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発掘作業が9月から再開 吉野ヶ里遺跡の出土品・収蔵施設の現状に潜入【佐賀県】

2023/10/11 (水) 18:40

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今年4月の発掘調査で石棺墓が見つかった吉野ヶ里遺跡では、発掘作業が9月から再開されています。発掘された出土品はどのように管理・保管されているのか特別に中を撮影することができましたが、保管と展示が課題となっています。

ところせましと並ぶコンテナの数々。ここは発掘調査の出土品を収蔵している吉野ケ里歴史公園内の倉庫です。園内で出土したものは一部を除き、この倉庫と神埼市内の別の施設の2か所で保管されています。

【桑鶴記者】
「倉庫の中には出土品が入ったコンテナがたくさん積み上がっています。一部は天井の近くまで到達しているものもあります」

コンテナには発掘調査をした年と、出土した場所を示す記号などが記されていて、細かい陶片から甕棺墓などの大きなものまで、コンテナ換算で1万箱分の出土品が保管されています。
今年4月の発掘調査で出土した石棺墓も、入口近くのシャッター付近に並べられていて、一見すると倉庫のスペースはひっ迫しているように見えますが、県の担当者は現状の収蔵方法を「機能的」だとしています。

【佐賀県文化財保護・活用室 細川金也副室長】
「30数年間調査を続けていますが、どこに何が入っているかは整理整頓しているおかげで、例えば土器を探してきたとしても場所によって保管している場所がすぐわかるようにマーキングしていますので、いちばん機能的な使い方をしているかと思います」

「機能的」な保管の管理を下支えする「整理室」の存在があります。
出土した陶片などを洗浄し、出土箇所や時期などを記録。細かな作業の一部を担っています。

【細川さん】
「現状ではこういった施設は、めいいっぱいになっているところですけれども、上手に整理をしてそうしたスペースを使って、中に保管していきたいと考えています」

一方で課題もあります。出土品のうち重要文化財などは、温度や湿度の管理、防犯上の問題などから公園内で展示することができず、佐賀市の県立博物館で管理しています。
約30年前に文化庁が定めた制度では、国宝や重要文化財など公開するために適切な施設を定めていて、県内でこの施設に認定されているのは3施設で、吉野ヶ里歴史公園は含まれていません。

このため今後、吉野ヶ里歴史公園から歴史的に価値の高い文化財が出土した場合、園内で見ることができない可能性もあります。

保管と展示という2つの課題を解決するため新たな試みもスタートしています。
発掘調査の様子を配信するYouTubeの公式チャンネルでは、発掘作業を見学することができるほか、デジタル技術を使って遺跡を見学することができます。また、発掘調査の体験会や11月には保管した出土品を見学できるバックヤードツアーも予定されています。

【細川さん】
「今まで見られていない吉野ヶ里の出土品はどのように保管されて、どのように活用されているのか一部を垣間見て頂ければと思っています」

出土品は保管したままでは価値を十分に発揮できないため、見せ方を工夫し貴重な文化財を次の世代に引き継ぐことが大きな課題となっています。
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