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コロナで落ち込み…タクシー“すでに”人手不足深刻 試行錯誤続くタクシー業界の2024年問題【佐賀県】

2024/03/26 (火) 18:18

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ドライバーの労働時間を規制するいわゆる「2024年問題」。規制を前にタクシー業界を襲ったのが新型コロナ。県内のドライバーは人手不足が課題となっています。

「新人さんがいらっしゃったんですけど、ちょっとコロナ禍の真っ只中だったんで仕事がない状態で辞められた方も私は何人か見ております」
「1、2年目に関してはほんとに厳しかったです。正直何をしに1日来たんだろっていう日が毎日続くような」

タクシー業界が大きく落ち込んだコロナ禍。県内では2019年度に1248人いたドライバーが現在は1072人まで減りました。平均年齢も65.9歳と高齢化も目立ちます。
こうした中、県内の事業者を取材すると…。

「今はちょっと息子と買い物に行こうと思ってちょっとタクシーでそのまま学校に迎えに行ってました」

タクシーを走らせながら子供を送迎する女性ドライバーや…

「今必死に覚えております大和の地理を、有明さんの代わりに」

他社への“事業承継”を選ぶ会社も…。
すでに深刻な人手不足となる中で迎える2024年問題。
今後いかにサービスを維持していくか、事業者の試行錯誤が続いています。

目前に迫る“2024年問題”、ドライバーの時間外労働が法律で規制されます。

【日本物流学会会長流通経済大学 矢野裕児教授】
「2019年から働き方改革ということで時間外労働の上限規制というのが行われていたんですが、その中で自動車運転は特殊な働き方なので5年間適応が猶予されていた。それがとうとう5年間経って適応される」

タクシーの場合は年間960時間1カ月で80時間の上限が設けられ、違反した事業者には懲役または罰金が科せられます。

「短時間しか働けないという方でもですね時間の強制はしない形で働いていただいております。子育てとタクシードライバーというお仕事。かなり親和性高い」

鳥栖市内を運行するスマイルタクシー。
人手不足が課題となるなか2024年問題やコロナが明けたあとの需要増加を見据え、4年前から“子育て世代”の女性ドライバーの採用に力を入れてきました。

「女性ドライバーさん何人おらなさっと?」
「今ね、何人かな5人おるかな」

3年ほど前から勤務する橋本希美さん37歳。
子供2人の育児のかたわら日中限定のタクシードライバーとして働いています。

「上の子が中学生で下がもうすぐ卒業の小学校6年生なんですけど、うち上の子が障害者で。替えのきかない仕事っていうのが自分のなかでは今まで一番きつかった部分」

以前は弁当店で働いていた橋本さん。
タクシー業界を選んだのは「仕事と育児を両立させるため」と話します。

「一緒に居れる時間っていうのが限られていたりするので、なるべく一緒にいてあげたい。仕事中に熱が出たので迎えに来てくださいっていうのもすぐ帰れるし、それに対して会社が何かいうこともない」

日中限定で働くドライバーは他にもいます。

「きっかけはちょっと肩の手術をして夜遅くまでというと大変ですので日勤というのをさせてもらえませんかということで」

「もちろん長時間シフト勤務に入っていただきたいというのはあるんですけど、それよりも細く長く働いていただく」

ただ、ドライバーの勤務時間が減る一方で維持できなくなっているサービスもあります。
スマイルタクシーはコロナ禍で深夜の営業を一時取り止めましたが、いまだ再開できていません。

「勤務時間が短くなった分、供給量を減らさざるを得ない、飲みに行かれる方とかのですね。需要を満たせなくなったというところが大変心苦しいところではあります」

「昔は予約というのが取れたんですね。人数が少ないもんですからなかなかそれができない。お客さんに迷惑かけているなと」

コロナに追い打ちをかけるように訪れる2024年問題。
カギとなるのはやはり人材の確保です。

「女性ドライバー雇用促進に限らずですね、様々な取り組みを行って供給量を維持する、ここに尽きる」

「今必死に覚えております大和の地理を、有明さんの代わりに」

一方こちらは、1927年創業、佐賀市大和町の有明タクシーです。
2月、約100年の歴史に幕を下ろし、佐賀市の佐賀タクシーへの“事業承継”を選びました。

「有明タクシーさんとしては、ほんとに90年にわたって大和町を中心に地域の移動を支えてきた。突然なくなってはいけない、なんとかしなくちゃいけないという気持ちが強くお有りだった」

「ドア開きますね、ご注意ください」
「はいどうも」
「ゆっくりどうぞ」

「病院とかに市役所とかに行かれる方が多いです。どこに行くにも困る、何百メートル歩くのもきついって方が結構いらっしゃって」

大和町の尼寺地区を中心に運行していた有明タクシー。
地域の高齢者などにとってなくてはならない存在でした。
ただ、サービス維持のため課題となったのはやはり人手不足。
事業を引き継いだ当時、最終的なドライバーの数は3人だったそうです。

「ドライバーさんが3人になってしまった、予約も含めて朝早くから夜までというものを支えなくちゃいけない、つまり時間長くしないとどうしてもお客さま対応できない」

ただ、引き継いだ佐賀タクシーも潤沢にドライバーがいるわけではありません。
コロナ前と比べドライバーの数は一時、約20%減少。
採用活動を強化したことで、昨年末に約10%減までは戻りましたが、すべてのエリアをカバーするにはまだ足りない状態です。

「コロナ禍でドライバーも実は減ってしまったところで仕事が増えた時にドライバーがいないもんですから対応できない、需要と供給のバランスが完璧に崩れてしまった。交代交代に大和エリアに行ってもらって、そしてお客さま対応するということになります、そうなるとどうしても自分のところのお客さま対応がその分疎かになってしまう」

一方、ドライバー目線では人手不足を“前向き”に捉える意見も。
背景には売上が給料に直結するいわゆる“歩合制”があります。

「去年ほぼ元に売上が戻った。コロナの1、2年目で乗務員の数が減ったっていうのも逆に残った人間にとってはプラスになっている」

2024年問題、4月の法改正まであとわずか。
サービス維持のためには人材の確保が不可欠ですが、そのためにはドライバーの待遇も維持しなければならないというジレンマに事業者は頭を抱えています。

「お客さまにとってすぐ来るっていうことは供給が多いっていうことになるわけですから、だからそうすると1人あたりの売上ってのは少なくなる。いまのタクシーのシステムでは難しいところが出てくるなと思います」

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