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日本三大けんか祭り "伊万里トンテントン祭り" 未成年の参加一部緩和 伝統と安全の両立【佐賀県】

2023/10/23 (月) 18:40

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週末の3日間、けんか祭りで知られる伊万里トンテントン祭りが開かれ、大勢の観客が迫力の合戦に湧きました。また、高校生が死亡した事故を受け、これまで禁止してきた未成年の参加が一部緩和され、伝統と安全をどう両立するか新たな試みも始まっています。

1年で伊万里のまちが最も熱くなる3日間。
今年は長年禁止されてきた未成年の参加が一部緩和され、合戦組に中学生の姿もありました。クライマックスは川落とし合戦。
伊萬里神社の御神幸祭、「伊万里トンテントン祭り」。日本三大けんか祭りとしても知られています。その名の通り、「トンテントン」と打ち鳴らす太鼓を合図に重さ約550キロの荒神輿と団車が激しく組み合う迫力の合戦が見物です。
20日金曜日の夜、宵祭りの「安幕」で幕を開けました。今年大きく変わったのは未成年の参加。

【香月孝夫実行委員長】
「やはり少子高齢化によって、この伝統文化の存続というのもなかなか厳しい状況にある」

かつては10代の若者も合戦に加わっていましたが、2006年、男子高校生がみこしの下敷きになって亡くなる事故が起きました。以来、未成年の参加は禁止されてきましたが今年から一部緩和されたのです。

【伊万里市民】
「伝統ですのでね、ずっと続けていかないかんので、良いことだと思いますよ」
「やっぱりけががない祭りになってほしい。そして伊万里が元気な町になってくれればそれでいいと思う」

【香月孝夫実行委員長】
「やっぱりベテラン勢がしっかりとサポートをし、そして伝えていく、後世に受け継ぐ、そういった機会にしていきたい」

伊万里市の統計によると、市内の人口はこの30年間で8000人余り減り高齢化率は約2倍、33%まで上がっています。地域の大人は担ぎ手が減少していくなかでも伝統を次世代につないでいく使命を感じています。

一方、祭りの1週間前には未成年を参加させる方針を見直すよう2006年の事故で息子を亡くした父親らが要望書を提出しました。

【息子亡くした父親】
「(未成年が)合戦の方に参加すれば、けが人が出たり死人が出たりしちゃうなあということで、また同じことを繰り返さないためにもここでちょっと声をあげとかな、もう突っ走ってしまわんかなと」

実行委員会は「安全対策を十分にとる」として方針は変えず、結果、立候補した9人の中学生が合戦組に加わりました。参加するのは組んでも倒さない「模擬合戦」のみです。

【中学生の息子が参加※母】
「本人が楽しんで出たいと言ったので、危ない祭りとは言われてますが、けがのないように楽しんできてほしい」
【世話人(団車)】
「模擬(合戦)のときだけ出しますということで、こうして慣れていって、安全面を考えながら、この祭りを楽しんでもらうというのが趣旨ですから」

一方、事前に倒す方向を決めておく「奉納合戦」には規約上は高校生以上が参加できますが、実行委員会は未成年の間を“研修期間”と位置づけています。今年は2人の高校生が手を挙げましたが「練習が足りない」との判断で参加は見送られました。

【女の子】
「かっこよかった」

【女性※夫が参加】
「(けがしないか)ドキドキはしますね、毎年。これから先も長く続いてほしい」

【男の子】
Qおっきくなったら参加してみたい?「はい」

合戦は伊万里市中心部一円に設けられた数々のポイントを“巡幸”しながら行われます。3日間で約10カ所、訪れた10万人以上を湧かせました。

【埼玉から(伊万里市出身)※女性】
「きのうも来たけどきょうもやっぱりほら、トンテントンの血が騒ぐの(笑)一生懸命カメラで撮ってた。うれしかった」

【中溝記者】
「現在午後5時を回ったところです。沿道にはかなりの人が詰めかけています。川落とし合戦会場にはみこしが勢ぞろいしました。まもなくクライマックスです」

祭りを締めくくるのは「川落とし合戦」。荒神輿と団車が組み合ったまま川に落ち、引き上げるスピードを競います。
荒神輿が勝てば来年は「豊作」、団車が勝てば「豊漁」になると伝えられていますが、今年は…。

今年は荒神輿の勝利。大きな拍手が送られました。

【有田町から】
「初めて見たんですけど、とても迫力があって、見てて楽しかったです」

このあとは再び巡幸しながらみこしを伊萬里神社へ。
後片付けをする男衆の表情はどこかさびしげでした。

【荒神輿・けんか大将】
「みんな(次が)待ち遠しいんじゃないかと。やっぱり伊万里っ子ですから。トンテントンが好きです。これからもずっと長く続いてほしいと思っとります!」

【香月孝夫実行委員長】
「子供たち、中学生がやっぱりこの祭りの伝統をつなげていきたい、そういう思いから参加されたということは、この伝統の文化が末永く続いていくことではないかなと期待しております。もちろん第一義に安全安心というのはしっかりとこれからも考えていきながら、この祭りを地域の皆さまとともに愛されるような祭りであっていきたい」
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