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「国と現場で温度差」「賃金減ならなる人いない」2024年問題長距離トラックドライバーに密着【佐賀県】
2024/03/14 (木) 18:17

自動車を運転する仕事をしている人たちの時間外労働の時間が、4月から法律で規制されます。この変化による、いわゆる”2024年問題”に関する県内の動向をシリーズで紹介します。今回はトラック業界についてです。物流の根幹を担うトラック業界の課題とは。
【県内の運送会社社長】
「うちは昨年1年間で約半分の人間が去っていきました。きついのを承知の上で入ってきた人がたくさんいると思うんですけどそれが残業時間が規制がかかってできないです」
深刻な人手不足を訴えているのは県内の運送会社の社長です。
4月から法律で規制されるトラックドライバーの時間外労働。
年間960時間・1カ月で100時間の上限が設けられ、違反した事業者には懲役または罰金が科せられます。
【日本物流学会会長流通経済大学 矢野裕児教授】
「2019年から働き方改革ということで時間外労働の上限規制というのが行われていたんですが、その中で自動車運転は特殊な働き方なので5年間適用が猶予されていた。それがとうとう5年間経って適用される」
全国で1400万台あまり。
国内で輸送される貨物の9割以上を運んでいるのがトラックです。
労働時間が制限される影響ははかりしれません。
県内を訪れるドライバーたちも不安を口にします。
【リポート・堀竜泰】
「労働時間の規制がかかりますが影響はありますか」
【長距離ドライバー】
「今まで通りの走りができないってなるとやっぱり稼げなくなるというところですね。ドライバーをしている人はやっぱり走ってなんぼの世界なので」
【長距離ドライバー】
「去年から比べたら額面で月額7万から8万くらい下がった。きつい・汚い・危険というのが昔から入っているからそれで賃金がそれでも下がったらなる人いないんじゃない多分」
【日本物流学会会長流通経済大学 矢野裕児教授】
「宅配便についてはそれほど影響はないのかなと思います。ただ問題は長距離輸送で運ばれている生鮮品ここのところはすごく影響がでる。ですから九州にとっては大きな問題だと思います」
なぜ九州の長距離輸送で影響が出るのか。その特殊な働きかたとは…
【川原長距離ドライバー中村さん】
「眠たくても走らなきゃいけない時ってあるじゃないですか時には、そういう時はやっぱりきついですね1番」
青いトラックで全国各地を周る伊万里市の運送会社川原の”ブルーホーク運輸”。
【リポート・堀竜泰】
「今からこちらのトラックに乗りこみドライバーさんの一日に密着したいと思います」
【中村さん】
「じゃーいきます」
片道300キロ以上の長距離一筋15年ベテランドライバー中村さん46歳。
【堀】
「ドライバーになったきっかけは?」
【中村さん】
「まず車がすきっていうのが第1条件ですね。やっぱり好きな仕事をするのがいいじゃないですか。運転がすきですよね普通に」
今回は長崎で預かった荷物を大阪・東京・埼玉に配送、帰りは千葉で荷物を預かり福岡に配送する4泊5日のルートです。
走ること1時間。目的地の佐世保市に到着しました。
ミカンが入った約3700個の段ボールを全身を使って積んでいきます。
【中村さん】
「体を動かすと考えたらたまにはいいかなと思いますバラ(手積み)は。パレットは効率化するけど手積みみたいに量は積めない」
出発してすぐに高速に乗り、北九州市にある門司港のフェリー乗り場へ。
トイレ休憩でサービスエリアに寄りますが、フェリーの時間が迫り昼食も取らずすぐに出発します。
【中村さん】
「長くても30分しか休憩しないです」
【堀】
「長時間休憩する時はうしろの方で?」
【中村さん】
「布団を敷いて寝る感じですかね」
一方、荷主から受け取る荷物を待つ時間もスケジュールに大きく影響すると話します。
【中村さん】
「受付して3時間も4時間も呼ばれなかったら忘れられとるんじゃないかと思って不安になりますよね。ドライバーがその分、寝ずに走ったりとかしないといけないから、そこは(荷主に)わかってほしいですね」
またトラックでの生活にはこんな問題も…
【中村さん】
「どうしても限られてくるんですよね。シャワールームがあるパーキングが。時間帯によっては1時間とか1時間半とか待ちますから」
肉体労働で出た汗を流すシャワー。
九州自動車道では現在北九州の1カ所だけです。自宅に帰るのは週に一度だけ。
肉体的にも精神的にもハードな仕事ですが体が動く限り続けたいという中村さん。しかし…業界全体への影響は気がかりだといいます。
【中村さん】
「なかなかやっぱり国の考えていることと現場とでは温度差が違うし、実際どうなんでしょうね」
【中村さん】
「気をつけていってきます」
フェリーで12時間の休憩をとり、その後は高速道路を運転し関東へ向かったということです。
人材確保に苦戦するトラック業界。
ドライバーの数は全国で約80万人と、10年前から横ばいとなっている一方、ネットショッピングの普及などで輸送する荷物が急増し1人あたりの負担が増えています。
さらに燃料価格の高騰が続き、各事業者は運賃の値上げなど対応を迫られています。
【有田陸運 鳥谷竹人社長】
「一部のお客さんでは8%くらいの運賃値上げがきていますね。実際は10%上げていかないと2024問題は厳しいのかな。ただやっぱり人と車のちゃんとした確保これができるかできないかですよ」
一方、上限規制の影響を直接受ける長距離輸送の事業者は…
【県内の運送会社社長】
「うちは昨年1年間で約半分の人間が去っていきました。きついのを承知の上で入ってきた人がたくさんいると思うんですけど、それが残業時間が規制がかかってできないです。無理はさせたくないんですけど、働かないと食べてはいけない人たちなんです。ほんとうにこの国から物流がなくなったら国はどうするんだろうと思っています」
一方、効率化によって変化に対応しようと取り組む事業者も。
佐賀で育てられた農産物を全国各地に届け販売するJAさがです。
去年10月、佐賀市に青果物コントロールセンターを設置しました。
これまでは1人のドライバーが集荷と配送を担当していましたが、集荷をするドライバーと長距離輸送をするドライバーをわけることで業務を効率化。
長距離輸送の積載量も2割以上アップしました。
【JAさが青果物コントロールセンター 中溝雄一郎センター長】
「半年前から2024問題について着手をしてきたところです。よりよい物流体制をどう築けるのか今後についても進めていきたいと考えています」
消費者に品物を早く確実に届けるため、模索が続くトラック業界。
人材の確保と業務の効率化が一刻を争う課題です。
【中村さん】
「どういう仕事をしているのかはやっぱり知ってもらいたいですね。とにかく」
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