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ジャージ姿の“やぶ医者”阿部智介さん「空気くらいの存在に」地域医療をつなぐ【佐賀県唐津市】
2024/01/22 (月) 18:17

白衣ではなく、ジャージ姿で山間部を駆け回り、住民に寄り添う43歳の若手医師が唐津市七山にいます。「生まれ育った故郷に恩返しがしたい」地域医療をつなぐその活動で去年、県内の医師で初めて名誉ある賞を受賞しました。
【阿部さん】
「自然にそこにいるのが当たり前っていう。かかりつけ医としてそういった立ち位置にいれればいいのかなって思います」
唐津市七山の市民センター内にある「七山診療所」
七山地区唯一の診療所です。
受付に置かれた賞状…その賞は「“やぶ医者”大賞」
【女の子】
「痛い痛い!痛い痛い痛い!」
覗いてみると白衣を来た医師はどこにもいませんが、ジャージ姿の男性が治療にあたっています。
ピンと張り詰めた空気ではなく患者もリラックスした表情です。
【阿部さん】
「そんな痛くないやろう?」
【女の子】
「痛いよ本当に」
七山診療所の所長、阿部智介さん43歳。
父親の孝昭さんが七山で開業した地区で唯一の診療所を12年前に引き継ぎ、日々、住民に寄り添うまちのお医者さんです。
【阿部さん】
「育ててくれたこの地域を、七山を守っていくというのは僕自身の役目というか、恩返しというか。父が一生懸命守ってきたものを僕も守っていかないといけないと思っている」
【女の子】
「ちっちゃい頃から来てるから。友達と話しよるみたいな」
阿部さんは外来診療だけでなく、移動手段がない患者のところへ向かう「訪問診療」も行っています。
【阿部さん】
「こんにちはー。お邪魔します」
年の瀬のこの日、最初に訪れたのは診療所から車で約15分の高齢夫婦の家。
【阿部さん】
「調子はどうですか」
【男性】
「普通です」
【阿部さん】
「息苦しいとかない?」
【男性】
「特段気に留めることはなかです」
【阿部さん】
「ちょっと胸の音聞きますね。そのままはい深呼吸してー。はい繰り返してー」
高齢で通院が難しくなった2人にとって阿部さんの訪問診療は欠かせません。
【阿部さん】
「良い年を過ごして。よき96年目を迎えましょう」
【男性】
「先生からそう言って頂いてありがとうございます。サンキューベリマッチ」
【阿部さん】
「人間なんで病気だったり老化だったりいろいろなことで病院に来れなくなることが絶対あるわけで。医療が途切れてしまって状態が悪くなってしまってそっちの方が僕にとっては我慢できないので。だったら別に来れないならこっちから行くだけですよね」
【阿部さん】
「じゃあまた。閉めとくよ」
この日もう1軒向かったのは糖尿病の手術で足を切断し通院できなくなった男性です。
【阿部さん】
「きれいになっとるね。まだこの辺に脚があるような感覚あります?」
【男性】
「たまにね」
【阿部さん】
「あるごた感じするもんね。よく言わすもんね。今度次来た時に採血とかしましょうかね」
足早に診療所へ戻ってきた阿部さん。
休む間もなく外来患者の対応にあたります。
【女性】
「良い先生ですよ。優しいですもんね。頼っています」
外来患者の診察に加え定期的に回る訪問診療の患者は約140人。
【女の子】
「体調不良になるときある?」
【阿部さん】
「あるよ」
【女の子】
「そういうとき病院どうしてる?」
【阿部さん】
「開けるよ」
【女の子】
「開けるの?」
【阿部さん】
「うん」
【女の子】
「体調悪いのに?大変」
【阿部さん】
「そうやろ。分かった?大変さ。楽してないよ全然」
原動力になっているのは自身の性格だと話します。
【阿部さん】
「とりあえず気になるなら動いてそれでやれることやって結果大したことなければそれはそれでいいじゃんって思っているので。逆に気になってどうだったのかな、大丈夫かなって思いながら過ごす方が僕にとってはあんまり健康的ではないな」
さらに、阿部さんの活動は七山だけに留まりません。
唐津市全体の在宅医療や介護事業の責任者として将来自分が受ける医療や介護を元気なうちに計画しておく「アドバンス・ケア・プランニング」の普及にも取り組んでいます。
【阿部さん】
「死に方を考えようというのではなくあくまで自分が自分らしく最期までどうやって生きていくのか。意識がないような状況、意思疎通が難しいような状況でも自分自身が最期までどうやって生きていきたいか自分の生き方を伝えるノートと思ってもらえれば」
この日は唐津市民など約20人を対象に人生の最終段階をどこで迎えるのか、家族に何を残せるのかなど自分らしく生きることについて講演しました。
【参加者】
「きょう聞いたらなんかすごく頭の中が整理されましたね」
【参加者】
「元気で生きていくために書こうと思っています。家族も迷わないかなと思います」
【阿部さん】
「手がジンジンする?それも症状やもんね」
「やぶ医者」はいつごろからか「下手な医者」を意味するようになりましたが、もともとは兵庫県・養父市の名医を指す言葉でした。
語源となった養父市では10年前から医療過疎地で医療の発展に貢献する若手医師を「やぶ医者大賞」として表彰していて、阿部さんは去年、県内で初めて“やぶ医者”に選ばれました。
そんな阿部さんが考える地域の医師、いわゆる“まち医者”のあるべき姿とは。
【阿部さん】
