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陶石価格が25%アップ 焼き物業界に“緊急”補助金 背景は?徹底取材【佐賀県】
2025/10/23 (木) 18:41

【キャスター】
佐賀県は、有田焼など窯業の緊急応援事業として新たに予算を計上しました。なぜ「緊急」なのか、背景を取材しました。スタジオには峰松さんです。
【峰松】
焼き物が店頭に並ぶまでの主な流れです。有田焼のほぼ100%が、熊本県天草市で取れた陶石を原料として使っています。陶石は嬉野市などにある陶土屋さんで細かく砕いて陶土になります。
その後、生地屋さんで、茶わんや皿などの形を作ります。
窯元では、絵付けをしたり焼いたりして陶磁器の商品に仕上げます。
今回、県が「緊急」に支援をすることになった要因は、一番上流の天草の陶石が、8月から25%値上げになったからです。
【キャスター】
25%の値上がりは大きいですね。
【峰松】
有田焼のほとんどが天草陶石を使っていて、他に代えがききません。経営に直結する大問題です。天草陶石値上げの背景を取材しました。
【リポート峰松輝文】
「こちらが採取場ですか?」
「有田焼の原料となる天草陶石の採取場です」
天草陶石は1712年ごろ、今の嬉野市の製陶業者に供給したとされていて、佐賀と天草陶石の付き合いは実に300年に及びます。有田焼で公に使われ始めたのは明治時代、今から100年余り前とされています。
陶石の選別は手作業です。
採取場から運んできた陶石を等級別に分けていきます。
しかし、採石や選別をする人は高齢化が進んでいてこの会社では平均年齢は60代です。
【上田陶石 舩橋良二部長】
「ご覧の通り危険を伴う場所でもある。若い人が嫌っている。3Kというか…。賃上げも検討しているが賃金を上げるとどこかを抑えないといけない。商品の値上げにつながる」
値上げの背景には、燃料費などの高騰に加え、人材を確保するため賃金面を改善したいねらいもあります。採用しても一人前になるには5年から10年かかるため、陶石を供給し続けるためには、早く担い手を確保することが喫緊の課題です。
【上田陶石 舩橋良二部長】
「有田焼の陶石が途絶えてしまうと磁器が途絶えてしまうことになりかねない。供給の責任は重くのしかかっている」
【峰松】
これが天草陶石です。白くて色絵映え、成形もしやすいことからこれがなければ有田焼は作れません。有田焼どころか全国ほとんどの焼き物産地に供給しているということなので国産の磁器全体に影響します。
以前は天草に7、8軒陶石業者があったそうですが、現在は3軒。
話を伺うと有田焼を支えている誇りを持っておられるからこそ、供給し続けないといけない、これからの人材確保が大きな課題となっていました。
【キャスター】
原材料である陶石の値段が上がるので、焼き物業界を支援しようということですね。【峰松】
一部窯元が直接陶土を仕入れていることもありますが、主には陶土から生地を作っているいわゆる「生地屋さん」への支援が想定されています。
武雄市山内町の生地の製造会社を取材しました。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「25%、それを商品に反映できるのかな、それが一番最初に頭に浮かんだ。価格転嫁ができるのかどうか」
武雄市山内町にある辻製陶所です。
陶土を仕入れ、窯元から受注した「生地」を作っています。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「これは嬉野から取り寄せた陶磁器の原料の陶土。これに水や薬品を入れてどろどろの状態にしていきます。焼き物のもとになる」
ここでは、7人が働いています。生地とは、陶土を型に流し込んで、焼き物の形を作り、乾燥させたもの。
完成品がこちら。この生地を窯元に納品します。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「窯元さんだったら真っ白でも商品として出せる。それに付加価値を付けて絵を描いたり赤絵を付けたり1000円のものが2000円になったりすることはある。我々は生地なので絵を描くわけでもないし。付加価値はつけられない」
生地を製造する会社は付加価値を付けて高く売ることが難しい上、家族経営が多く、会社の規模は大きくありません。陶石値上げの影響をもろに受ける業界です。
【キャスター】
今回県は、付加価値が付けづらい業界への支援を決めたということですね。
【峰松】
生地屋さんの付加価値といえば「納期を守る」「歩留まりよく安定した生地製品を納品する」といったことですが、窯元や商社のように、ヒット商品を作って高く、たくさん売るということができません。そこで、付加価値が付けづらい焼き物業界の川上の部分を支援することになりました。
【キャスター】
ただ、いつまでも県が補助し続ける訳にもいかないと思うのですが。
【峰松】
来年度以降の予算は決まっていませんが、行政が補助し続けるというのは現実的ではないと思います。そこで、今回の予算では機械を導入したり、補修したりする費用の一部も補助します。焼き物業界の生産性を高めるのが狙いです。佐賀県の代表的な伝統産業である焼き物を守り、さらに成長させていくための一手です
