佐賀のニュース
災害~私の記憶。“28水”浸水深記録する石碑「海やった」
2020/11/11 (水) 18:59

昭和28年1953年の大水害、いわゆる“28水”は県東部を流れる筑後川の流域でも大規模な氾濫が起きました。
鳥栖市には当時どれくらいの高さまで水に浸かったかを記録する石碑があります。
県防災士会 本山和文さん:「これは“28水”のあとに作られた水害復旧記念碑なんですけれども、後世のために当時の水深がここに記されているんですよ」
鳥栖市酒井西町にある水害復旧記念之碑。
昭和28年、1953年のいわゆる“28水”の際、どれくらい水に浸かったかが分かる記録が残されています。
県防災士会 本山和文さん:「全戸軒下浸水の未曾有の災害って書いてあるんですね。元々ここら辺周辺は水害常襲地帯ではあったんですけれども、それでも未曾有って書いてあるように今まで経験したことがないような大きな災害だったっていうことですね」
当時をよく知る地元の住民に話を聞くことができました。
地元の住民(79)Q「このへんはもう全部浸水した?」「全部、もう海やった」
Q「浸水するまでってどういう状況?」「早かったね~早かった」「学校で“もうお前たちは水屋町、酒井西・東町、帰れ”やったもんね、あんまり雨降って。ここ2、3年のああいう土砂降りの雨じゃなかったよ。ずーっと切れ目なしに降りよった。八坂橋のところから我々は藁てん材木てん集めていかだでここに帰ってきた」
300メートルほど離れた酒井東町にある石碑には。
県防災士会 本山和文さん:「この上の方見ていただくとかなり高いところに横線が入っているの分かりますか?あの位置が当時の浸水深なんですね」「ちょっと見ただけでびっくりしますよね。こんなに水が来るのかっていうね」
およそ8年前から県内各地の災害遺産を調査している県防災士会の本山和文さん62歳。(“28水”資料映像)過去の災害に目を向けることの重要さを訴えます。
県防災士会 本山和文さん:「災害っていうのは同じような場所で同じような災害が繰り返し起きているんですよね。ですから過去の災害を知るっていうことは将来の災害に備えるっていうことでもあるんですね」
元々県職員だった本山さん。2011年の東日本大震災で宮城県気仙沼市の被災地に派遣されました。そこで目にしたのが各地に残っていたかつての昭和三陸大津波や明治三陸大津波を伝える石碑でした。
県防災士会 本山和文さん:「その碑には教訓が書いてあります。“地震が来たら津波の用心”とか書いてあるんですね。まさにそうした伝承とか(先人の)メッセージ、こういったものが失われたときに次の災害がやってくるんだぞということだと私は思っています」
去年3月までの鳥栖市の洪水ハザードマップです。
今回取材した“28水”当時の浸水の水位を示す石碑がある酒井西町や東町は最大でも1メートル程度の浸水想定になっていました。
現在は改訂され、最大5メートルの浸水を示すうすい赤に変わっています。
県防災士会 本山和文さん:「“1000年に1度”程度の豪雨を想定して、それで浸水域を作りなさいということで、ここらへん一帯、5メートルとか3メートルとかそれくらい浸水しますよっていうような表示になっています。もし古いハザードマップしかお持ちでない方はぜひ新しいハザードマップで自分の浸水域っていうのを自分の家の周りのことを考えて見ていただきたい」
本山さんによると県内には99カ所に災害の発生時期やその種類が明らかな遺産があります。特に多いのは71カ所と全体の7割を占める水害に関するものですが、「それだけではない」と本山さんは警鐘を鳴らします。
県防災士会 本山和文さん:「私が(県内で)探した中で見つからなかったのは津波の碑と火山災害の碑だけなんですね。それ以外の災害の碑は県内至るところにあります。水害とは決めつけずにその地域ごとにある災害リスクというのを認識して災害に備えていただきたい」
|
|
- キーワードから探す
DAILY NEWSランキング
こちらもおすすめ
全国のニュース FNNプライムオンライン
-
ダム湖へ50m転落を想定 全長420メートルの吊り橋で注目・安威川ダム “日本最長の吊り橋”に観光客殺到 警察と消防が本格的な救助訓練 大阪・茨木市
2025/10/18 (土) 11:30 -
「酔っていて早く休みたかった」自転車ひき逃げの24歳女を逮捕 その場にいた協力者が一時制止も…すきを見て逃走 東大阪市
2025/10/18 (土) 11:30 -
二刀流先発の大谷翔平がポストシーズン3・4号ホームラン!ドジャース勝てば2年連続ワールドシリーズ進出
2025/10/18 (土) 11:12 -
日銀長崎支店が短観を発表 「業況判断指数」は2期連続で悪化
2025/10/18 (土) 11:09 -
江戸時代から続く歴史と味を発信 味噌しょうゆの老舗醸造元が手がける注目ツアー 仕込みから30年の熟成味噌や独自酵母使った料理を堪能
2025/10/18 (土) 11:00