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高齢化や後継者不足で老舗飲食店が相次いで閉店 “皿うどん”の「春駒」 ”エツ料理”の「割烹津田屋」
2023/11/09 (木) 18:18

約100年続く佐賀市の老舗飲食店が10月相次いで閉店し、歴史に幕を閉じました。大正から令和まで佐賀の人々に親しまれてきたその味は、惜しまれながら姿を消しましたが、背景には高齢化や後継者不足がありました。
卵焼き入りのあんを太麺と絡めて食べる“皿うどん”佐賀市の食堂・春駒の名物です。
【来店客】
「めっちゃうまいっす。50年くらい食ってるんで」
大正11年に創業し、今年で102年目を迎える春駒食堂。
現在の店主牟田達也さんが、妻の実家である食堂を継ぎ3代目として38年間のれんを守ってきました。しかし…
【店主 牟田達也さん(67)】
「肩とか腰とか足とかきてですね、長時間仕事ができないんですよね痛くて。材料が手に入らなくなったっていうのが」
その材料とはモヤシ。
皿うどんやちゃんぽんに使う新鮮な細モヤシを毎日仕入れていた佐賀市のもやし工場が原材料の高騰のあおりを受け10月閉店。
代わりの仕入れ先を探しましたが満足のいくものは見つかりませんでした。
「モヤシを違うのを入れたらまた変わりますもんね。何十年て食べた方はやっぱりわかりますもんね」
長い歴史があるからこそ、味を変えずに信頼を守りたいという強い思いがありました。
9月上旬に閉店を知らせる張り紙をしたところ、最後にもう一度食べようと店の前には毎日長蛇の列ができ、3時間以上店の前で待つ人の姿も。
最終日は昼前に受付を終了しました。
店内も常に満員状態で100人前を準備した皿うどんの麺は、すぐに売り切れていました。
【来店客】
「佐賀に来てから40年くらいたつんですけど頻繁に。この世にこんだけうまいものがあるのかと思うくらい感激しました」
「他にもこうやって閉めちゃうお店が多いと思うんですけど、後継者がいないとかですごい問題が色々凝縮したような閉店なのかなと思って悲しくなります」
何とかこの味を残そうと県や市・個人の料理人など10人以上が訪れましたが、牟田さん夫婦はすべて断り店を閉めると決めました。
【妻 牟田京子さん(62)】
「今まで大変だったんですけど、こんなにたくさんの方から愛されているんだなというのをここ一カ月つくづく思いました。もう感謝ばかりです」
【店主 牟田達也さん(67)】
「お客さんにずっと追いかけられてきたけんですね、そういう38年やったけんがそれが終わったかなと、その反面ちょっと寂しい気持ちがありますけど」
高齢化や原材料費の高騰の影響で佐賀を代表する大衆店が長い歴史に幕を閉じました。
一方、継続を断念する老舗はほかにも…
エツやワタリガニなど地元有明海の特産品を提供する割烹津田屋。
昭和元年創業の老舗料亭も10月、営業を終えました。
【店主 津田良雄さん】
「まさか周りは私がそういうふうに決断するとは思ってなかったと思うよ」
3代目店主の津田良雄さん72歳です。
国内では有明海にだけ生息する魚、エツの普及に取り組み、地元飲食店で作る組合の会長としてエツ料理を通した観光振興にも力を入れてきました。
しかし、ある理由で閉店を決断しました。
【店主 津田良雄さん】
「人(従業員)がいないので予約をある程度おさえて受けてはいたんですけど。ちょっとねもう維持できんやろう」
割烹津田屋では従業員の高齢化が進み、特に仲居さん4人の平均年齢は70歳をこえていると言います。
【店主 津田良雄さん】
「足痛かけん子供がもうそがん年とって行かんでよかやんねって言うのを、そこをどうにかもうちょっとって言ってずっと引っ張ってた」
さらに大きな要因となったのが後継者がいなかったこと。
帝国データバンクによりますと「後継者がいない」と回答した事業者の割合は57.2%、一方、飲食店の場合その割合は63.3%と高くなっています。
人手不足が続く中でも従業員と力を合わせ、津田さんは朝の魚市場から閉店まで働き乗り越えてきました。
【店主 津田良雄さん】
「エツってめちゃめちゃ手がいっさ。人がおらんとできんもんね。エツを食べるなら津田屋やろっていうそのブランド力というかね守ってきた」
しかし、コロナ禍が明けて大人数の会食やおせち料理の予約が入り始め、これ以上、従業員に無理はさせられないと閉店を決めました。
【店主 津田良雄さん】
「未練がないといったら嘘ばってんね」
店には長年守り続けてきた味を求めて常連客が訪れます。
【来店客】
「辞められるというのを伺って最後にお食事をと思って。私と妹と叔母ときょう3人でこちらの方に伺いました。涙がでるね」
【来店客】
「結納とか母の還暦のお祝いとかでちょくちょく来させてもらっていて。寂しいですね」
地域の交流の場としても親しまれてきた割烹津田屋。
閉店を惜しむ客は夜まで途絶えませんでした。
【津田好江さん(店主妻)】
「楽しかったんですよね。従業員の人たちもみんないい人ばっかり、やっぱりその方たちに支えられてでどうにかここまでこられたという感じですね」
【店主 津田良雄さん】
「今になってじわじわと、もう辞めるんだなと思ってきて、でも多分あしたは普通通り、4時ごろ目が覚めて市場に行こうかなと思うかもしれません。50年のそれが染みついておりますんで」
