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【終戦企画】ピカピカ光る焼夷弾が脳裏を離れず 少年の目に映った佐賀空襲の光景【佐賀県】
2024/08/07 (水) 18:20
シリーズでお伝えしている終戦企画です。
軍人や一般人など合わせて310万人の日本人が犠牲になったとされる太平洋戦争。
佐賀市に住む男性が少年のときに目にした焼夷弾による空襲の光景は94歳の今でも脳裏から離れません。
「ずっと西のほう見ててですね本当、その綺麗ですよ。パラパラパラパラ、ってもう」
佐賀市諸富町に住む林五郎さん94歳。
昭和16年、1941年12月8日、日本軍はハワイオワフ島のアメリカ太平洋艦隊を奇襲攻撃。
いわゆる太平洋戦争が始まったとき、林さんは小学6年生でした。
【林五郎さん】
「なんか全然私たちはわかりませんけどもアメリカのどこか、ハワイというところで攻撃をして戦争が始まったそうだということで・・・」
「戦争が始まるからみんなで一丸となって頑張ってくれ」
林さんたちは小学校の講堂に集められ校長から太平洋戦争が始まったことを告げられました。
子供ごころに、漠然とした恐怖を感じたといいます。
【林五郎さん】
「それで、ほんと涙が出て、今も覚えております。もうその校舎のところでそういう話を聞いて、しくしくと泣いておったのを覚えております」
地元の高等小学校を卒業した林さん。
当時は成人男性の多くが兵隊となり戦地へ赴いたため、少年や女学生などが軍需工場で物資を作るのが一般的でした。
いわゆる勤労動員です。
当時15歳だった林さんは働かされる前に早く就職をした方がいいと、現在の味の素である、大日本化学工業株式会社の佐賀工場に就職しました。
就職して1年過ぎた昭和20年1945年8月。
林さんが同僚と一緒に職場で寝泊りをしていたとき、空襲警報が出され、防空壕に避難しました。
戦争末期になると、アメリカ軍の爆撃機が日本本土を爆撃するようになり、空襲警報が出されると爆風を避けるため、地面や山の側面などに掘った防空壕に避難するのが一般的でした。
避難してしばらくのこと、防空壕から顔出してみろ、と言われ林さんは言われるがまま外のようすを窺いました。
【林五郎さん】
「『ほら、西のほうを見て、ちょっと綺麗かろうが』と言って、その時ですね、わー、ちゅうて、もう若いしですね。年も14、15くらいでしょ。それで、もう戦争よりもその綺麗かねー、ちゅうて言いよる間にですね。目の前に、ほら、こう来た来た!つって言った時にはちょうど下大津の集落のところでバーン、と落ちてきた。」
キラキラと空から降り注ぐのは空襲で投下された焼夷弾でした。
【林五郎さん】
「油脂焼夷弾、油ですね。油の入った焼夷弾というのがあれ6角形ですかね、円筒ですよ。このくらい、50センチぐらいなんですかね。これが爆弾の中にまとめて、それを投下したときにこう破裂をする、その瞬間に着火して、火玉になってくっとでしょ。」
焼夷弾は木造家屋が多い日本に対してアメリカ軍が使った爆弾でガソリンなどの燃え上がりやすい物質が詰め込まれていました。
【林五郎さん】
「焼夷弾で指を失った人が何人もいた。私の友達も2人だったか。珍しいから触ってしまって、ちょうど着火するあたり、薬品かなにか知らないけれども取り出す時に爆発して。亡くなったりする人もいらっしゃるそう」
佐賀空襲では約30機の爆撃機から投下された焼夷弾で、佐賀市南部を中心に443の家屋を燃やし、死者は61人にのぼったとされています。
しかし、この佐賀空襲について、当時のアメリカ軍が記録した報告書は「ノーダメージ」、戦果なしとしか記録されてません。
終戦から79年、今でも焼夷弾が落ちる光景は脳裏に焼き付き、何度も思い出すのだと言います。
【林五郎さん】
「だからもうほんと、それを思い出すだけでもぞっとしますね。ね、ほんまにね、こういうのはもうやっぱり、戦争より…戦争より怖いものはないなと思ってですね。」
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