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アパレル業界から転身 嬉野市の伝統産業「肥前吉田焼」つなぐ若手夫婦【佐賀県】

2024/02/26 (月) 18:40

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毎週月曜日は県内で奮闘する人を紹介する佐賀人十色。きょうは嬉野市の伝統産業、肥前吉田焼の話題です。後継者不足により窯元の数は年々減っていく中、家業を継ぐためアパレル業界から転身した若手夫婦がいます。

【大坪桃子さん(31)】
「本当に後継者いないというのは感じている。これから吉田焼も残っていくのかな」

嬉野市の山あい、吉田地区でつくられる肥前吉田焼。400年以上の歴史があります。ただ、かつて20軒あった窯元はいまは6軒に、後継者不足で存続が危ぶまれています。

【大坪桃子さん】
「嬉野にはお茶と温泉と焼き物と言ってくださっているので、せっかくならこれからも続けていきたい」

6軒の窯元の1つ、江口製陶所です。4代目にあたる大坪桃子さん31歳。曾祖父、ひいおじいさんの代から70年以上続く製陶所をつなごうといま修行中です。

【3代目父・江口直人さん】
「4姉妹なので我々の代で終わりかなと話していた。だからちょっと意外な感じだけどまあ一生懸命やってきているんでうれしい」
【大坪桃子さん】
「2年前に帰ってきた。アパレルで福岡で働いていた」

4姉妹の長女として生まれた桃子さん。人と接することが好きでこれまで働いていたのは窯業・焼き物とはかけ離れたホテルやアパレルショップでした。

【大坪桃子さん】
「前は(継ぐ気は)全然なかったでも、コロナになって考え出した。売り上げも落ち込んだりしたし、父母も還暦になるので」

それでもまだ悩んでいた桃子さんの背中を押したのは、アパレル業界で出会った夫・智明さんの存在。

【大坪桃子さん】
「夫も“ものづくりをしたい”というの元々思っていたらしく、じゃあ一緒にやりましょうとUターンして帰ってきた」

とはいっても、焼き物に関して技術はもちろん知識もほとんどなかった智明さん。嬉野市の隣にある全国有数の焼き物産地長崎県波佐見町の窯元で経験を積むことにしました。

【大坪智明さん】
「(波佐見焼の)独自の技法ある。よそでは学べないこと。それでいて日常の食卓に馴染む。すべて持ち帰りたい」

約6年間、アパレルショップで接客などを担当していた智明さん。当時は叶わなかった“自分のデザイン”を焼き物で表現したいと意気込んでいます。

【大坪智明さん】
「こっちの仕事の方が自分には向いている。感性を器に落とし込めたらいいな」

【翔芳窯 福田友章さん】
「自分たちと考えが違うから、その分新しい引き出しをいっぱい出して経験してほしい」

また、智明さんは少しでも早く技術を身につけ、妻と2人で窯元を営んでいけるよう1年ほど前から絵付け教室にも通っています。業界では自動絵付け機械が登場するなど効率化が進んでいますが、あくまで手作業にこだわりたいと話します。

【大坪智明さん】
「機械だと冷たい無機質な感じ受けたりするけれど、手仕事だと温かみのある表情になる」

一方、桃子さんの姿は同じく焼き物のまち有田町にありました。参加していたのは県内各地の窯元が集まるプロジェクトの勉強会。

【大坪桃子さん】
「名だたる窯元さんばかりなので刺激になる。技術面でも聞いたりできるし、意外と皆さん教えてくださる」
【母・江口知佐子さん】
「まず、桃子帰ってきてディスプレイが素敵になった。色とかもわたしたちが使ったことのないようなものを使う」

さっそく、自分のアイデアを商品に反映させている桃子さん。色の種類は以前よりもかなり増えたといいます。

夫婦2人で家業を継ぐ…、その一大決心の一方でうれしい知らせもありました。実は桃子さんのおなかの中にはいま赤ちゃんがいます。

【大坪智明さん】
「聞いたときはうれしかった。これから養っていかないといけないという責任感が芽生えた」
【父・直人さん】
「継ぐというよりも自分のやりたいこと見つけて精一杯表現してほしい」

“400年の伝統を守りつつ、吉田焼をもっと広めたい”アパレル業界から転身した夫婦が今後どのような“新しい風”を吹かせるのか、期待が高まります。

【大坪智明さん】
「特に吉田って地域は、隣の有田や波佐見と比べて知名度が全然足りていない。ゆくゆくは2人で発信していけたらなと思う」
【大坪桃子さん】
「もっと吉田焼広まってほしい。業界全体的に元気になればいいなと思う」
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