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西九州の一体的な発展とは 西九州新幹線開業から3年 武雄市と鹿島市の現状は【佐賀県】
2025/09/23 (火) 17:46

23日で西九州新幹線の開業から3年です。新たな新幹線の起点の地として多くの人が訪れた武雄市と、在来線の利便性が低下した一方、駅前再開発の計画が進む鹿島市、ふたつの地域を取材しました。
2022年9月23日。華々しく開業した西九州新幹線。武雄温泉と長崎が30分程度とぐっと近くなり、利用者数も年々増加しています。9月6日、開業3周年に先立ち開かれた記念イベント。この日は休日ということもあり、武雄温泉駅の周辺は多くの人でにぎわっていましたが…
【木村賢勇リポート】「正午ごろの武雄温泉駅前です、ご覧のように駅前にはきれいに整備されたスペースが広がっていますが、平日ということもあり、行き交う人の姿はほとんど見られません」
平日の昼どき、駅前で過ごす人はほとんどおらず、新幹線開業と同時にオープンした駅前の一等地のレストランは今年3月閉店。次のテナントはまだ決まっていません。
【武雄市在住】「私たちも時々利用しとったんですけどね、3月いっぱいで辞めたですもん。ちょっと寂しい思いです」
関係者によりますと継続的な売り上げが見込めず、スタッフの確保が難しかったことが背景にあったとのことですが、“武雄の玄関口”の現状に温泉街で旅館を営む武雄市観光協会の山下会長も危機感をつのらせます。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「(駅前に)ウェルカムがないんですよ、ようこそがないんですよ、ある程度値付け(値上げ)をしていかないととてもじゃないけど、どんどんどんどん商店がなくなりますよ田舎は」
物価高騰などで地方の市場環境も厳しくなる中、新幹線の開業当初は今より状況もよかったそうですが。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「なかなか長崎の人って(新幹線開業前は)来てないんですよ、だから武雄初めてっていう(長崎の)人がすごく多かったですよ1年目」
「2年目からはもうガタって落ちましたよ、今年ぐらいから新幹線前ぐらいに戻ったかなと」
“東からのアクセス”が良くならない限り、現状は変わらないのではと指摘します。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「この市場(長崎方面からの観光客)だけでどうにかするっちゅうのは絶対無理だと思うんですよ、これ新幹線ってやっぱり東京からね、やっぱり長崎まで繋がって初めて生きるんですよ」
実際に長崎に向かう利用客は不便さを口にしていました。
【福岡方面から島原に】「正直なところ博多から武雄で乗り換えなきゃいけないってところは残念」
【埼玉県から長崎に】「使いにくいですよねやっぱし、あそこ(新鳥栖駅~武雄温泉駅間が)繋がっとくとすごくいいんですけどね」
【佐賀県山口知事】「やみくもに進めても後で問題が発生する。ここできっちりと3者でもしフル規格で何かやるのであれば、しっかり合意をした上でやらなければいけないというふうに申し上げた」
8月、新鳥栖ー武雄温泉間のあり方について、長崎県知事、JR九州社長と1年3カ月ぶりに意見を交わした山口知事。県の試算によるとフル規格で整備する場合の佐賀県の負担は1400億円以上。巨額の負担となるだけに改めて慎重な検討と地元の合意が必要との認識を示しました。観光業を支える立場から山下さんは現状へのもどかしさを口にします。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「次世代にお前たち何やってたんだって言われますよ、自分たちの覚悟1つで通るわけじゃないですか?通せるのに通さないってしてるわけでしょ、もうそれなんて言い訳するのっていう話ですよ」
【太良町民】「(新幹線の)恩恵は全然受けてないですよ、すっごいローカルになっていますよ」
【鹿島市民】「息子が博多とかあっちにおるけど、行かんごとなったね」
一方、新幹線開業前は1日に45本停車していた特急列車が14本、3分の1以下に減った肥前鹿島駅。市民からは不満の声があがりますが、さらに利便性が悪化するおそれも。
