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「災害の記憶(再)」 聴覚障害の被災者 雨音が聞こえず泥の臭いが 情報不足で不安に【佐賀県】

2022/03/11 (金) 07:00

東日本大震災は11年が経ちました。しかし今も被災地の苦悩は続いています。
想定外の甚大な災害。その記憶を忘れず、今後の防災に生かしていこうと、サガテレビでは「災害・私の記憶」をシリーズで放送を続けています。
災害の記憶を風化させないため、過去に放送した内容を改めて掲載します。

≪2021年7月6日 放送≫
シリーズでお伝えしている「災害・私の記憶」。
県内に記録的な大雨が降った「佐賀豪雨」から2年。
武雄市で被災した聴覚に障害がある男性は、「雨の音が聞こえず、泥臭いにおいで目が覚めた」と当時の状況を話してくれました。

武雄市にある高橋駅のほぼ正面。40年以上暮らした家の場所は、きれいなさら地になっていました。
平原圭介さん45歳。生まれつき、耳がほとんど聞こえません。
佐賀豪雨の日は、いつものように家の2階で寝ていました。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「雨の音は聞こえなかった。寝ているときは補聴器を外す。音ではなく泥臭いにおいで目が覚めた」(※コメントは手話)

【中継現場の記者(2019年8月28日)】
「どこが川でどこが道路なのか境目が全く分からなくなっている。車が動けなくなっている。今1台大きな車が来たが、大きな波をたててゆっくり進んでいる」

雨の音が聞こえなかった平原さん。起きたときには、家の前の道路はまるで川のようになり、大型トラックも流されていました。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「起きてから最初に心配だったのは下1階の息子がどうしているかが気がかりだった。息子にメールをしたが返事もなかった」

高校生の息子が寝ていた、自宅の1階は完全に浸水。息子は自力で駅に避難し、消防に救助されていました。

【ヘリコプターからの記者リポート】
「佐賀県武雄市の上空、広範囲にわたってあたり一面が浸水しています」

各地で冠水し、救助される住民も相次いだ武雄市。自宅にいた平原さんも消防から避難を促されました。しかし、身の危険より周りの人とコミュニケーションがとれるか不安で、あえて断ったと言います。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「避難所で情報がきちんと自分に届くのか不安があって避難しなかった。もし避難する場所がきちんとろうあ者(聴覚障害者)に合った利用しやすいものだった場合は避難したかもしれない」

避難所には行かず、自宅にとどまることを決めた平原さん。給湯器が壊れていたため、水風呂の毎日でした。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「困ったことは情報が届かないこと。自衛隊が準備した風呂や食事の配給、罹災証明書などいろんなことを後から聞いた」

自衛隊の入浴支援は、武雄市では豪雨から3日後に始まっていました。しかし、平原さんがそれを知ったのは約2週間後でした。

現在は、武雄市内の市営住宅に引っ越しています。去年(2020年)6月、県聴覚障害者協会の事務長に就任した平原さん。豪雨での自分の経験を広く伝えようと、当時の記録を17分の映像にまとめています。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「一般的に聴覚障害者は周囲と付き合いがないと理解してもらえない部分がどうしてもある。聞こえる人から見てもコミュニケーションの方法などどうすればいいのか分からない人が多いと思う」

県内の聴覚障害者は約3600。
平原さんは、作成したDVDを県内の手話サークルなどに寄付し、聴覚障害者の立場から防災を模索しています。

【聴覚障害者 平原圭介さん】
「災害が起こったときに情報をまず頂きたい。地域のみなさんにも協力してもらえたら」

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豪雨、地震、大雪…近年激甚化する災害。過去の教訓を防災に生かしていこうと、県民のみなさんの災害の記憶をシリーズで掲載します。

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