佐賀県は、有田焼など窯業の緊急応援事業として新たに予算を計上しました。なぜ「緊急」なのか、背景を取材しました。スタジオには峰松さんです。
【峰松】
焼き物が店頭に並ぶまでの主な流れです。有田焼のほぼ100%が、熊本県天草市で取れた陶石を原料として使っています。陶石は嬉野市などにある陶土屋さんで細かく砕いて陶土になります。
その後、生地屋さんで、茶わんや皿などの形を作ります。
窯元では、絵付けをしたり焼いたりして陶磁器の商品に仕上げます。
今回、県が「緊急」に支援をすることになった要因は、一番上流の天草の陶石が、8月から25%値上げになったからです。
【キャスター】
25%の値上がりは大きいですね。
【峰松】
有田焼のほとんどが天草陶石を使っていて、他に代えがききません。経営に直結する大問題です。天草陶石値上げの背景を取材しました。
【リポート峰松輝文】
「こちらが採取場ですか?」
「有田焼の原料となる天草陶石の採取場です」
天草陶石は1712年ごろ、今の嬉野市の製陶業者に供給したとされていて、佐賀と天草陶石の付き合いは実に300年に及びます。有田焼で公に使われ始めたのは明治時代、今から100年余り前とされています。
陶石の選別は手作業です。
採取場から運んできた陶石を等級別に分けていきます。
しかし、採石や選別をする人は高齢化が進んでいてこの会社では平均年齢は60代です。
【上田陶石 舩橋良二部長】
「ご覧の通り危険を伴う場所でもある。若い人が嫌っている。3Kというか…。賃上げも検討しているが賃金を上げるとどこかを抑えないといけない。商品の値上げにつながる」
値上げの背景には、燃料費などの高騰に加え、人材を確保するため賃金面を改善したいねらいもあります。採用しても一人前になるには5年から10年かかるため、陶石を供給し続けるためには、早く担い手を確保することが喫緊の課題です。
【上田陶石 舩橋良二部長】
「有田焼の陶石が途絶えてしまうと磁器が途絶えてしまうことになりかねない。供給の責任は重くのしかかっている」
【峰松】
これが天草陶石です。白くて色絵映え、成形もしやすいことからこれがなければ有田焼は作れません。有田焼どころか全国ほとんどの焼き物産地に供給しているということなので国産の磁器全体に影響します。
以前は天草に7、8軒陶石業者があったそうですが、現在は3軒。
話を伺うと有田焼を支えている誇りを持っておられるからこそ、供給し続けないといけない、これからの人材確保が大きな課題となっていました。
【キャスター】
原材料である陶石の値段が上がるので、焼き物業界を支援しようということですね。【峰松】
一部窯元が直接陶土を仕入れていることもありますが、主には陶土から生地を作っているいわゆる「生地屋さん」への支援が想定されています。
武雄市山内町の生地の製造会社を取材しました。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「25%、それを商品に反映できるのかな、それが一番最初に頭に浮かんだ。価格転嫁ができるのかどうか」
武雄市山内町にある辻製陶所です。
陶土を仕入れ、窯元から受注した「生地」を作っています。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「これは嬉野から取り寄せた陶磁器の原料の陶土。これに水や薬品を入れてどろどろの状態にしていきます。焼き物のもとになる」
ここでは、7人が働いています。生地とは、陶土を型に流し込んで、焼き物の形を作り、乾燥させたもの。
完成品がこちら。この生地を窯元に納品します。
【辻製陶所・古賀隆代表】
「窯元さんだったら真っ白でも商品として出せる。それに付加価値を付けて絵を描いたり赤絵を付けたり1000円のものが2000円になったりすることはある。我々は生地なので絵を描くわけでもないし。付加価値はつけられない」
生地を製造する会社は付加価値を付けて高く売ることが難しい上、家族経営が多く、会社の規模は大きくありません。陶石値上げの影響をもろに受ける業界です。
【キャスター】
今回県は、付加価値が付けづらい業界への支援を決めたということですね。
【峰松】
生地屋さんの付加価値といえば「納期を守る」「歩留まりよく安定した生地製品を納品する」といったことですが、窯元や商社のように、ヒット商品を作って高く、たくさん売るということができません。そこで、付加価値が付けづらい焼き物業界の川上の部分を支援することになりました。
【キャスター】
ただ、いつまでも県が補助し続ける訳にもいかないと思うのですが。
【峰松】
来年度以降の予算は決まっていませんが、行政が補助し続けるというのは現実的ではないと思います。そこで、今回の予算では機械を導入したり、補修したりする費用の一部も補助します。焼き物業界の生産性を高めるのが狙いです。佐賀県の代表的な伝統産業である焼き物を守り、さらに成長させていくための一手です
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