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10人に1人が経験「産後うつ」防ぐ 広がる産後ケア支援【佐賀県】

2024/05/23 (木) 18:19

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出産する母親の10人に1人が経験するといわれる「産後うつ」。母子などへの産後ケア事業が自治体の努力義務になるなど、「産後うつ」を防ぐための支援が佐賀を含め全国的に進んでいます。

「一言声かけてもらえればもう全部泣いちゃうみたいな。もうメンタル崩壊してたんですよねほんとに、ほんとその時期に出会えてよかったなって」

佐賀市久保田町にあるしお助産院。
主に出産を終えたママが産後ケアのために通う助産院です。

「もう5年くらい通っている。やっぱ誰にも言えない自分の中でも気付いてない気持ちとかもわかってもらえる」

【しお助産院 古川友美さん】
「育児のご相談だったりを受けることが多くて、やっぱり産後のお母さんってメンタルが不安定なので今のままで十分頑張ってるよって労いの言葉をかける」

この助産院を運営する古川友美さん35歳。
約10年間大阪の産婦人科で700人以上の赤ちゃんをとりあげてきましたが、5年前に地元・佐賀で助産院を開院して以来、500人以上の悩めるママと赤ちゃんに寄り添ってきました。

「やめていいですか母乳って話のときももういいと思うよって背中を押してもらったおかげで、ここまで半年間は頑張ったしっていう自分を認めてあげられた」

ひとりで頑張り“すぎる”ママほど産後うつになりやすいと専門家は話します。

【佐賀大学医学部看護学科 田中奈美教授】
「頼る場所がないっていう方たちが産後うつになりやすかったり、あと真面目で頑張り屋さんでみたいな人たちもなりやすい」

佐賀大学でママの産後ケアの研究をする田中奈美教授によると、約半分のママが経験するといわれる「マタニティブルーズ」が産後うつにつながると話します。

【佐賀大学医学部看護学科 田中奈美教授】
「体が不調になったり、涙が止まらなくなったりとかいうことがマタニティブルーズ、そのまま持続していくと産後うつにつながる」

「号泣されていたとカルテね」
「泣き虫だったと思いますただの」
「今考えるとちょっと産後うつじゃないけど若干なんかかかってたかもしれない」

育児の“プロ”の古川さんですら育児中は悩みを抱えて涙を流したと話します。

【しお助産院 古川友美さん】
「息子抱っこしたりおんぶしながら産後のお母さんたちのケアしてたんですけどコンビニの店員さんがそんな私を見てお母さん育児お疲れ様って言ってくれたんですね、私泣いたんですそのときに嬉しくてなんか自分自身も頑張ってたんだなって」

日本産婦人科医会によると、妊娠から産後1年以内のママの死亡原因について2020年度以降は自殺が最多となっていて、占める割合は20%以上になります。

【佐賀大学医学部看護学科 田中奈美教授】
「産後ケア事業は元々産後の孤独とか、産後の自殺するお母さんたちが増えたっていうところではじめられた」

ママの自殺を防ごうとはじめられた産後ケア事業。
国の補助を受けた市町村が宿泊型・日帰り型・訪問型などの産後ケアを提供し、ママは合わせて7日まで少ない自己負担で支援を受けることができます。

一方、県内では助産院でのデイケアには支援がないなど、まだ行き届かない部分も。

「こうやって個人で頑張ってらっしゃる方にも支援をしてもっとお母さんたちが受けやすいような環境を作ってもらいたい」

【しお助産院 古川友美さん】
「行政も少し負担補助していただけたら料金的にも気軽に来ていただけるんじゃないかなと思います」

いつ来ても古川さんに見てもらえる、その安心感が助産院の魅力です。

「経緯とかまた話さなくてもいいとかキャラとかわかってもらえてるなってすごい思うのでほんと安心」

【塚本さん】
「産んだ産院にショートステイ(宿泊型)に行けるわけじゃなかったのでそこも結構ハードルが高くていちから説明しないといけない」

またママからは「家族からの十分な支援が受けられない」などの条件面にも、頼みづらさがあると言います。

【鈴木さん】
「これは受けれないのかなみたいなやっぱり文面だから、受けていいと思えるような書き方をしてもらえると嬉しい」

佐賀市から産後ケア事業を受託する産婦人科の立場からは…

【佐賀県産婦人科医会 田中博志会長】
「宿泊型の産後ケアは周知が徹底してないようなんで、うち(私の病院)でもまだこの半年で3人ぐらい。本当に悩んでる方だけではなくて、身体的にもきついなと思った方でも受けれますので」

気軽に産後ケアを受けて欲しいと呼びかけるのは県産婦人科医会の田中博志会長です。
佐賀市によると宿泊型の産後ケア支援を利用するママは少なく、去年の利用者は全体の2%以下。
その一方、形になりつつある産後ケアは…

【佐賀県産婦人科医会 田中博志会長】
「産後2週間目に無料で健診をして、支援が必要なママを早く見つけて、自宅の方に保健婦さんあるいは助産師さんが訪問して、そういう風な育児に関する指導を行う」

佐賀市によりますと、7年前から産後2週間健診を無料で実施。

導入前は産後1カ月健診で約15%のママがフォローが必要と判断されていましたが、去年の調査では5%まで減少したということです。
現在は県内14の自治体で産後2週間健診を無料で実施していて、来年度中には県内全ての市町で無料化を予定するなど、徐々になくなる支援の格差。

【鈴木さん】
「まだ伝わってないのが伝わってないのかな、自治体に」

まずは周りや行政などに不安な気持ちを届けること、同じママとして古川さんも呼びかけます。

【しお助産院 古川友美さん】
「私も日々ねもう子供は可愛いと辛いの紙一重でなんとかやっていってますが、本当に無理せずに、いろんな人に頼って子育てしていきましょうね」

悩まれている方は住んでいる自治体の窓口に相談するほか、まずは0120-279-392まで気兼ねなく電話相談をしてほしいと県は呼びかけています。
※0120-279-392※毎週月~木曜9時~17時毎週金曜9時~22時(祝日・年末年始のぞく)

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