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2025.09.20

なぜ行きたくなる?SNS戦略で宿泊客4倍増!佐賀の旅館が選ばれる理由に密着

行楽シーズンを迎え、旅行先選びに悩む人も多い今。佐賀県内の旅館が独自の取り組みで大きな注目を集めています。SNSを駆使した情報発信により外国人宿泊客を4倍に増やした唐津の老舗ホテルから、メルヘン村とタッグを組んだ嬉野の個性的な旅館まで、選ばれる宿には、確かな理由がありました。

外国人宿泊客4倍増を実現した唐津「大望閣」

唐津市呼子の朝市から車で5分ほどの場所に佇む観光ホテル「大望閣」。玄界灘を一望できる絶景のロケーションが自慢のこの宿で、近年驚きの変化が起きています。

「外国人の宿泊数がコロナ前に比べて4倍になっています」

そう話すのは、3代目支配人の古舘健一さん。昭和43年に創業したこの宿は、唐津の景色を見渡せる絶景の露天風呂や呼子のイカをはじめとした新鮮な海の幸を味わえる料理で、長年にわたって佐賀の魅力を伝え続けてきました。

時代のニーズに合わせたリニューアル

この驚異的な宿泊客増加の背景には、時代に合わせた戦略的なリニューアルがあります。

「以前は和室中心でしたが、外国人のお客様からベッドのご要望が多かったため、リニューアルでベッドを導入しました」と古舘さん。

全面ガラス張りの美しい客室では、畳に布団で寝たい人もベッドで寝たい人も、どちらの要望にも応える多様性のある空間づくりを実現。この柔軟な対応が、幅広い宿泊客のニーズを満たしています。

支配人自らが挑んだSNS戦略

さらに画期的だったのが、支配人自らが挑戦したSNS戦略でした。

「営業スタッフもいないので、自社でやってみようと思いまして」という古舘さん。しかし、SNSの知識がゼロだったため、まずはSNS塾に通うことから始めました。

「基本的な投稿の仕方からリーチ数を伸ばす方法まで、本格的に1年間かけて学びました」

その成果は確実に現れています。自分の旅館だけでなく地域全体の魅力を発信する戦略を採用。「この旅館に来たらどこに何があるか、マップのような感じで」周辺の観光スポットも含めて紹介することで、なんと220万再生を記録する投稿も誕生しました。

メルヘン村とタッグを組む嬉野「入船荘」

一方、嬉野市にある「入船荘」は、さらにユニークなアプローチで話題を集めています。
メルヘン村忍者村とのコラボレーションにより、テーマパークの世界観をそのまま体現した「忍者部屋」を完備。テーマパークのチケット付きプランも用意され、リーズナブルに楽しめるファミリー向けの宿として人気を博しています。

"おもてなしがすごすぎる宿"への大変身

約50年の歴史を持つ入船荘ですが、近年は館内のあちこちがリニューアルされています。

「2024年2月に大浴場をリニューアルしました」と支配人の陣内さん。「元々お湯や泉質は良かったのですが、設備が古くなっていました。リニューアルによって、さらにその良さを感じていただけるようになりました」

特に注目すべきは、かつて「物がたくさんあって、すっきりしたイメージではなかった」というロビーの大変身です。物置だった空間が今では美しいおもてなし空間に生まれ変わり、驚きのサービスを展開しています。

「ここ全部、食べ放題・飲み放題です」

料理長が手作りするコーヒーゼリーをはじめ、様々なお菓子や飲み物を「チェックアウトギリギリまで楽しんでいただいて結構です」と提供。さらに本や漫画の読み放題コーナーも設置され、「プロレスラーの本」など社長がこだわってセレクトした書籍が並びます。

ゆっくりくつろげる図書ルーム

さまざまなジャンルの本を楽しめるコーナーです。社長セレクトのため、趣味全開の本もあるそうです。

「温泉に入った後にダラダラしに来てください」

そんな気軽さが、多くの宿泊客に愛される理由の一つです。

他にも、アメニティ取り放題や、館内通貨で買い物体験ができたり、朝食に若者向けのメニュー「アサイーボウル」なども販売したり、様々な工夫があります。

SNSで話題を呼ぶ「馬さん」の存在

こうした充実したおもてなしは数年前から提供していたものの、世間の注目を集めたのは今年に入ってからでした。その変化をもたらしたのが、通称「馬さん」と呼ばれる救世主の存在です。

「SNSアカウントは以前からありましたが、うまく活用できていませんでした。何を投稿していいかも分からなくて」

そんな状況を一変させたのが馬さん。「トロトロトロトロトロ」という独特な投稿で話題を呼び、「突然ギャップのある、可愛らしい投稿の中に突然『なんだこれ?』みたいな」唯一無二の旅館ブランディングを確立しています。

その効果は数字にも表れており、「今回のお盆連休も、去年よりもお客様の数が増えました。馬さんの効果が出ているのかなと思います」と陣内さんも手応えを感じています。

中毒性抜群のオリジナルテーマソング

入船荘の魅力はまだあります。ロビーでエンドレスに流れているのは、シンガーソングライター徳久望さんが手掛けた入船荘のオリジナルテーマソング。どこかノスタルジックで中毒性抜群の楽曲は、「耳に残って、思わず口ずさみたくなる」と取材陣も虜になってしまいました。

さらに徳久さんは宿で定期的にウクレレライブも開催しており、宿泊者はその生演奏も楽しむことができます。

まとめ:個性を活かしたSNS戦略が成功の鍵

どちらの宿も、SNSを効果的に活用して本来の魅力をさらに広める戦略が成功の鍵となっています。

大望閣は地域全体の魅力を発信することで外国人観光客の心を掴み、入船荘は独特な世界観とユニークなおもてなしでファミリー層を中心に支持を拡大。それぞれが持つ個性を最大限に活かしながら、時代に合わせた情報発信で「選ばれる宿」へと進化を続けています。

佐賀の旅館が見せる創意工夫とおもてなしの心は、単なる宿泊施設の枠を超えた特別な体験を提供し、リピーターと新規顧客の獲得という確かな成果につながっているのです。

【2025年9月12日放送 かちかちLIVE 金曜特集より】

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