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県民のスポーツの拠点「市村記念体育館」魅力や今後の利活用とは【佐賀県佐賀市】
2023/11/13 (月) 18:22

1963年に開館してから、春高バレーや国体、インターハイの会場になるなど、県民のスポーツの拠点として親しまれていた市村記念体育館。その魅力と今後の活用計画に迫りました。
王冠のような壁面、周囲のクスノキと調和する湾曲した屋根。
佐賀市の市村記念体育館です。
60年前、佐賀県出身の実業家でリコー三愛グループの創業者、市村清が「佐賀県体育館」として1963年に県に寄贈、1992年に「市村記念体育館」と名を変え、県民のスポーツの拠点として親しまれてきました。
【女性】
「中学の頃に部活をしてたので、あそこで大会に出場したのと、子どもも部活をしてて大会に出場したので、スポーツの思い出があります。」
【男性】
「高校生の時に青少年スポーツ大会で柔道で2位に。団体で。もう60年ぐらい前ですね」
市村記念体育館は国立西洋美術館などを手がけたル・コルビュジェの弟子、坂倉準三が設計。
20世紀に誕生した合理性を追及した近代的な建築、モダニズム建築として知られています。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「いわゆる装飾とか様式というのがない。つまり装飾ではない技術的な新しい体育館の姿を作っている」
東海大学建築学科の渡邉研司教授。
近現建築の記録と保存を推進している社団法人、DOCOMOMOjapanの代表を務めています。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「ギザギザになっているじゃないですか。あれは折板構造と言って強いんですよ。ある意味柱の役割をしているんですけど。紙でも折り曲げると強いじゃないですか。それと同じ原理です。」
屏風のように折り曲げられた形のコンクリートの外壁で屋根を支え、吊るす「吊り屋根構造」は県内ではこの市村記念体育館ただ一つ。
装飾を排除し、機能が外観にあわられた「モダニズム建築」の特徴です。
その特徴は他の場所にも表れています。
【リポート・原竹 凌太朗】
「ここは、屋根の重さを支える、斜めの柱としての機能を持ちつつ、屋根に貯まった雨水を逃がす雨どいとしての役割も果たしています」
しかし、老朽化やキャパシティ不足から、2017年に体育施設としての利用を中止。
その後はさが幕末維新博覧会の会場としても活用されていました。
一方、築50年以上の建物が多くあるモダニズム建築は老朽化に伴い解体されるケースが全国で相次いでいます。
1964年に竣工した香川県の「旧香川県立体育館」もその一つです。
戦後公共建築に多く見られるモダニズム建築は、大型で特徴的な構造から、耐震工事には多額の費用がかかります。
日本全国で、保存か解体かの岐路に立たされているモダニズム建築。
県は2019年、市村記念体育館の独創的な外観を残し、用途を文化施設に変えて建物を保存・活用する方針を示しました。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「単にそれを保存する。あるいはそれを改築して元の通りに戻すということじゃなくて、これからの未来に向かって使い方を変えていく。再利用していくという意味においても非常に高評価ができる」
約60年に渡り親しまれたスポーツの拠点から文化の拠点へ。
企業やクリエイターが「本物」のデザインを体感できる芸術や創造活動の場として、耐震化や屋根の軽量化などの改修工事を行い、2026年のリニューアルオープンを予定しています。
一方、大きな課題が残されています。
鉄骨価格の上昇などを受け整備事業費は2021年の基本計画時から1.5倍上振れし、52億円に。
さらに10月開かれた改修工事の入札ではどの業者も落札しない「不落」となり先が見通せない状況になっています。
県は「原因を調査・検証し、早急に今後の対応を検討する」としています。
市村記念体育館の今後の行く末は全国のモダニズム建築のあり方に一石を投じるものとして注目されます。
王冠のような壁面、周囲のクスノキと調和する湾曲した屋根。
佐賀市の市村記念体育館です。
60年前、佐賀県出身の実業家でリコー三愛グループの創業者、市村清が「佐賀県体育館」として1963年に県に寄贈、1992年に「市村記念体育館」と名を変え、県民のスポーツの拠点として親しまれてきました。
【女性】
「中学の頃に部活をしてたので、あそこで大会に出場したのと、子どもも部活をしてて大会に出場したので、スポーツの思い出があります。」
【男性】
「高校生の時に青少年スポーツ大会で柔道で2位に。団体で。もう60年ぐらい前ですね」
市村記念体育館は国立西洋美術館などを手がけたル・コルビュジェの弟子、坂倉準三が設計。
20世紀に誕生した合理性を追及した近代的な建築、モダニズム建築として知られています。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「いわゆる装飾とか様式というのがない。つまり装飾ではない技術的な新しい体育館の姿を作っている」
東海大学建築学科の渡邉研司教授。
近現建築の記録と保存を推進している社団法人、DOCOMOMOjapanの代表を務めています。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「ギザギザになっているじゃないですか。あれは折板構造と言って強いんですよ。ある意味柱の役割をしているんですけど。紙でも折り曲げると強いじゃないですか。それと同じ原理です。」
屏風のように折り曲げられた形のコンクリートの外壁で屋根を支え、吊るす「吊り屋根構造」は県内ではこの市村記念体育館ただ一つ。
装飾を排除し、機能が外観にあわられた「モダニズム建築」の特徴です。
その特徴は他の場所にも表れています。
【リポート・原竹 凌太朗】
「ここは、屋根の重さを支える、斜めの柱としての機能を持ちつつ、屋根に貯まった雨水を逃がす雨どいとしての役割も果たしています」
しかし、老朽化やキャパシティ不足から、2017年に体育施設としての利用を中止。
その後はさが幕末維新博覧会の会場としても活用されていました。
一方、築50年以上の建物が多くあるモダニズム建築は老朽化に伴い解体されるケースが全国で相次いでいます。
1964年に竣工した香川県の「旧香川県立体育館」もその一つです。
戦後公共建築に多く見られるモダニズム建築は、大型で特徴的な構造から、耐震工事には多額の費用がかかります。
日本全国で、保存か解体かの岐路に立たされているモダニズム建築。
県は2019年、市村記念体育館の独創的な外観を残し、用途を文化施設に変えて建物を保存・活用する方針を示しました。
【東海大学 建築都市学部 建築学科 渡邉研司教授】
「単にそれを保存する。あるいはそれを改築して元の通りに戻すということじゃなくて、これからの未来に向かって使い方を変えていく。再利用していくという意味においても非常に高評価ができる」
約60年に渡り親しまれたスポーツの拠点から文化の拠点へ。
企業やクリエイターが「本物」のデザインを体感できる芸術や創造活動の場として、耐震化や屋根の軽量化などの改修工事を行い、2026年のリニューアルオープンを予定しています。
一方、大きな課題が残されています。
鉄骨価格の上昇などを受け整備事業費は2021年の基本計画時から1.5倍上振れし、52億円に。
さらに10月開かれた改修工事の入札ではどの業者も落札しない「不落」となり先が見通せない状況になっています。
県は「原因を調査・検証し、早急に今後の対応を検討する」としています。
市村記念体育館の今後の行く末は全国のモダニズム建築のあり方に一石を投じるものとして注目されます。
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