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司法では解決できないのか…諫早湾干拓訴訟 開門判決が「無効化」判決のポイントは

2022/03/25 (金) 20:00

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諫早湾干拓事業をめぐり、2010年に福岡高裁が国に潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決について、国が開門を強制しないよう求めた裁判で25日、福岡高裁は国の訴えを認め、開門判決を事実上無効化する判決を言い渡した。判決のポイントや今後の見通しなどについて中溝記者に聞きます。

【中溝記者】まず、25日のポイント、焦点は「唯一の“開門”判決が維持されるのかどうか」「開門しなさい」「開門してはいけない」という相反する判決があるなかで、唯一、開門を命じた2010年の確定判決のことです。そして結果は、その漁業者側の頼みの綱を事実上無効にするというものでした。

Q、判断の理由は何だったんでしょうか?
【中溝記者】理由は大きく2点。「漁獲量は増加傾向にある」そして、「潮受堤防の防災機能」。まずは漁獲量について。高裁は依然として漁業が深刻な状況にあることは認めました。ただ、漁獲量は近年回復傾向にあり、そもそも漁獲量が減少した理由が干拓事業の影響かどうかははっきりしないと判断しました。もう1つは防災機能です。もともと干拓事業には高潮などの被害を軽減するという目的もあります。これについて最近は豪雨が増えていることなどを踏まえ、排水門を閉め切ったまま、調整池の水位を低く保っておく必要があるとしました。つまり、漁業者たちへの影響はだんだんと軽減、その一方で干拓事業の公共性は増大していると結論付けたのです。

Q、漁業者側としては主張を根本から否定されたような形ですが、今後の見通しは?
【中溝記者】敗訴した漁業者側は上告する方針ですが、最高裁はすでにこれとは別の2件の裁判を「非開門」で決着させていて、これまで相反していた司法判断が「非開門」に統一される可能性が高いとみられます。

Q、司法判断が統一されたとしても、それで解決とはなりませんよね?
【中溝記者】それぞれの裁判ごとに見れば決着なのかもしれませんが、諫早湾干拓という問題は何も解決していません。漁業不振にあえぐ漁業者たちは、今後も開門を求め続け、新たな裁判が始まる可能性があります。裁判で求めるのは「開門」ですが、漁業者の最終的なゴールは有明海の再生です。司法の判断がどうなろうと国が責任をもって対応していかなければならないことに変わりはありません。

Q、誰もが有明海再生を求める中で、司法判断による解決は極めて難しい…
【中溝記者】その点ですが、福岡高裁は判決文の最後に、このような異例の“付言”を書いています。「当裁判所の判断で直ちに解決に導かれるものではない」つまり、判決は出したもののそれでは解決できないと裁判所も分かっているということです。その上で、高裁は裁判の当事者だけではなく漁業者や国、干拓地の営農者などすべての関係者が納得できるよう有明海再生に向けた対策の検討や協議をさらに加速させる必要があると思う、と述べています。
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