【長崎本線利用促進期成会会長松尾勝利鹿島市長】「特急が14本から10本という話ですので、われわれとしては現状のまま走らせてくださいと」
まちづくりに大きな影響を及ぼすだけに長崎本線の沿線にあたる4つの市町は、JR九州に運行本数の確保などを要望しましたが、今後の見通しは立ちません。
【木村賢勇リポート】「肥前鹿島駅の南側では、“スローツーリズム”の拠点となる新たな駅舎を建てる工事が間もなく始まります」
一方、県と市は、鹿島・太良エリアの玄関口、肥前鹿島駅周辺を新たな観光拠点にするため、53億円をかけて駅舎の建て替えや駅前の再開発を計画していて、間もなく工事が始まります。新しい駅舎には観光客向けの宿泊施設ができるほか、イベントなどが開催できる広場もオープンする予定です。旅行客にこの地域をゆっくり味わってもらう、いわゆるスローツーリズムを軸とした再開発には期待の声が聞かれました。
【祐徳稲荷神社周辺で店営む人】Q“新幹線効果”は感じるか「ないですね、嬉野温泉とか武雄温泉からたまに来る人もいるけれども、(駅前の再開発には)期待はしますよやっぱきれいになるから」
【太良町民】「不便っていうかそれを楽しんでる、私はね楽しんでいる、そっちを売りにするんだったらローカル的にはすごくいいと思う」これに対して、市民からは、列車本数の確保を急いでほしいと冷ややかな声も。
【鹿島市民】「そんなとこにお金かけんでいいと思う私は、都会みたいな駅にする必要全然ないと思いますよ」
【鹿島市民】「もうそこに予算をつぎ込むんだったら、電車の便をどうにかしてほしいです」
【佐賀県山口知事】「新幹線が全てじゃないんだ、素晴らしい地域っていうのはどんなことがあっても行きたい観光地なんだ、そういうような素晴らしいエリアっていうのを県は一生懸命地元の皆さんと作り上げていきたい」
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「連携してないからダメなんですよ、本当に鹿島だっていいとこたくさんあるじゃないですか、やっぱりこの地域を(ともに)盛り上げていくっていうことをしないと」
新幹線開業から3年、現状は立場によって望む方向は異なります。新幹線の光と影が交錯する中、地域間の対立ではなく西九州の一体的な発展につながる道の模索が続きます。
2022年9月23日。華々しく開業した西九州新幹線。武雄温泉と長崎が30分程度とぐっと近くなり、利用者数も年々増加しています。9月6日、開業3周年に先立ち開かれた記念イベント。この日は休日ということもあり、武雄温泉駅の周辺は多くの人でにぎわっていましたが…
【木村賢勇リポート】「正午ごろの武雄温泉駅前です、ご覧のように駅前にはきれいに整備されたスペースが広がっていますが、平日ということもあり、行き交う人の姿はほとんど見られません」
平日の昼どき、駅前で過ごす人はほとんどおらず、新幹線開業と同時にオープンした駅前の一等地のレストランは今年3月閉店。次のテナントはまだ決まっていません。
【武雄市在住】「私たちも時々利用しとったんですけどね、3月いっぱいで辞めたですもん。ちょっと寂しい思いです」
関係者によりますと継続的な売り上げが見込めず、スタッフの確保が難しかったことが背景にあったとのことですが、“武雄の玄関口”の現状に温泉街で旅館を営む武雄市観光協会の山下会長も危機感をつのらせます。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「(駅前に)ウェルカムがないんですよ、ようこそがないんですよ、ある程度値付け(値上げ)をしていかないととてもじゃないけど、どんどんどんどん商店がなくなりますよ田舎は」
物価高騰などで地方の市場環境も厳しくなる中、新幹線の開業当初は今より状況もよかったそうですが。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「なかなか長崎の人って(新幹線開業前は)来てないんですよ、だから武雄初めてっていう(長崎の)人がすごく多かったですよ1年目」
「2年目からはもうガタって落ちましたよ、今年ぐらいから新幹線前ぐらいに戻ったかなと」
