新幹線と在来線特急をつなぐ“対面乗り換え”。
この移動のひと手間に利用者の反応は様々です。

【東京から】
「寄ってみたかったところもあるので楽しんで来れた」
「なんか…できたらつながってほしいというのはある」

【JR九州 古宮洋二社長】
「私は新幹線がストレートにつながることが広域のお客様にプラスになる。地元にとっても経済効果はプラスになると思っているので、私はフル規格でつながることが一番いいと思っている」

九州新幹線長崎ルートの未整備区間、新鳥栖・武雄温泉間。整備方式、さらにはルートすらも決まっていません。
西九州新幹線の開業から1年を迎えるのを前に、斉藤国土交通大臣は「県の指摘も踏まえながら引き続き議論を積み重ねたい」と述べましたが、国交省として表立った動きはありません。
9月20日こうしたこう着状態のなか、一石を投じたのは佐賀県側でした。

【山口知事】
「フル規格を議論するのであればこれまでの延長線上の議論ではなく九州佐賀国際空港の活用や有明海沿岸道路などとの連携を含めて佐賀県や九州全体の将来展望にどうつなげていくのか大きな視点による全く新たな議論が必要」

知事が示唆するのは佐賀空港周辺を通る“南回りのルート”。
今年2月空港に“直結”するルートは国交省が「現実的な選択肢にはならない」と技術的な検証結果を示していますが、山口知事は「鉄道局は過去の延長線上の佐賀駅を通る路線に固執している」と述べ南回りルートの議論の余地を指摘したのです。
一方、運行するJR九州は…

【JR九州 古宮社長】
「ここ(空港)に通すことが新幹線を1兆円を超える金額でつくって、本当にここを通すことが一番メリットなんですか。われわれは人が一番集まる、かつお客様からしても唐津線とか長崎本線とか在来線の乗り換えができるし、そういう面ではここ佐賀駅が一番、通るとしては一番ふさわしいと思っていますし、JR九州としてはここ佐賀駅しかない」

それぞれの立場で食い違う主張。“南回りルート”に対し国交省がどう出てくるか、果たして議論に進展はあるのか?
今後の行方が注目されます。

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