2020/06/29 (月) 18:00

県高校総体などに代わって開催中のＳＳＰ杯。サッカー男子の決勝は、終了直前の同点ゴールで、ＰＫ戦までもつれる大接戦の末、佐賀商業が優勝しました。
激闘を制した裏には、ピッチに立つことができなかった元選手の存在がありました。
「決めた！佐賀商業優勝！」
27日行われたサッカー男子の決勝戦。3年ぶりに決勝に進んだ佐賀商業は見事優勝。その快進撃を支えたのは、一人のマネージャーでした。
佐賀商業高校サッカー部。3年生の江頭正英さんはマネージャーとして選手を支えています。
佐賀商業サッカー部マネージャー江頭正英さん：「試合とか見るとやっぱりサッカーしたいしみんなの成長を見ると悔しい」1年前まではプレーヤーだった正英さん。6歳でサッカーを始め、中学生のときには県内のリフティング大会で優勝するほど打ち込んでいました。しかし、高２の夏ーあるアクシデントが襲います。練習中に腰の骨を折る大けがをし、選手としてプレーすることが不可能に。「退部」を考えましたが、仲間からある提案を受けます。

佐賀商業サッカー部マネージャー江頭正英さん：「ずっと悩んでもうやめようかなとか思って同級生に相談したらマネージャーに残ってくれと言われて」
田中駿丞選手：「仲間が欠けるのが嫌だったしマネージャーとしてでも残ってくれたらうれしいと思ったので引きとめました」
柴木佑大選手：「自分は正英くんが大好きなのでただそれ（残ってほしかった）だけです」
松尾智博監督も、マネージャーへの転向を後押ししました。
佐賀商業サッカー部 松尾智博監督：「誰もかれもにマネージャーをしないか？と言うわけではない。優しさだったりでも優しいだけではなくてきちんと厳しいところは厳しく言えるという指導者のような資質を持っていたのでぜひやってみたらどうかと」

大けがから１年。現在は足を使ったプレーではなく頭脳を使いチームを支えています。
佐賀商業サッカー部マネージャー 江頭正英さん：「一人一人の弱点を文字にして選手に見せるといいのかなと」
正英さんは選手のシュートやパスの成功率を分析。緻密なデータを作り選手にアドバイスしています。佐賀商業は、正英さんが入学してからまだ優勝はなし。ＳＳＰ杯の決勝は初のタイトルがかかっています。
佐賀商業サッカー部マネージャー江頭正英さん：「勝てない相手ではないと思うので頑張ってほしい」
田中駿丞選手：「優勝決まった瞬間に正英くんに抱き着きにいこうと考えています」

そして、迎えた決勝戦。相手は去年の選手権大会で優勝した龍谷です。０－０で迎えた後半、佐賀商業は相手のクロスから先制を許す展開。追いかける佐賀商業はなかなかチャンスが作れません。このまま試合終了かと思われた後半アディショナルタイムでした。
実況：「まだある、こぼれている。押し込めるか…シュートだ！同点ゴール佐賀商業！11番柴木左足！土壇場で追いついた佐賀商業！１－１！」
そして、勝負はＰＫ戦へ。相手の龍谷は２回戦、準決勝でもＰＫ戦を制しての勝利しています。しかも、蹴った全員が成功しています。しかし。
「止めた！山口止めました！」
佐賀商業のＧＫ山口がいきなりセーブ。さらに。
「また止めました！」
流れを呼び込み、迎えた5人目。佐賀商業が見事に優勝しました。

田中駿丞選手：「大きい声で好きだと言った。夢が叶ってよかった」
柴木佑大選手：「勝った後に正英に抱きつきに行って「ありがとう」と言いました」
実は、ＰＫ戦の前に、正英さんはあるデータをゴールキーパーに伝えていました。

佐賀商業サッカー部マネージャー江頭正英さん：「ＰＫの分析をしていたのでそれを伝えた。例えば10番の選手が1番目に蹴る。どっちの方向に蹴るということを全部調べていて晃毅に伝えていた」マネージャーとしての分析が勝利を手繰り寄せたのです。
江頭くんの母淳子さん：「やったーーー！」Ｑいまどんな気持ちですか？「最高ですね少しでも正英の分析が役に立ってたら良かったと思います」
佐賀商業サッカー部の戦いはこれで終わりではありません。全国にもつながる選手権大会が控えています。

佐賀商業サッカー部マネージャー江頭正英さん：「もっとチーム内外のことを分析して勝利に貢献したい。選手としてはピッチには立てないけどマネージャーとして全国に立たせてほしい」