“東からのアクセス”が良くならない限り、現状は変わらないのではと指摘します。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「この市場(長崎方面からの観光客)だけでどうにかするっちゅうのは絶対無理だと思うんですよ、これ新幹線ってやっぱり東京からね、やっぱり長崎まで繋がって初めて生きるんですよ」
実際に長崎に向かう利用客は不便さを口にしていました。
【福岡方面から島原に】「正直なところ博多から武雄で乗り換えなきゃいけないってところは残念」
【埼玉県から長崎に】「使いにくいですよねやっぱし、あそこ(新鳥栖駅~武雄温泉駅間が)繋がっとくとすごくいいんですけどね」
【佐賀県山口知事】「やみくもに進めても後で問題が発生する。ここできっちりと3者でもしフル規格で何かやるのであれば、しっかり合意をした上でやらなければいけないというふうに申し上げた」
8月、新鳥栖ー武雄温泉間のあり方について、長崎県知事、JR九州社長と1年3カ月ぶりに意見を交わした山口知事。県の試算によるとフル規格で整備する場合の佐賀県の負担は1400億円以上。巨額の負担となるだけに改めて慎重な検討と地元の合意が必要との認識を示しました。観光業を支える立場から山下さんは現状へのもどかしさを口にします。
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「次世代にお前たち何やってたんだって言われますよ、自分たちの覚悟1つで通るわけじゃないですか?通せるのに通さないってしてるわけでしょ、もうそれなんて言い訳するのっていう話ですよ」
【太良町民】「(新幹線の)恩恵は全然受けてないですよ、すっごいローカルになっていますよ」
【鹿島市民】「息子が博多とかあっちにおるけど、行かんごとなったね」
一方、新幹線開業前は1日に45本停車していた特急列車が14本、3分の1以下に減った肥前鹿島駅。市民からは不満の声があがりますが、さらに利便性が悪化するおそれも。
【長崎本線利用促進期成会会長松尾勝利鹿島市長】「特急が14本から10本という話ですので、われわれとしては現状のまま走らせてくださいと」
まちづくりに大きな影響を及ぼすだけに長崎本線の沿線にあたる4つの市町は、JR九州に運行本数の確保などを要望しましたが、今後の見通しは立ちません。
【木村賢勇リポート】「肥前鹿島駅の南側では、“スローツーリズム”の拠点となる新たな駅舎を建てる工事が間もなく始まります」
一方、県と市は、鹿島・太良エリアの玄関口、肥前鹿島駅周辺を新たな観光拠点にするため、53億円をかけて駅舎の建て替えや駅前の再開発を計画していて、間もなく工事が始まります。新しい駅舎には観光客向けの宿泊施設ができるほか、イベントなどが開催できる広場もオープンする予定です。旅行客にこの地域をゆっくり味わってもらう、いわゆるスローツーリズムを軸とした再開発には期待の声が聞かれました。
【祐徳稲荷神社周辺で店営む人】Q“新幹線効果”は感じるか「ないですね、嬉野温泉とか武雄温泉からたまに来る人もいるけれども、(駅前の再開発には)期待はしますよやっぱきれいになるから」
【太良町民】「不便っていうかそれを楽しんでる、私はね楽しんでいる、そっちを売りにするんだったらローカル的にはすごくいいと思う」これに対して、市民からは、列車本数の確保を急いでほしいと冷ややかな声も。
【鹿島市民】「そんなとこにお金かけんでいいと思う私は、都会みたいな駅にする必要全然ないと思いますよ」
【鹿島市民】「もうそこに予算をつぎ込むんだったら、電車の便をどうにかしてほしいです」
【佐賀県山口知事】「新幹線が全てじゃないんだ、素晴らしい地域っていうのはどんなことがあっても行きたい観光地なんだ、そういうような素晴らしいエリアっていうのを県は一生懸命地元の皆さんと作り上げていきたい」
【武雄市観光協会山下裕輔会長】「連携してないからダメなんですよ、本当に鹿島だっていいとこたくさんあるじゃないですか、やっぱりこの地域を(ともに)盛り上げていくっていうことをしないと」
新幹線開業から3年、現状は立場によって望む方向は異なります。新幹線の光と影が交錯する中、地域間の対立ではなく西九州の一体的な発展につながる道の模索が続きます。
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