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家族そろって思い出を…「医療的ケア児」の家族が初の長期旅行【佐賀県】

2025/06/03 (火) 18:18

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日常的に人工呼吸器やたんの吸引などが必要な「医療的ケア児」佐賀市のケア児と暮らす家族が4泊5日の初旅行にチャレンジしました。

【母・山本可奈子さん】
「あゆくんもう1回、もう1回いい顔してよ。とりあえず見られたから満足?微妙って言いながら満足や」

山本歩夢くん18歳。
「脊髄性筋委縮症」という難病で、生まれつき脳や骨髄からの信号が届かず自分で筋肉を動かすことができません。
日常的に人工呼吸器やたんの吸引が必要な「医療的ケア児」です。

【母・山本可奈子さん】
「上。上。見えた?わかった?わかった?あ、動いてる動いてる。動いてるわ。大きいね」

今回、家族そろって初めての4泊5日の長期大阪旅行にチャレンジします。

【母・山本可奈子さん】
「本人のやりたいことも家族のやりたいことも出来たらいいな」
【母・山本可奈子さん】
「あゆさん、お口とお鼻1回すっきりしましょうか。やっぱり、チューブが入ってくるのは多少痛いだろうから、目で嫌だって教えてくれるんですけど。ああ、嫌だーって、しないでーって」

歩夢君との意思疎通は目で図ります。

【母・山本可奈子さん】
「お口もう一回取らなくていい?取る?あ、もういいのね、わかった」

Q.今のはどういう判断の仕方?
「目の右に行ったり左に行ったりではい・いいえを伝えてくれる。上に行っちゃうと『この状態から逃げたい・嫌だ』というときなんですけど、はい・いいえで応える質問ではいって時は目が向かって左にヒュッって動くので」

その日の体調のチェックや痰の吸引などケアを毎日欠かさず行い、出かける前の準備にかかる時間は約4時間。

【父・山本政昭さん】
「楽しみは楽しみ。不安もいっぱいですけど。歩夢もそうですけど下の子供たちも一緒に楽しみたいなと思っている」

ホームヘルパーや訪問看護師の手も借りながらようやく準備を終えいよいよ出発。

Q.今の気持ちはどうですか?
【母・山本可奈子さん】
「え~ワクワクしてます。天気も持ちそうだし、何より家族そろって行けることがとっても楽しみです。思いっきり楽しんできます!行こっか、入る入る。あゆくんちょっと揺れるよ。ありがとうございます。」

今回の旅は、難病児や医療的ケアを必要とする子供とその家族の旅行を支援している佐賀市のON THE ROADという団体が費用や手配など幅広くサポートし楽しい時間を過ごしてもらおうと企画したものです。

旅行費用は個人の寄付や財団の助成金、県のふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングでまかなわれています。

【母・可奈子さん】
「今までずっと上の子が病気を持っているがゆえに下の子たちの経験値が積めないんじゃないかってずっと気にしてきたのでご支援いただいてこられているっていうだけでも新しい経験をさせてあげられたということが本当にありがたいなと思っている」

サポートは観光案内だけではありません。

【母・可奈子さん】
「お風呂はやっぱり大変なのでこんなふうに出先で支援してもらえると思っていなかったことなのでめちゃくちゃありがたかった」

入浴した後は大阪の障がい福祉サービス施設の見学にも行きました。

【母・可奈子さん】
「どこもアットホームで、子供たちも楽しそうに過ごせているのを見て嬉しいなと思った。交流会みたいなものが出来たらいいなと思った」

また旅行の醍醐味である食事面では…

【母・山本可奈子さん】
「あゆくん、選んだメニューを持ってきてもらったらこうなりました。ローストビーフ・スープ・点心。どれから食べる?こっち?これ?お肉から…あ、お肉からね。じゃあこれを今からペーストにして食べようかな」

歩夢くんは口から物を食べることが出来ないため食時はお腹に開けた穴から流し込みます。

【母・可奈子さん】
「ミキサーをかけていきます。ちょっと音がします。すみません」

家族と同じものを食べさせたいという思いから本人が食べたいといったものをミキサーにかけ提供します。

【母・可奈子さん】
「お腹に入ってからも味覚細胞があるって聞いて同じものを食べて同じ味を感じておいしいねって言い合えたらいいなって」

佐賀県には、「医療的ケア児」が2024年9月1日時点で251人います。
難病児の親となった人はケアに割く時間が多くなり、経済的にもゆとりがないケースも。きょうだい児にとっても家族旅行など経験値を積む機会が非常に少ないのが課題です。

【ON THE ROAD 津田和泉代表理事】
「こうやってどんどん旅に行く子供たちが増えていくと医療的ケア児も旅行できるんだというのが当たり前になっていって実際に旅行している子供たちと出会ってくれる人も増えていくと思う。これが特別なことじゃなくて当たり前のことで、行きたいなって思ったら外出もできるし遠出の旅行もできる。そういう社会を佐賀県発で少しでも呼びかけられたら」

母の可奈子さんは家族全員でのチャレンジで笑顔が増えたと話します。

【母・山本可奈子さん】
「子供たちのいろんな顔が見られるし歩夢自身もこういうところでこういうことを思っているんだというのがなかなか普通の日常生活では経験できないことなので本人たちのそれぞれの心の動きみたいなものをちょっと感じられるのは親としてすごくうれしくって、なにより私自身がすごく楽しい」

【母・可奈子さん】
「まずはもう少し病気の認知度が上がって配慮が必要な人が縮こまっているだけではなく、自分のやりたいことをやりたいときにちょっとしたことを周りの人が手助けをしてくれたり、気持ちよくお互いが過ごせるような環境が整って行ったらいいなと思う」
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