閉店を決断した理由はさまざまですが長年愛された県内の名店が惜しまれつつも歴史に終りを告げました。
卵焼き入りのあんを太麺と絡めて食べる“皿うどん”佐賀市の食堂・春駒の名物です。
【来店客】
「めっちゃうまいっす。50年くらい食ってるんで」
大正11年に創業し、今年で102年目を迎える春駒食堂。
現在の店主牟田達也さんが、妻の実家である食堂を継ぎ3代目として38年間のれんを守ってきました。しかし…
【店主 牟田達也さん(67)】
「肩とか腰とか足とかきてですね、長時間仕事ができないんですよね痛くて。材料が手に入らなくなったっていうのが」
その材料とはモヤシ。
皿うどんやちゃんぽんに使う新鮮な細モヤシを毎日仕入れていた佐賀市のもやし工場が原材料の高騰のあおりを受け10月閉店。
代わりの仕入れ先を探しましたが満足のいくものは見つかりませんでした。
「モヤシを違うのを入れたらまた変わりますもんね。何十年て食べた方はやっぱりわかりますもんね」
長い歴史があるからこそ、味を変えずに信頼を守りたいという強い思いがありました。
9月上旬に閉店を知らせる張り紙をしたところ、最後にもう一度食べようと店の前には毎日長蛇の列ができ、3時間以上店の前で待つ人の姿も。
最終日は昼前に受付を終了しました。
店内も常に満員状態で100人前を準備した皿うどんの麺は、すぐに売り切れていました。
【来店客】
「佐賀に来てから40年くらいたつんですけど頻繁に。この世にこんだけうまいものがあるのかと思うくらい感激しました」
「他にもこうやって閉めちゃうお店が多いと思うんですけど、後継者がいないとかですごい問題が色々凝縮したような閉店なのかなと思って悲しくなります」
何とかこの味を残そうと県や市・個人の料理人など10人以上が訪れましたが、牟田さん夫婦はすべて断り店を閉めると決めました。
【妻 牟田京子さん(62)】
「今まで大変だったんですけど、こんなにたくさんの方から愛されているんだなというのをここ一カ月つくづく思いました。もう感謝ばかりです」
【店主 牟田達也さん(67)】
「お客さんにずっと追いかけられてきたけんですね、そういう38年やったけんがそれが終わったかなと、その反面ちょっと寂しい気持ちがありますけど」
高齢化や原材料費の高騰の影響で佐賀を代表する大衆店が長い歴史に幕を閉じました。
一方、継続を断念する老舗はほかにも…
エツやワタリガニなど地元有明海の特産品を提供する割烹津田屋。
昭和元年創業の老舗料亭も10月、営業を終えました。
【店主 津田良雄さん】
「まさか周りは私がそういうふうに決断するとは思ってなかったと思うよ」
3代目店主の津田良雄さん72歳です。
国内では有明海にだけ生息する魚、エツの普及に取り組み、地元飲食店で作る組合の会長としてエツ料理を通した観光振興にも力を入れてきました。
しかし、ある理由で閉店を決断しました。
【店主 津田良雄さん】
「人(従業員)がいないので予約をある程度おさえて受けてはいたんですけど。ちょっとねもう維持できんやろう」
割烹津田屋では従業員の高齢化が進み、特に仲居さん4人の平均年齢は70歳をこえていると言います。
【店主 津田良雄さん】
「足痛かけん子供がもうそがん年とって行かんでよかやんねって言うのを、そこをどうにかもうちょっとって言ってずっと引っ張ってた」
さらに大きな要因となったのが後継者がいなかったこと。
帝国データバンクによりますと「後継者がいない」と回答した事業者の割合は57.2%、一方、飲食店の場合その割合は63.3%と高くなっています。
人手不足が続く中でも従業員と力を合わせ、津田さんは朝の魚市場から閉店まで働き乗り越えてきました。
【店主 津田良雄さん】
「エツってめちゃめちゃ手がいっさ。人がおらんとできんもんね。エツを食べるなら津田屋やろっていうそのブランド力というかね守ってきた」
しかし、コロナ禍が明けて大人数の会食やおせち料理の予約が入り始め、これ以上、従業員に無理はさせられないと閉店を決めました。
【店主 津田良雄さん】
「未練がないといったら嘘ばってんね」
店には長年守り続けてきた味を求めて常連客が訪れます。
【来店客】
「辞められるというのを伺って最後にお食事をと思って。私と妹と叔母ときょう3人でこちらの方に伺いました。涙がでるね」
【来店客】
「結納とか母の還暦のお祝いとかでちょくちょく来させてもらっていて。寂しいですね」
地域の交流の場としても親しまれてきた割烹津田屋。
閉店を惜しむ客は夜まで途絶えませんでした。
【津田好江さん(店主妻)】
「楽しかったんですよね。従業員の人たちもみんないい人ばっかり、やっぱりその方たちに支えられてでどうにかここまでこられたという感じですね」
【店主 津田良雄さん】
「今になってじわじわと、もう辞めるんだなと思ってきて、でも多分あしたは普通通り、4時ごろ目が覚めて市場に行こうかなと思うかもしれません。50年のそれが染みついておりますんで」
閉店を決断した理由はさまざまですが長年愛された県内の名店が惜しまれつつも歴史に終りを告げました。
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