「空気くらいでいいですよ。あんまり目立つことではないと思いますし、別に普通にいるなっていう。逆に空気というのはなくなると大変ですから。自然にそこにいるのが当たり前っていう。かかりつけ医としてそういった立ち位置にいれればいいのかなって思います」
【阿部さん】
「自然にそこにいるのが当たり前っていう。かかりつけ医としてそういった立ち位置にいれればいいのかなって思います」
唐津市七山の市民センター内にある「七山診療所」
七山地区唯一の診療所です。
受付に置かれた賞状…その賞は「“やぶ医者”大賞」
【女の子】
「痛い痛い!痛い痛い痛い!」
覗いてみると白衣を来た医師はどこにもいませんが、ジャージ姿の男性が治療にあたっています。
ピンと張り詰めた空気ではなく患者もリラックスした表情です。
【阿部さん】
「そんな痛くないやろう?」
【女の子】
「痛いよ本当に」
七山診療所の所長、阿部智介さん43歳。
父親の孝昭さんが七山で開業した地区で唯一の診療所を12年前に引き継ぎ、日々、住民に寄り添うまちのお医者さんです。
【阿部さん】
「育ててくれたこの地域を、七山を守っていくというのは僕自身の役目というか、恩返しというか。父が一生懸命守ってきたものを僕も守っていかないといけないと思っている」
【女の子】
「ちっちゃい頃から来てるから。友達と話しよるみたいな」
阿部さんは外来診療だけでなく、移動手段がない患者のところへ向かう「訪問診療」も行っています。
【阿部さん】
「こんにちはー。お邪魔します」
年の瀬のこの日、最初に訪れたのは診療所から車で約15分の高齢夫婦の家。
【阿部さん】
「調子はどうですか」
【男性】
「普通です」
【阿部さん】
「息苦しいとかない?」
【男性】
「特段気に留めることはなかです」
【阿部さん】
「ちょっと胸の音聞きますね。そのままはい深呼吸してー。はい繰り返してー」
高齢で通院が難しくなった2人にとって阿部さんの訪問診療は欠かせません。
【阿部さん】
「良い年を過ごして。よき96年目を迎えましょう」
【男性】
「先生からそう言って頂いてありがとうございます。サンキューベリマッチ」
【阿部さん】
「人間なんで病気だったり老化だったりいろいろなことで病院に来れなくなることが絶対あるわけで。医療が途切れてしまって状態が悪くなってしまってそっちの方が僕にとっては我慢できないので。だったら別に来れないならこっちから行くだけですよね」
【阿部さん】
「じゃあまた。閉めとくよ」
この日もう1軒向かったのは糖尿病の手術で足を切断し通院できなくなった男性です。
【阿部さん】
「きれいになっとるね。まだこの辺に脚があるような感覚あります?」
【男性】
「たまにね」
【阿部さん】
「あるごた感じするもんね。よく言わすもんね。今度次来た時に採血とかしましょうかね」
足早に診療所へ戻ってきた阿部さん。
休む間もなく外来患者の対応にあたります。
【女性】
「良い先生ですよ。優しいですもんね。頼っています」
外来患者の診察に加え定期的に回る訪問診療の患者は約140人。
【女の子】
「体調不良になるときある?」
【阿部さん】
「あるよ」
【女の子】
「そういうとき病院どうしてる?」
【阿部さん】
「開けるよ」
【女の子】
「開けるの?」
【阿部さん】
「うん」
【女の子】
「体調悪いのに?大変」
【阿部さん】
「そうやろ。分かった?大変さ。楽してないよ全然」
原動力になっているのは自身の性格だと話します。
【阿部さん】
「とりあえず気になるなら動いてそれでやれることやって結果大したことなければそれはそれでいいじゃんって思っているので。逆に気になってどうだったのかな、大丈夫かなって思いながら過ごす方が僕にとってはあんまり健康的ではないな」
さらに、阿部さんの活動は七山だけに留まりません。
唐津市全体の在宅医療や介護事業の責任者として将来自分が受ける医療や介護を元気なうちに計画しておく「アドバンス・ケア・プランニング」の普及にも取り組んでいます。
【阿部さん】
「死に方を考えようというのではなくあくまで自分が自分らしく最期までどうやって生きていくのか。意識がないような状況、意思疎通が難しいような状況でも自分自身が最期までどうやって生きていきたいか自分の生き方を伝えるノートと思ってもらえれば」
この日は唐津市民など約20人を対象に人生の最終段階をどこで迎えるのか、家族に何を残せるのかなど自分らしく生きることについて講演しました。
【参加者】
「きょう聞いたらなんかすごく頭の中が整理されましたね」
【参加者】
「元気で生きていくために書こうと思っています。家族も迷わないかなと思います」
【阿部さん】
「手がジンジンする?それも症状やもんね」
「やぶ医者」はいつごろからか「下手な医者」を意味するようになりましたが、もともとは兵庫県・養父市の名医を指す言葉でした。
語源となった養父市では10年前から医療過疎地で医療の発展に貢献する若手医師を「やぶ医者大賞」として表彰していて、阿部さんは去年、県内で初めて“やぶ医者”に選ばれました。
そんな阿部さんが考える地域の医師、いわゆる“まち医者”のあるべき姿とは。
【阿部さん】
「空気くらいでいいですよ。あんまり目立つことではないと思いますし、別に普通にいるなっていう。逆に空気というのはなくなると大変ですから。自然にそこにいるのが当たり前っていう。かかりつけ医としてそういった立ち位置にいれればいいのかなって思います」
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